成果を出し、ひらめきや発想力を高めるビジネスパーソンの必読書3選
さまざまな情報が溢れる現代。ビジネスパーソンには幅広い視野と、時代の変化の兆しをとらえるアンテナが必要です。視野を広げ、アンテナの感度を高めるツールとしておすすめなのが書籍。
今回は、8万人超のビジネスパーソンが利用している書籍ダイジェストサービス「SERENDIP(セレンディップ)」より、特に人気のあった書籍をピックアップし、ビジネスに役立つエッセンスをご紹介します。
「時間」を味方につけて成果を上げたい人へ、おすすめの一冊
『When 完璧なタイミングを科学する』 ダニエル・ピンク 著 勝間和代 訳
講談社 322ページ 2,376円(税込)
どのようにすれば仕事で成果を上げられるか。これはビジネスパーソンにとって共通の悩み。この悩みを解消するために、仕事の「how to=どのように行うか」を模索して、スキルアップしようと励んでいる人も多いことでしょう。ところが、how toよりも「when to=いつ行うか」に注目したほうが、仕事の成果が上がる場合があります。
ダニエル・ピンク著の『When 完璧なタイミングを科学する』によると、人間の一日のパフォーマンスには、「ピーク・谷・回復」のリズムがあるそうです。以下が典型的なパターン。
- 午前中にポジティブな状態がピークに達する
- 午後には急落
- 夕方になると回復して再び高まる
このリズムを考慮すると、時間帯ごとに向いている仕事を次のように分けることができます。
- 午前中…注意力、集中力、思考力が必要な分析的な仕事
- 谷の時間…向いている仕事はほぼ無し。休憩をとるのが良い
- 夕方の回復期…注意力のあまり要らない、洞察的な仕事
つまり、データ分析や売上資料作成などのミスを最小限に抑えたい仕事は午前中に。そして、新しい企画や商品アイデアを膨らませたりする、ひらめきが勝負の仕事は夕方に行うのが良いとのこと。
ただ、「ピーク・谷・回復」のリズムは人によって異なります。午後の遅い時間になるまで調子が出ない人は「フクロウ型」と呼ばれるタイプ。そんな人は、午前中に発想力が問われる仕事を行うのがおすすめです。
自分のタイプの見分け方やタイプごとの仕事順リストは本書に掲載されています。ベストセラー『モチベーション3.0』の著者による「時間を味方につける」視点。ぜひ活用してみてください。
「制約」を味方につけて課題解決力を高めたい人へ、おすすめの一冊
『バックキャスト思考』 石田秀輝/古川柳蔵 著
ワニ・プラス 205ページ 1,728円(税込)
時間帯ごとに適切な仕事のスケジューリングができたとしても、仕事は一人ではできません。多くの人々と関わるビジネスでは、大小さまざまな制約が付いて回ります。例えばこんなケース。
「クライアントの希望に社内のリソースが足りない」
「パイロット版を作りたいのに予算がおりない」
「新人ばかりのチームで新規プロジェクトに挑まなければならない」
「新人ばかりのチームで大きなプロジェクトに挑まないといけない」
こうしたさまざまな条件や制約のある課題を解決するとき、真っ先に思いつくのは「制約を排除する」ことではないでしょうか。リソース不足ならば人員を増加する、もしくは一人ひとりの負担を大きくすることで乗り切ろうとします。
しかしそれができない(=排除できない)場合、どのように対処するか。そんなときに有効なのが「バックキャスト思考」です。本書では、地球環境問題のような制約を排除したくても難しい課題を取り上げつつ、バックキャスト思考のプロセスを詳しく論じています。ここでは「制約を受け入れる」ことで、もうひとつの解決法が見えてくると書かれています。
上述の例でいえば、バックキャスト思考ではリソースの不足を受け入れる方向に考えを進めます。すると、「クライアントの要望を細かく分け、時期をずらして対応してはどうか」という対処法が浮かんできます。
これなら小さなリソースで対応できる上に、最初からすべてに対応するよりも細かくPDCAを回していくことができます。また、よりよいアウトプットになる可能性も。制約がある中で発想するからこそ、課題の本質を深く掘り下げることができ、よりよい解決法を導けるというわけです。
排除できない制約や、制約が複雑に絡み合った課題に対応できるバックキャスト思考。実践していくと課題解決力も格段にアップすることでしょう。
「プラットフォーム」を味方につけて発想力を磨きたい人へ、おすすめの一冊
『中華料理進化論』 徐航明 著
イースト・プレス(イースト新書Q) 223ページ 950円(税込)
課題解決力を鍛えたら、具体的なアイデアを生み出す方法も身につけたいですよね。発想力を磨く…といっても肩肘張る必要はありません。発想のヒントは少し意外で、身近なところにも眠っています。
多くの日本人が愛するラーメンや焼きギョーザ、麻婆豆腐といった中華料理。これらは本場の中国料理が、日本人の味覚や習慣に合わせて独自に進化したイノベーションのひとつと言えるかもしれません。
本書『中華料理進化論』では、そんな中華料理を日本在住20年の中国人の料理研究家がユニークな視点から分析。中華料理が普及し進化し続ける理由のひとつを「プラットフォーム」という言葉で表現しています。
著者いわく、「プラットフォームとは製品の技術的な土台となるもの」。ラーメンでは、「スープ→麺→トッピング」という構造がプラットフォームです。
こうしたプラットフォームがあることで、再現がしやすくなると同時に突飛なアレンジを加えても、プラットフォームさえ押さえていればラーメンと認識されることになります。つまりプラットフォームが発想の踏み台となって、ラーメンの普及と進化を後押ししていると著者は唱えています。
「身の回りのものや文化にどんなプラットフォームがあるのか」、普段からそういった視点を持つことが、イノベーティブな発想やアイデアの起点になります。
また、プラットフォームへの視点を持つことは、日常のコミュニケーション力アップにもつながります。例えば会議ではお互いの土台、つまり「共通認識」を摺り合わせる時間を設けると、活発な意見交換ができるのではないでしょうか。
仕事力を高め、発想の転換をさせてくれる書籍がビジネスパーソンに人気
いかがでしたか? 仕事力を高めてくれると同時に、これまでの見方や考え方を転換させてくれるような書籍が、ビジネスパーソンの関心を引きつけているようです。ただ、読み手によって解釈も得られる知識も異なるもの。実際に手に取ってみて、仕事や働き方に役立つヒントを発見してみてください。