弁護士監修|コンプライアンスとは? 違反事例やリスク、企業や個人が守るべきルールを解説
※2018年5月29日に公開された記事を再編集したものです。
近年、ますます社会的な関心が高まっている「コンプライアンス」。インターネットの普及で企業や個人の不祥事や失敗が明るみに出やすくなり、バッシングを目にする機会も増えています。コンプライアンス違反は行政処分の対象になるだけでなく、社会からの信頼を一気に失墜させるリスクもはらんでいます。
そこで今回は、「コンプライアンス」の意味を確認するとともに、違反事例や、企業・個人がそれぞれに守るべきルールを弁護士監修のもと、解説します。
コンプライアンスとは? 歴史的な背景と近年の違反事例
「コンプライアンス」は日本語に直訳すると「法令遵守」となりますが、対象となるのは国の法律や条例だけでなく、以下のような企業の社内規則や業務マニュアル、さらには一般的な社会倫理までを含めた、幅広いルールや規範を遵守することを意味します。
コンプライアンスの対象となる規範法規範
社会の秩序を支えるために国会や地方議会で定められた法律や条例。
法としての拘束力がある。社内規範(社則)
社内で決められたルールや業務マニュアルなどの規則。倫理規範
職務上、守らなければいけない行動基準。
続発する大企業の不祥事を受け、2000年台に入ってから、日本ではコンプライアンス体制の整備が社会的に求められるようになりました。昨今では、ブラック企業問題や過労死事件、ハラスメント事例の増加が目立ち、コンプライアンスに対する社会の目がますます厳しくなると同時に、企業や個人の意識も高まっています。
コンプライアンスに違反すると、行政庁による摘発や処分はもとより、長年積み重ねてきた信頼が一気に崩れるリスクも見逃せません。いまや情報が拡散されるスピードは速く、SNSなどで炎上すれば、消費者、取引先、株主などからの信頼が一気に失墜し、ともすれば倒産や事業縮小に追い込まれる可能性もあります。
たとえば、詐欺的な投資スキームが指摘されていた「ケフィア事業振興会」が最近のコンプライアンス違反の事例として挙げられます。同社は、2017年11月頃に会員への利息支払いの遅延などの問題が発覚し、その後1年を待たず2018年9月に破産申請を行いました。
なお、帝国データバンクによる調査によると、2018年度のコンプライアンス違反による倒産件数は233件であり、3年ぶりの増加となっています。違反類型別では、企業の実態とは異なる虚偽の決算書を公表する「粉飾」が73件と最多で、詐欺や横領などの「資金使途不正」は59件と過去2番目の高水準となっています。
企業や従業員が守るべきコンプライアンスとは?
企業は活動を行う上でさまざまな法令を意識する必要がありますが、ここからは大きく3点にしぼり、企業が守るべきコンプライアンスについて簡単に説明します。
法を知り、きちんと守る
食品の偽装や過労によるトラック運転手の事故、企業のブラック体質などは、法律を遵守していないからこそ起きる問題です。ルールを守らなければ、命や健康、財産といった誰かの権利や法益を侵害することになります。労働法を含めた法をまずしっかりと知り、それを守ることがコンプライアンスの実現の第一歩です。
企業の社内ルールを制定し、教育を徹底する
事業の目的や事業活動の統一性や規律など、会社独自の倫理・行動規範を定めた「社内ルール」は、会社側はもちろん、従業員も遵守する必要があります。従業員に対してはしっかり研修を行うほか、従業員の声を拾いあげる体制を整えることも大切です。それにより、組織への帰属意識が高まり、ルール違反を未然に防ぐことにつながります。
社会的倫理に照らし合わせる
法律や社内ルールに直接抵触していないのに生じる、コンプライアンス違反というものがあります。法や規範に反しているわけではないのに、社長や従業員、アルバイトも含めてその企業の看板を背負う人の行為や発言が炎上し、謝罪や謹慎に追い込まれるようなケースです。このような場合は、なにが守るべき規範かが判然としないという点で厄介ですが、時代とともに変化する社会的倫理に照らし合わせる努力は必要といえるでしょう。
フリーランスにも「コンプライアンス」は関係ある?
フリーランスも独立した一事業者として積極的に法令を知り、それを遵守する責任が求められます。また、仕事の発注者と交わした契約条項を守る必要ももちろんあります。ただ、フリーランスと仕事の発注者の関係でいえば、コンプライアンスをより守るべきは発注者側であることが大半です。フリーランスは過度な要求を迫られることがないよう、契約書の内容に不明な点があれば曖昧にせず、しっかりと確認しておくことが大切です。
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監修・笹山尚人弁護士
東京法律事務所所属。労働事件全般(労働者側)、契約法一般などを取り扱う。単著に「ブラック職場~過ちはなぜ繰り返されるのか」(光文社新書)「パワハラに負けない!」(岩波ジュニア新書)など多数。