通勤時間、徒歩4分! 職住近接って実際どうなの!?
毎日満員電車に揺られているビジネスパーソンなら、きっと誰でも一度は憧れる、職住近接。この生活スタイルは通勤時間を大幅に削減できますが、金銭的な理由などで躊躇する人も少なくないでしょう。今回は、実際に職住近接生活をしている人の体験談を踏まえながら、職住近接のメリット・デメリットについて考察します。
職住近接をはじめたきっかけ
Tさん(28)は、企業のコーポレートサイトやWEBメディアを中心に執筆活動をしているフリーライター。広告案件の仕事も多く、広告代理店との打ち合わせのために週に3~4度は港区赤坂に出向くそうです。
そんなTさんが職住近接生活のために、以前の住まいだった世田谷区から赤坂に引っ越したのは、5年前。赤坂駅と溜池山王駅の中間に立地する、1Kマンションに住んでいます。気になる通勤時間は、40分から、なんと約4分に!部屋の広さや物件の築年数、最寄り駅までの距離はほとんど変わらず、家賃は8.5万から12.5万になりました。
職住近接生活を始めた理由は「生活の中で最も無駄と感じたのが、通勤時間だったから」とのこと。Tさん曰く、5年ほど前から仕事の量が増え始め、24時間という限られた時間をいかに効率良く過ごすか、そのために削るべき時間を考えた結果なのだそうです。
「家を出てからクライアントのオフィスまで約40分でしたが、その移動中にできる作業は、メールの返信くらい。満員電車だった場合はスマホを使うのも困難ですし、移動だけでドッと疲れてしまいます。40分もあれば、短い原稿なら一本は書けてしまうほどの貴重な時間です。それならいっそ、多少のコストはかかっても、通勤時間のない生活をしてしまったほうが精神的に楽なのでは、と考えました」と、Tさんは話します。
また、「通勤時間を有効活用するためのアイデアはネット上にあふれていますが、習慣化できたことは結局なかったので、通勤時間の有効活用はとても難しいと感じていました」とTさんは振り返ります。
職住近接で生まれた、価値観の変化
Tさんは職住近接によって、お金の使い方に対する考え方が変わったと言います。「私の職住近接生活をシンプルに言えば、通勤時間を買ったことになると思います。家賃が4万円上がることを覚悟してこの生活を始めることで、時間をお金で買うという癖がついたのは、大きな変化でした。24時間という限られた時間のうち、自分が自由に使える時間を増やすことで、1日がこんなに長いものだったのかと、驚いています」と話します。
加えて、アクセスの良い都心に住むことで、「30分後に打ち合わせがしたい」という急な相談にも応えられるようになり、「フットワークの軽いライター」と評価されることもあるのだそう。
「接待の席で『終電が……』と中座して場の空気を悪くすることがなくなり、『付き合いの良い人』ということでクライアントとの距離が近くなった経験はあります。それに、例えばタクシーの深夜料金でも、銀座から自宅までは2,000円弱なので、無駄に高いタクシー代を払って帰ることもなくなりました」とTさんは語ります。
職住近接生活を有効活用できるかどうかは、自分のルール次第
とはいえ、職住近接にはデメリットと言える点も。一番のネックは、やはり家賃だそうです。「職場や出向先が都心にあって職住隣接を考えるなら、3~4万の家賃アップは覚悟をしなければいけないです。物件選びのコツは、できるだけ引っ越しのオフシーズンを狙って、物件の選択肢を増やすことですね。また、引っ越し前に家計収支の変化を、できるだけ詳細にシミュレーションしておくことをオススメします」と、Tさんはアドバイスもくださいました。
また、職住近接生活で注意すべき点は、生活にメリハリを持たせることなのだそう。「上がった家賃の分、時間を有効に活用できれば全く問題はないと思います。しかし、職住隣接の生活に慣れてきてしまうと、つい出発ギリギリの時間まで家でダラダラとしてしまいがち。また、『もう一軒くらい』と、遅くまで飲み歩いてしまうこともあります。終電という“門限”が存在しない分、自分の生活リズムをしっかりと守る意志の強さが必要です」とTさんは話します。
職住近接生活を始めたら……頭の中でイメージしてみよう
今回Tさんから教えていただいた、職住近接生活のメリット、デメリット。職住近接は「通勤のストレスが減り、自分が自由に使える時間が増える」というメリットはありますが、「家賃が上がってしまう、得られた時間の有効活用」は、自己管理能力次第と言えます。
職住近接に興味のある方は、「職場の近くに引っ越した場合の日常」を頭の中でシミュレーションしてみてはいかがでしょうか。