世界と比較!日本のシェアリング・エコノミーの認知度・利用意向・利用率とは?
個人が持っているモノ、スペース、サービス、スキルなどの遊休資産を、インターネットなどのプラットフォームを使い、共有する「シェアリング・エコノミー」。今、さまざまなサービスが世界中に広まっています。今回は、日本における認知度、利用意向、利用率について、世界と日本の実態を比較します。
大きな可能性を秘めているシェアリング・エコノミー
平成27年度版の経済産業省「情報通信白書」によると、シェアリング・エコノミーの全世界の市場は2013年が150億ドル、そして2025年には20倍以上の3,350億ドルに激増すると予想されています。短期間で大きな経済効果を生み出すと期待されている一方で、日本は法令などの問題から、他の国に比べて浸透しにくいと、言われています。
世界に比べて、日本では認知度も利用率も低いのが現状
総務省の「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」(2016年)の中でも、とくに「民泊」と「駐車スペース」のシェアサービスについて、実態を比較してみましょう。
「民泊」は、日本が認知度、利用意向ともに低い
出典:総務省ホームページ https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc131230.html
民泊サービスの認知度は、アメリカでは86.5%、韓国90.6%であるのに対して、日本では72.0%と最も低いことがわかりました。最も認知度が低い日本でも7割を超えることから、民泊サービスは世界各国で広く認知されているサービスと言えそうです。利用意向は、中国84.2%、韓国77.6%、アメリカ55.0%と半数を超えていますが、日本は31.6%にとどまっています。
「駐車スペース」の利用率は、日本では10%以下
出典:総務省ホームページ https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc131230.html
つぎに、駐車スペースのシェアサービスを見てみると、その認知度はアメリカが68.9%、イギリス72.1%、中国84.1%と半数以上がある一方で、日本は49.7%とこちらも認知度が低いことがわかります。利用率も中国33.5%、アメリカ25.1%と高く、日本は「akippa」や「軒先パーキング」などの日本独自のサービスがあるにもかかわらず、利用率は6.0%にとどまり、シェアサービスが一般的になるまで時間がかかりそうです。
日本で認知が広がるには気軽さ、便利さがカギに
民泊の利用意向や駐車スペースの利用率からもわかるように、最近急速にシェアリング・エコノミーが拡大しているのが中国です。とくに北京では通勤にシェアサイクルを使う人が増えています。アプリで簡単に自転車が借りられ、主要駅やマンションの下にも駐輪スポットがあり、家から利用することが可能です。また利用料も30分1元程度(日本円で約17円)が基本で手軽です。今では北京だけで235万台の自転車が導入されています。
一方、日本におけるシェアリング・エコノミーは、2014年にAirbnbやUberといった米国発のサービスが続々上陸しましたが、法令の問題もあり、爆発的な広まりはまだ見せていません。安倍首相も経済効果の大きいシェアリング・エコノミーを実現するためには、阻害する制度・行政の抜本的な見直しが必要と発言しています。新経済連盟によると日本における経済効果は、10兆円台にのぼると試算されており、大きな可能性を秘めたビジネスであることは間違いありません。
とくに、2020年に東京オリンピック・パラリンピックを控えて、民泊サービスは大きな経済効果を生み出すことが予想されています。2017年3月に「民泊新法(住宅宿泊事業法)」の法案が閣議決定され、今までの旅館業や特区民泊に比べると条件が緩和されることも民泊を後押しするでしょう。このような制度改革が行われることで、今後ますますシェアリング・エコノミーが身近な存在になっていきそうです。