公式HP サーブコープブログ知識・ノウハウ公認会計士に聞いた、 個人事業主・経営者が「経費管理」で気をつけるべきこととは?

公認会計士に聞いた、 個人事業主・経営者が「経費管理」で気をつけるべきこととは?

個人事業主・経営者が頭を悩ますことのひとつに、「経費管理」があります。毎月の経費をきちんと管理できていなければ、事業がうまくいっているのかどうか、その実態をつかむことができません。ところが、面倒な経費管理もちょっとしたコツを知ることで、今までより管理が劇的にラクになることをご存知ですか? そこで今回は、OneWorld税理士法人 公認会計士・税理士の大野修平先生に、今すぐやるべき経費管理の基本について伺いました。

経費は「現金払い」派がダントツ! 本当にそれでいいの?

画像_2クレジットカード事業を展開するポケットカード株式会社の調査によると、経費の支払い方法は「現金払い」が89.7%と突出して多いことがわかります。クレジットカード払いだと、ついつい使いすぎてしまう可能性も高く、なるべく現金で支払って出金を管理するほうが安心、という人が多いのかもしれません。ところが、大野先生によると、入金と出金には鉄則があり、支払い方法はそこを考慮すると必要があると言います。

――調査結果で個人事業主・経営者の約90%が事業の経費を現金で支払っていることがわかりました。

なるほど。この結果には、メリットよりもデメリットが多いことを知る必要がありますね。現金払いで注意すべきは、レシートをなくすと支払いの証拠が全くなくなってしまうことです。一方クレジットカードは、利用明細が発行されるので、万が一レシートをなくしてしまった場合に利用明細を補助的に証拠とすることができます。

経費管理に関して、私たちがいつもアドバイスしているのが「資金繰り」です。資金繰りについては「支払いは遅く、入金は早く」が鉄則です。例えば、入金が請求時の2カ月後の場合、現金払いだと出金が先に出てしまいますよね。これをクレジットカードで支払うと、出金と入金が同時期になる可能性が高くなり安心です。そういう意味でも、クレジットカードを使うのは、一定のメリットがあると言えます。

経費とプライベートの支払いを同じクレジットカードで支払うデメリットとは?

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――クレジットカードを使う場合、事業の経費用とプライベート用でカードを分けたほうがいいのでしょうか?

僕は絶対に分けたほうがいいと思います。きちんと分けると毎月の明細を見た時に、ビジネスの経費がどのくらいかかったのかが一目瞭然だからです。個人事業主の方はビジネスとプライベートの出費が混合しがちなので、銀行口座やSuica、PASMOといったICカードもビジネス用とプライベート用に分けておきましょう。

経費管理には「会計ソフト」を使うと便利です。なかでもお勧めなのは、クラウド版。クラウド版では、クレジットカードと銀行口座を登録するとそれらを紐付けることができます。ほぼ自動で取り込んでくれるので、月末に現金で支払った分を入力すれば、経費管理がそれだけで終わりますよ。

経費管理は手間をかけず、浮いた時間でビジネスチャンスをつかむ!

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――経費に関して、個人事業主・経営者が気をつけなくてはいけないことは?

一番はプライベートの費用なのか、事業に関係するものなのかをハッキリ分けることだと思います。事業に関係しないものは、経費にはなりません。意外と何でも経費に入れてしまっている方が多いので、注意が必要です。

――事業の関連するものか、プライベートのものか、見分けづらいところもあると思います。

そうですね。正直言って、見分けづらいです。何をもって事業に関係するのかしないのかというのは、法律で決まっているものではなく、「社会通念上」で判断する必要があります。つまり、みなさんの常識の範囲内で判断してくださいということです。すべての経費について、事業との関係性を説明できる必要がありますね。

――個人の支出を事業の経費として計上するリスクは?

リスクはかなり高いと言えます。まずは、罰金的な税金、加算税がかかります。これには過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税の4種類があります。

画像_5税率が複雑なのですが、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税は10~20%程度、重加算税は35~50%程度と考えればいいでしょう。

それぞれを説明すると、経費を多く申告してしまう、売上を小さく申告してしまうのは、過少申告になります。無申告は、そもそも確定申告しない場合。不納付は、お金がないから納めない、申告はしたけど税金を納めないという場合。重加算はかなり悪質な過少申告を行った場合に課されます。

例えば2,000万円の売上があるのに、1,000万円しかないと申告した場合、悪質とみなされて、重加算税が課される可能性があります。それにプラスして、期限内に納税を行っていないので、法定納期限の翌日から納付日までの延滞税がかかります。この利息はかなり高くて、一番多い場合で、9%程度です。(※2016年6月現在)

重加算税が40%だとすると400万円、納付期限から1年が経過すると利息が9%で90万円プラスされます。つまり追加で500万円弱を支払う必要があるということです。

――それは大変です。その他に何か注意すべき点はありますか?

経費とプライベートを分けないその他のリスクは、ビジネスでいくら儲けたのか、赤字がどのぐらいなのかがわからなくなってしまうことです。それはつまり、どんぶり勘定を行い、事業実態をつかめずにビジネスをしていることと同じです。ところが、多くの個人事業主がこのような状態で、事業を行っています。どんぶり勘定ではなく、経費とプライベートを分ける仕組み作りをしてしまった方がビジネスに集中することができますよ。

経費の確認にかける時間が削減できれば、もう1本提案書が書けるかもしれないし、何か新しいビジネスを思いつくかもしれません。経費のことに気を取られて、ビジネスチャンスを逃してしまうのはもったいないですよね。

――最後に、ビジネス用のクレジットカードに溜まったポイントや特典は使っても問題ないのでしょうか?

ビジネスの経費支払いによって得たクレジットカードのポイントや特典。実は、これらの利用は問題ないことなんです。せっかくビジネス用のクレジットカードを持つなら、少しでも得になるクレジットカードを利用したいものですね。取引先の決済方法や、新幹線や飛行機利用などを考慮し、自身のビジネスに最適なポイントや特典が付いているカードを選びましょう。

まとめ

思わず見て見ぬ振りをしたくなる、面倒な経費管理。口座、クレジットカード、ICカードなど、経費とプライベートの支払い方法を明確に区別することで、よりわかりやすく、簡単に経費管理ができることがわかりました。

また、クレジットカードを使ってビジネスの経費を支払うことで、現金を手元に残しておける、支払い日を先にできる、ポイントや特典を得られる・そのポイントや特典を活用できるといったメリットがあることがわかりました。

ビジネスとプライベートの支払い方法の区別によってビジネスの経費管理を効率化し、ビジネスをさらに発展させるための時間として有効活用してはいかがでしょうか。

【監修】
大野修平 セブンセンス税理士法人/公認会計士・税理士
大学卒業後、有限責任監査法人トーマツへ入所。金融インダストリーグループにて、主に銀行、証券、保険会社の監査に従事。

トーマツ退所後は、資金調達支援、資本政策策定支援、補助金申請支援などで多数の支援経験を持つ。
また、スタートアップ企業の育成・支援にも力をいれており、各種アクセラレーションプログラムでのメンタリングや講義、ピッチイベントでの審査員および協賛などにも精力的に関わっている。

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画像_7【データ提供】
ポケットカード株式会社
ビジネス資金調達のキャッシング融資枠や、経費立替え・精算に最適な、法人でなくても持てるビジネス用クレジットカード「P-one Business MasterCard」を展開。
P-one Business MasterCard 公式ページはこちら
<PC版>
<スマートフォン版>

【データ概要】
調査タイトル:仕事に関するアンケート
調査方法:インターネットリサーチ
調査期間:2016年5月30日~5月31日
調査対象:20歳以上の個人事業主もしくは起業家の男女300名(Qzoo会員)


 

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