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英語でプレゼン資料を作成するときの注意点を英語研修のプロが解説

プレゼンテーション

大勢の人の前でプレゼンをする経験の少ない方にはいろいろお悩みがあるでしょう。まして英語でのプレゼンとなると、さらにハードルが上がりますね。英語で行うプレゼンでは、語彙や文法の他に発音など、英語能力そのものの問題ももちろんありますが、それに加えて、どんなプレゼン資料を作るかについて悩まれる方もお悩みの方も多いようです。そこでこの記事では、「英語でプレゼン資料を作成するときの注意点」をご紹介いたします。

「聴く人にとってわかりやすい」プレゼン資料作りを目指す

資料

プレゼン経験の少ない人にとっては、それをやり遂げること自体に気持ちが集中してしまう傾向にあり、準備においても、実際にプレゼンを行う段階においても、プレゼン自体がスムーズに進むことを目的にしてしまう傾向にあります。

しかし、原点に立ち戻ると、プレゼンは、話す内容をその場で聴く人に正確に伝えるだけでなく、最終的には、相手の行動の変容を促すことが目的となります。この目標を達成するためには、まず「プレゼンは聴く人のため」に行うものであり、したがって資料作りも「聴く人にとってわかりやすい」ものにすべきであるということを、まず大前提として心得ておくべきです。このいわば「聴衆ファースト」の姿勢を貫き、素晴らしいプレゼンにするためには、具体的にどんな資料にしたらよいか、ポイントを以下に紹介していきます。

1.冒頭で目的を明確にし、流れを示す

特にビジネスにおけるプレゼンテーションでは、聴衆には「忙しい時間を割いて聴きにきている」という意識が高いため、冒頭でプレゼンテーションの目的を示し、さらにプレゼン全体の流れが把握できるようすべきでしょう。プレゼンスライドの冒頭ページに「目的」、次のページに「流れ」を示すことをおすすめします。目的を伝えることで、聴衆はこれから始まるプレゼンが自分の来場した目的に沿ったものかを確認することができ、流れを伝えることでいわば聴衆の頭の中に目次を設定することができることができます。目的を明確に示し、流れを示すとともに、おおよその所要時間もプレゼンの冒頭で示しておくと、聴衆の緊張感を適切に保つことができ、プレゼン成功の確率を高めることにつながるでしょう。

2.流れはPREP法、SDS法で

日本語でのプレゼンテーションではいわゆる「起承転結」と呼ばれる説明の順番が一つの典型とされてきましたが、英語でプレゼンを行う場合は、まず冒頭で「結論」を述べ、それを補強する「理由」、そして「具体例」を示した後に、再び冒頭で述べた「結論」を繰り返す方法が標準的です。聴く側もこの流れに慣れているために、これに沿って資料も作り話すことが、相手の理解を容易にすることにつながります。この方法は「結論(Point)」、「理由(Reasons)」、「具体例(Examples)」「結論(Points)」の頭文字をとってPREP法と呼ばれます。また内容的には同じことですが、「要約(Summary)」、「詳細(Details)」、「要約(Summary)」の頭文字を並べてSDS法と呼ばれたりします。理由については、一つの主張の根拠となる例は一つではなく、3つ程度提示できれば、プレゼンの説得性が高まると言われています。PREP、SDSという頭文字を思い浮かべながら資料を作成すれば、ポンントを外さず資料作りができると思います。

3.1スライド1メッセージ

なるべく多くのことを効率的に伝えようとする人は、熱心さのあまり、一つのスライドに多数の内容の異なるメッセージを詰め込む傾向にありますが、これは逆効果です。聴衆が、「わかりにくいな」「何が言いたいの」と困惑しないためには、1つのスライドで伝えるメッセージは必ず1つに限定しましょう。当然と言えば当然ですが、話す内容と、スライドに表示されている内容とは、しっかり一致していなければなりません。

4.字数を少なく、箇条書きを活用する

せっかく1スライド1メッセージを守っていても、そのメッセージが、多くの文章が書き連ねてある形になっていると、せっかくの努力が無駄になります。こうした資料の欠点は、聴衆の意識が書かれている文章を読むことに集中し、プレゼンターの話を聴こうとしないという点にあります。あくまでプレゼンの中心的メッセージは、プレゼンターの語りにあります。語りに集中してもらうために、プレゼン資料の内容記載は箇条書きを中心とし、一つ一つの内容が一行に収まるよう、字数も限定するようにしましょう。全体として見れば、スライド全体に空白が多いくらいで、ちょうどいいのです。

5.図表やイラストの活用

箇条書きに加えて、ポイントを抑えたわかりやすいプレゼンにするための強力な武器が図表やイラストです。表やグラフを有効に使えば、プレゼン内容をしっかり根拠づけてくれます。またイラストも、話されている内容により強いイメージを抱かせる効果があります。但し、これらを使う際に留意する点もあります。
まずグラフや表については、目盛の表示や注記のフォントサイズがあまりに小さいと、せっかくのメッセージが伝わりにくくなります。また表やグラフのデザインがあまりにも込み入っているとわかりづらい印象を与えます。デザイン性に過度に凝らず、シンプルなデザインの棒グラフや円グラフが、むしろ効果的を発揮します。美的な印象も大切ですが、「伝わる」ことの方がより重要なのです。また、イラストを挿入する際は、必ず話されている内容に関連のあるものにしましょう。スライドの空白を埋めなければという意識が先行して、関連の感じられないものを入れることは、むしろ逆効果となりますので注意しましょう。

6.フォントは統一し、サイズにも気を配る

聴衆の集中力は些細なことで阻害されてしまうことがあります。例えば、プレゼンターがあまり多く「え〜」、「あの〜」などの意味のない間投詞を使うと、話の内容よりもそちらの方が気になってしまうことがあります。プレゼン資料について言えば、使われているフォントが統一されていないケースも、こうした阻害要因になることがあります。また、使われているフォントサイズが小さすぎて見えにくくなれば、それも同様です。最近では、オンライン会議などにスマートフォンで参加する人も多くなっていますが、そうした人を意識すると、フォントサイズは24ポイント以上を目安にするとよいと言われています。

7.色使いにも統一感を

色使いについては、プレゼンテーションを通して、統一的な色使いを心がけましょう。スライド毎に色使いが異なると、フォントの統一感がないときと同じように、聴衆の集中を妨げる要因になります。また、使う色があまり多くなることも避けたいものです。2つか3つ程度を基本とし、それらの関係も補色となるようにするのが、見映えがよく、聴衆の理解を助けやすい資料にするコツとされています。もちろん、特に強調したい点については、フォントの色を変えるなどの工夫も効果的です。また、色や全体のトーンの選定には、聴衆がどんな人たちかを考慮することも大切でしょう。子供向けのものなら、よりカラフルに、ビジネス向けなら、やや控えめのトーンにするなどです。

8.語彙、文法、スペリングなど

言葉使いについても、聴衆を意識することが求められます。自分の専門分野について、その分野について詳しくない聴取に対して語る場合には、なるべくわかりやすい語彙や言い回しを選ぶことが求められます。一方、専門分野の集まりでは、むしろそうすることは逆効果です。業界の誰もが知っている、あるいは知っているべき専門用語を使うべきところで異なる語彙を使ってしまうと、その分野のプロフェッショナルではないと見なされてしまい、プレゼン全体への信用を損ねることになります。また、文法や綴りにもしっかりと注意を向けましょう。資料作成後にはしっかりとチェックを行うことが必要です。最近では、さまざまな文法チェック、スペルチェック機能がオンラインで提供されていますから(例えば「Grammarly」など)、そういうものがあるにもかかわらず、ミスが多いと、「このプレゼンターは仕事が雑」とのレッテルを貼られてしまいます。多くのプレゼンでは、仕事の獲得が目的となりますので、このような小さなミスを頻発させると、目的達成が遠のいてしまいます。細部に細心の注意を払うべきでしょう。

質が高い英語プレゼン資料を作成するために

オフィスでの会話

細心の注意を払っても、英語という外国語で資料を作るわけですから、最終的には自信が持てないということもあるでしょう。理想的にはネイティブスピーカーにチェックを受けるのが良いですが、そういう人が周りにいない、あるいは依頼するためにお金がかかるような場合も考えられます。最近では、AIを使ったGrammaryDeepLという機械翻訳サービスが最近開発したDepplWriteというサービスが、比較的しっかりしたチェック機能を提供してくれます。こうしたものを利用することによって、英語らしい言語的な面からも質の高い英語プレゼン資料作成が可能になるでしょう。

grammary

最後にまとめのスライドを置く


この記事の最初に、冒頭でプレゼンテーションの目的と流れを示すことの意義を伝えましたが、伝えたことを整理しまとめることも、聴衆の理解を補強し定着させるために重要です。そのため、最後にまとめのスライドを置き、プレゼン内容を再度伝えることを忘れないようにしましょう。

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    文・戸田博之

    日本ビジネスメール協会認定講師。オフィス エイ・エイチ代表。大手銀行・外資系金融企業で海外勤務を含む海外関連業務に長年従事。大学(早稲田、明治、法政)で英語講師を務める傍ら、社会人向けビジネス・ライティング指導に注力。2020年、英文ビジネスに関わる博士論文で東京大学大学院より博士号取得。

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