ファッション系ECサイト・ZOZOTOWNが「送料自由」の取り組みで得たものとは?
株式会社スタートトゥデイが運営するファッション系ECサイト「ZOZOTOWN」。
ZOZOTOWNは、2017年10月1日から31日まで期間限定で、試験的に「送料自由」という取り組みを発表し、SNSを中心に大きな話題となりました。今回は、ZOZOTOWNが行った「送料自由」の取り組みとその反響について、ご紹介します。
ZOZOTOWNが発表した「送料自由」について
出典:https://www.starttoday.jp/
「送料自由」とは、その名のとおり、購入者が送料を自分で自由に設定できるという取り組みです。ショッピングカート画面には「送料はお客様がお決めください」という記載があり、購入者は任意の金額を入力できます。金額の幅は無料の0円から3,000円まで設定されており、3,000円以上の入力では、決済できない設定です。また、送料を指定しなかった場合は、初期設定である400円が自動入力される設定となっていました。
送料自由に取り組んだのは「適正価格」を探るため
送料自由の取り組みを行う目的は、「購入者が考える送料の適正価格を知るため」と発表されています。再配達のコストや人員不足など物流業の問題が叫ばれる今、送料の価格設定をあえて購入者にゆだねることで、全体の平均値を改めて調査することができます。
取り組み当初、多くの人は「0円」を選ぶはずだという声も上がっておりましたが、結果的に、1日から22日までの約3週間で送料を無料設定にした人は、43%と半数を下回り、残りの57%が設定した送料の平均額は96円でした。
ZOZOTOWNはその結果について「利用頻度の高いユーザーほど、送料をお支払いいただいている傾向」というコメントを発表しています。
取り組みが話題となりPR効果も
送料自由が話題になったのは、社長を含めた社員のSNS告知も要因のひとつと言えます。前澤社長は、送料自由の開始とともにTwitterにて告知。
「自由に価格を決めていただくことで、運ぶ人と受け取る人との間に、気持ちの交換が生まれれば素敵だなと思います」
と語り、7,000件以上のリツイートを獲得しました。
また、発表後も速報として、全体に対し0円が設定された割合や、都道府県別の平均送料ランキングが公開され、更に話題を呼びました。
平均送料1位は、福島県で(111.73円)、2位は岩手県(111.08円)、3位は青森県(110.79円)、45位は兵庫県(88.78円)、46位は大阪府(88.68円)、47位は奈良県(86.05円)とワースト3位は近畿地方が占める結果になり、この結果を取り上げるメディアも多数見られました。
この盛り上がりに、一般ユーザーからは「PRとしてうまい」といった称賛の声も上がりました。テレビCMや雑誌告知などに広告宣伝費用をかけることなく、送料自由の取り組みによってZOZOTOWN のPRができています。
今後は送料一律200円に設定される見通し
その後、前澤社長は決算記者会見にて「送料が無料で当たり前という誤認識を与えてしまったのはEC事業者の責任」などと語り、11月1日以降の送料は一律200円の有料化を決定しました。
配送契約しているヤマト運輸の運賃値上げや、送料変更によるコストの拡大も予想されますが、200円に設定することでZOZOTOWN の業績への影響はないと言われています。今後は、物流全般の効率化や機械化をすすめ、購入者の希望金額である100円前後の送料に近けるよう、企業努力を継続するとコメントしています。
今回ご紹介した、送料自由の取り組み。結果として、当初の目的である、送料の適正価格の指標を得るだけではなく、取り組み自体がSNSを中心に話題になったため、送料について多くのユーザーから生の声を聞くことができ、更に会社のPRまで行えた大成功の取り組みと言えるのではないでしょうか。