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イギリスのEU脱退が日本に与える経済影響とは?

記事136_16月23日、イギリスで行われた国民投票によって、国民的なテーマであった「EUからの離脱(ブレグジット)」が決定されました。(ブレグジットとは、British(英国/イギリス)とExit(離脱)の造語)

当初、国際的には「残留するだろう」との予測が大半だった中での離脱決定に、世界は大きく揺れました。現在の国際経済は、さまざまな国々の経済が密接に関わっています。日本にとってもイギリスのEU離脱は対岸の火事ではありません。果たして「ブレグジット」は日本にどのような影響を与えるのでしょうか?

為替相場によって生じる影響

日本において、離脱決定の影響が真っ先に現れたのは為替相場です。開票結果の速報が伝えられた翌24日には、為替相場で円が対ドルで一時100円を割りました。離脱決定による経済的な不安からイギリスのポンドが売られ、安全資産とされる円が買われたことが理由とされています。

イギリスのEU離脱を引き金とした円高は、日本の輸出企業にとって大きなダメージとなる可能性を秘めているのです。(日本企業が海外輸出をする際、円安だと海外の人は安く買うことができますが、円高だと逆により高い対価を支払わなければ買うことができないため)。

為替相場による影響はそればかりではありません。ポンドの価値が下落したため、イギリスはこれから海外からものを買うとき、今までよりも余計にポンドを支払わなければならなくなります。この負担によってイギリス経済が不況に陥れば、イギリスに進出している日本企業も被害を被ってしまうでしょう。

EU市場全体が縮小する可能性も?

離脱が決定したとはいえ、国の位置が変わるわけではありません。イギリスが自国の経済を循環させるためには、引き続きヨーロッパという地域でEU各国と貿易を行う必要があります。

しかし、EU離脱によってポンドの価値が下落したため、イギリスの購買力は低下する可能性があります。またEU離脱によってEU各国との間に関税が復活するため、以前よりも「貿易しにくい」状態ができあがってしまうでしょう。

つまり、「イギリス人がEUからものを買わなくなり、ものが売れなくなったEUも不景気に陥る」という悪循環に陥りかねないのです。そうなってしまえば、EUやイギリスで活動している日本企業もものが売れなくなり、売上や利益が落ち込んでしまいます。

「ロンドン金融市場」の縮小で日本企業も打撃を被る?

記事136_2イギリスの首都であるロンドンは、「世界の金融都市」としての側面も持っています。株式や証券など世界の金融商品の取引は、アメリカのニューヨークや中国の上海、そして日本の東京といった市場を中心として行われていますが、ロンドンもこうした国際的な金融取引のメイン会場の一つなのです。

しかし、EU離脱によって、ロンドンはこうした国際的な存在感を失ってしまうかもしれません。現在、各国の金融機関は「ヨーロッパにおける拠点」をロンドンに置いていますが、その理由の一つが「EUに加盟しているため、ロンドンに拠点を置いておけばほかのEU加盟国とも面倒な手続きなしで取引できる」からです。

イギリスがEUを離脱すればこうしたメリットがなくなるため、各国がヨーロッパにおける拠点を別の国に移し、ロンドン市場は衰退してしまうかもしれません。日本の金融機関もその多くがヨーロッパにおける拠点をロンドンに置いており、この影響を免れることは難しいと考えられます。ロンドン市場が衰退してしまえば、1兆7000億円にも及ぶ日本の対英直接投資が損失を被り、日本企業の業績に悪影響を与えることも考えられるでしょう。

イギリスのEU脱退は日本企業にとって大きな打撃となる可能性も

このように、イギリスのEU離脱は巡り巡って、さまざまな場所で日本企業にも影響をもたらす可能性が予想されます。企業の売上や利益が落ちれば、そこで働く人々の給与や雇用にも被害が及ぶでしょう。最悪の場合、イギリスのEU離脱を引き金に日本が新たな不況に突入してしまうことも考えられるのです。

ブレグジットによる、日本経済へのさまざまな影響について考えてきましたが、イギリスが実際にEUを離脱するのは、EUの脱退条項を行使してから最小でも2年後といわれています。(参照: EU離脱、イギリスはどうなる? 数日後、数カ月後、数年後のシナリオ)つまり、日本など諸外国もブレグジットによる経済影響に対策を講じる期間があるということです。

サーブコープは本社をオーストラリアに置き、世界中に約150拠点を持つグローバル企業です。イギリスにも4拠点を構えており、私たちもブレグジットによる世界的な経済への影響を常に想定していかなければいけない立場にあります。

もしあなたの会社や事業がイギリスやヨーロッパとの取引を行っていたり、いずれ行っていく展望がある場合は、サーブコープの各拠点が持つ「現地の情報」や「現地の優秀なスタッフ」がお役に立てることがあるかもしれません。

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