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会社設立後の資金調達―ベンチャーキャピタルにアピールするには?

    会社設立後の資金調達今回は、サーブコープの本社にて協力を得た、シリコンバレーで活躍するベンチャーキャピタリストのティム・チャング氏とのインタビューをご紹介します。中小規模のビジネスが資金調達する際に着目すべきポイントを、投資家の立場から教えていただきました。

    投資してくれるベンチャーキャピタルの募集活動は、気が小さい人には向いていません。「次のFacebook(フェイスブック)、Zynga(ジンガ)、Groupon(グルーポン)となるような企業のために小切手を切ろう」という熱意にあふれた投資家たちは存在しますが、そういった人たちはそもそも、顔見合わせのミーティングのチャンスすら与えてくれないことが多いのです。

    画像提供:AMagill

    そして資金調達における難関は、世の中には多額の資金が存在している反面、消費者向けインターネットサービスやモバイルスペースなどをベースとしている企業は、たとえ注目企業であったとしても、成長するのにそんなに多額の資金を必要としないということです。つまり、巷で話題になっていたり、優れた従業員チームを整えていたり、もしくはある程度の市場を獲得している企業でない限り、投資家に相手にしてもらうことは大変難しいのです。

    「投資を受けるコツの大部分は、正しい部門の投資キャピタルに、正しいタイミングで依頼することであると言えます。例えば2年ほど前なら、モバイルを使ったチェックインサービスの企業が大人気でしたから、Foursquare(フォースクエア)やGowalla(ゴワラ)など、その分野で5本の指に入る企業であれば、投資を受けることが可能でした。こうした企業は3社~5社ごとの波で登場して、あっという間に消えていくことも多いものです。」と人気ベンチャーキャピタリストのティム・チャング氏は語ります。

    では、こうした企業が山ほど存在する中で、注目を集めるにはどのようにすればよいのでしょうか?チャング氏によると、ここで重要なのはTの頭文字で始まる3つの事で、“その取引全体の活気と気運を非常によく表す”ものであるそうです。

    1. Team (チーム)

    「従業員のチームは極めて重要です。ですから、成功を収めた企業を過去に築いた経験の持ち主が従業員の中にいる場合、私なら小切手を切ります。アイディアについての質問すらしません。例えば誰かがフェイスブックのプラットフォーム構築チームにいたならば、私ならその時点で小切手を切るということです。」

    2. Traction (人を惹きつける力)

    「世界的に名の知れた創始者はいないけれど、本質的に人々を惹きつける何かを持っている場合―例えば、アプリを発表したところ、自然に火が着いて口コミで急速に広まった―こういった場合も、非常に興味をそそられます。」

    3. Top tier investor (一流の投資家)

    「すでに一流の投資家と契約を結んでいる場合は、その会社に関してかなりの信頼性がプラスされると言って良いでしょう。例えば、業界ですごく著名なエンジェル投資と契約を結んでいるなどという場合です。彼らは良い企業を見抜く力がありますから、そういった人達が注目しているということは、それなりの説得力があるのです。」

    ベンチャーキャピタリストと話をする機会にありつけたら、次のようなことを質問するべきです。また相手から聞かれそうな質問も挙げました。

    ◆企業側からベンチャーキャピタルにするべき質問

    1. 投資を継続する平均期間はどのくらいですか?

    (つまり、「あなたはどの程度の忍耐力がありますか?」という質問です)

    2. 新規資金調達をするのはいつになりますか?

    「これによって行動パターンがかなり違ってきます。仮に投資家がいて、その人が新規資金調達をする必要があるとしましょう。彼らは必死で数字を伸ばそうとしていますから、あなたの企業が早期に買収されるように仕向ける可能性もあります。こうした動機を理解しておくことは本当に重要です。」

    3. 資金はどのくらいの額があり、初期投資の後に投資できる資本準備金はいくらありますか?

    「この質問により、投資家がどのくらい長くあなたの企業と取引できるか、またあなたにとって大きな変化となる取引の終了は最低どの程度のことで起こり得るのか、だいたい把握することができます。このすべての領域においてきっちりと整理しておくのが賢明でしょう。」

    ◆ベンチャーキャピタルが企業に対してするべき質問

    1. あなたが資金調達をしているのは、裕福になりたいからですか、それとも有名になりたいからですか? 

    「もし起業家が有名になりたいのだとしたら、その主要な動機のひとつは支配権でしょう。永遠にCEOの座を保持したい、またはフォーブス誌に自分のストーリーを特集して欲しい、などという動機です。これはどちらかというとパーソナル・ブランディングの問題と言えます。一方、裕福になりたい人は、自分のビジネスを本当に大きくするというビジョンを持っていますから、投資家たちはそういった人物をより好む傾向にあります。」

    2. 銀行口座に、個人的な貯金はいくらありますか?

    「その起業家がすでに何百万ドルか稼ぎ、銀行に貯金している場合は、これまでに一銭も稼いだこともなく、初めての申し出を受けたくてうずうずしている起業家に比べてリスク許容度が高いと言えます。ですから、私たちが判断材料にしているのは彼らがこれまでにどんなことをしてきたかということであり、持久力のある根性を持っているかということなのです。」

    ティム・チャング氏はフォーブス誌のベンチャーキャピタリストのリストにもランクインする、シリコンバレーのトップ投資家です。ノーウェスト・ベンチャー・パートナーズのパートナーとして活躍しており、モバイル、ゲーム、デジタルメデイア、ソーシャルメディアへの投資を中心に行っているほか、ノーウェストの中国市場でのイニシアチブを担っています。

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