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理学療法士が教えるデスクワークの腰痛対策!椅子と座り方改善で腰痛予防

どんなにやりがいがあって夢中になれる仕事でも、長時間続けていれば体に負担がかかるものです。特に、長時間のデスクワークは腰痛の原因となります。「体の要」である「腰」、痛めてしまうとあらゆる動作がつらくなりますよね。

デスクワークによる腰痛は、長時間の姿勢保持や負担のかかる座り方、体に合っていない椅子などが原因で起こります。本記事では、理学療法士の視点からそれぞれの原因を解説し、デスクワークの腰痛対策として、座り方、ストレッチ、椅子選びのポイントについてお伝えします。

デスクワークで腰痛になる原因と対策

腰痛が起こるメカニズムはさまざまですが、デスクワークで腰痛になる原因としては、主に①長時間の同じ姿勢、②負担がかかる座り方、③椅子が合っていない、の3つがあげられます。以下に、それぞれが腰痛を引き起こすメカニズムとその対策について解説します。

① 長時間の同じ姿勢

デスクワークで腰痛になる原因の1つに、「長時間の同じ姿勢」があげられます。デスクワークなどの座り仕事の場合、手や指は休みなく動かしていても、他の部分はほとんど動いていない場合が多いのではないでしょうか。

筋肉や関節を長い時間動かさずにいると、筋肉がこわばり、血流が悪くなります。筋肉の中にも毛細血管が通っています。筋肉に酸素や栄養分を運ぶのも、筋肉に溜まった老廃物や二酸化炭素を回収するのも血液です。つまり、長時間の同じ姿勢により血流が悪くなると、筋肉の疲労やこわばりが徐々に強くなり、血流がさらに悪くなるという悪循環が起こり、腰痛の原因となるわけです。

血流を維持するためには、とにかく「動かす」ことが大切になります。

② 負担がかかる座り方

2つ目に「負担がかかる座り方」があります。この場合の「負担」とは、腰への負担だけではありません。背中や肩、首などにかかる負担も、すべて腰痛の原因となり得ます。

例えば顔の向きですが、上向き過ぎても下向き過ぎても、頭の重さを支えている首や肩に負担がかかります。同様に、座った時の重心は、前過ぎても後ろ過ぎても、腰や背中に負担がかかります。

体の特定の部位に負担がかかると、その部分の筋肉に余計な力が入ってしまうので、「長時間の同じ姿勢」と同じく血流が悪くなり、さらに筋肉がこわばる、という悪循環となってしまいます。

「正しい座り方」を理解して、できるだけ自分の座り姿勢を正しいものに近づけていくことが大切です。

③ 椅子が合っていない

3つ目に「椅子が合っていない」ことがあげられます。

②であげた「負担がかかる座り方」の多くは椅子が合っていない時に見受けられます。

逆にいうと、椅子を合っているもの、体に負担のかからないものにすると、座り方も自然と改善され、腰痛の予防につながるでしょう。

負担のかからない座り方をするためには、自分の意識ももちろんですが、椅子の高さなども非常に重要です。また、座面や背もたれの硬い椅子の方が体の負担になるイメージがあるかもしれませんが、実は柔らか過ぎる椅子も腰痛を引き起こします。椅子はなんとなくではなく、「正しい座り方」や、「正しい座り姿勢を取れる椅子の選び方」をきちんと知った上で選ぶことをおすすめします。

 

以上、デスクワークでの腰痛の原因として代表的なものを3つあげました。すべてが相互に関連していることがわかります。デスクワークでの腰痛は、どれか1つが原因というわけではなく、複数の要因が組み合わさって引き起こされる場合がほとんどです。

デスクワークの腰痛を予防する正しい座り方

ここでは、腰痛予防の観点から正しい座り方のポイントを、理由とともに解説します。

・ 骨盤を立てることが大切

椅子に座り、背中を思いきり反らした状態と、逆に思いきり猫背の状態を交互に繰り返してみてください。骨盤が前後に傾くのがわかるでしょうか。骨盤が傾くことなく直立した状態が、正しい座り方です。具体的には、おへそが恥骨の真上に無理なく位置しているのが「骨盤を立てる」座り方といえます。

もちろん骨盤は、左右均等に立っていることが大前提ですので、脚を組んで座るなどはNGです。

・ 深く座る

良い姿勢というと、重心を前に持ってきて胸を張るような姿勢を思い浮かべる方がいます。しかし、背中の筋肉に余計な力が入ってしまうのと、腰が「反り腰」とよばれる負担の大きい状態になってしまうため、とても疲れやすく、腰にもよくありません。

上半身が「楽だなぁ」と感じる姿勢が実はもっとも負担がかかりにくい状態になります。楽な状態にするには、背中と背もたれに隙間ができないよう椅子に深く座ることが正しい座り方です。

・ あごを引く

証明写真を撮る時に「あごを引いてください」と言われた経験はありませんか?頭の重さを支えている「首」は、「あごを引く」ことで真っすぐに保たれ、余計な力が入りにくくなります。

さらに、首と腰は頸椎〜腰椎という一連の骨(脊柱)としてつながっており、互いに影響を及ぼすため、首を正しいポジションにすると脊柱全体にも負担がかかりにくくなるのです。

少しでもあごが上がってしまうと、頭の重さにより後頭部が後下方に引かれてしまい、これに抵抗するために無意識のうちに首の筋肉に力が入ってしまいます。あごを引くことで、首の骨(頸椎)の上に無理なく頭が乗り、首や肩の筋活動が最小限に抑えられます。

あごを引いた姿勢を保つためには、本人の意識ももちろん大事ですが、目線の先にあるパソコン画面の高さを適切に設定する、もしくはパソコン画面の高さに合わせて椅子の高さを調節することが非常に効果的です。

・ 膝の角度を90°にする

「座り姿勢」というと、椅子の座面から上に意識が向きがちです。実は膝から下、さらには足のつき方も重要な役割を果たします。膝〜かかとが床と垂直で、足裏全体が床に均等に接地している状態がもっとも良い姿勢が保ちやすいといわれており、膝の角度を90°にすることで実現可能です。

膝の角度がこれより大きくなると(足が前に出ると)かかと側に多く荷重されてしまい、逆に膝の角度が小さいと(足が体側に入り過ぎると)つま先側に荷重がかかり、いずれも足裏全体が均等に接地するのは難しくなります。膝の真下にくるぶしがくるように心がけて座りましょう。

デスクワークの腰痛を改善するストレッチ

デスクワークでの座り方や椅子を少し工夫するだけで、体にかかる負担を大幅に減らすことができます。しかし、正しい座り方でも、長時間同じ姿勢を取っていれば、血流は滞り、腰痛を引き起こすこともあります。

可能であれば、立ち上がって伸びをしたり、少し歩いたりするのが理想です。オフィス環境によってはそれが難しいこともあるでしょう。ここでは、どんな環境でも実践できるように座ったまま行えるデスクワークの腰痛予防、改善につながるストレッチを紹介します。

いずれのストレッチも大きく深呼吸をしながらゆっくりと行いましょう。すでに強い腰痛がある方はくれぐれも無理をしないでください。

・ 首を回す

デスクワークに疲れたら、首をグルグル回すと少しスッキリしますよね。ぜひ試していただきたい、より効果的な首のストレッチがあります。

グルグル回すのではなく、頭を後方に、つまり上を向き、そこから右側(または左側)に大きく首を回すと同時に、あごを引いてくる、というストレッチです。ちょうど、ネジを締めるようなイメージで、最後は反対側の骨盤を見る位置で終わります。左右両方をやってみると左右で差を感じる場合があります。伸びにくい、回しにくいと感じた側は、さらに何回かゆっくりと続けてみてください。

・ 背中を伸ばす&丸める

座り仕事中のストレッチとして、体を大きく伸ばすのはよく見られます。伸びに加えて、丸まるというストレッチも腰痛に効果的なので試してみてください。あごとおへそを近づけ、お腹をへこませるようにするとしっかりと丸まることができます。両手で頭を抱え込んで補助するとさらに小さく丸まれるでしょう。毎日続けていると、脊柱の柔軟性がついてくるのが実感できます。

・ ひねる

最後は体幹を「ひねる」ストレッチです。座った状態で、おへそから下は姿勢を保ちつつ、上半身のみで真後ろを見るように体をひねります。この時、勢いをつけたりせず、あくまでじっくり伸ばすことを意識してください。このストレッチも、左右差を感じる場合は、伸びにくい側をさらに何回か繰り返しましょう。

腰痛対策に最適な椅子の選び方

最後に、腰痛対策に最適な椅子の選び方をお伝えします。

まずは、体への負担が少ない椅子を選ぶことが大切です。椅子の高さやクッション性が自分の体に合っているものが良いでしょう。基準としてはデスクワークをしようとした時に、自然にあごを引いて骨盤が立つような姿勢が取れるものを選んでください。

パソコン画面を見た時にあごが無理なく引けている、膝を90°に曲げた時、足裏全体が床に均等に接地している、などは自分がどれだけ意識しても椅子の高さが合っていない場合には実践するのが難しいです。椅子の高さは椅子選びにおいて非常に重要なポイントといえます。

自宅以外でのリモートワーク環境で自分の椅子を使えない環境では、高さ調節のできる椅子を選ぶと良いでしょう。

さらに、姿勢を矯正してくれるようなパーツがついている椅子がおすすめです。ランバーサポートのように骨盤の角度を調整したり、ヘッドレストのように頭部を適切な位置に保持してくれたりするパーツがあると、体に負担をかけることなく姿勢を矯正してくれます。椅子を選ぶ際には付属パーツもチェックしてみてください。

最高級のオフィス家具を完備するサーブコープのワークスペース

長時間のデスクワークによる腰痛に悩まされている方は、ぜひ今回ご紹介した対策を実践してみてください。

都内に17拠点、国内に27拠点のコワーキングスペースやレンタルオフィスを展開するサーブコープは在宅ワーカーやリモートワーカーのビジネスをサポートします。サーブコープのコワーキングスペースには1名用のデスクスペースから、リラックスしながら仕事、打ち合わせができるテーブル席、写真中央のようなコラボレーションを促進する席があります。オンライン会議用の電話ブースもあるため、用途や気分に応じて自由に席をお選びいただけます。

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    文:齋藤里美

    医療ライター/認定理学療法士(脳卒中)。札幌の医科大学を卒業後、理学療法士として首都圏の急性期総合病院に約20年勤務。現在は病院を早期退職しフリーランスの医療ライターや編集者として活動中。プライベートでは小中学生3人とチワワ2匹の母。

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