インフルエンザの季節!管理栄養士による免疫力アップの食まとめ
例年、インフルエンザの流行は1月下旬から2月の間にピークを迎えます。感染しないための予防策は、体の免疫力を上げておくこと。そこで、免疫力アップにつながる食品と外食メニューの選び方を管理栄養士がご紹介します。
加齢だけじゃない、免疫力を低下させる原因は?
免疫力のピークは20~30代。その後、年齢とともに低下しますが、加齢だけが要因ではありません。例えば、運動不足や冷え症は血液やリンパの流れを悪化させますし、ストレス過多になると自律神経のバランスが崩れます。こうしたさまざまな要因が免疫力低下につながると考えられています。
適度に運動し、ストレスを軽減する生活を心がけたいところですが、免疫力は日々の食事によって高めることもできます。
腸内環境を整える食べ物
免疫力の60~70%は「腸」にあるといわれ、腸内環境を整えることは免疫力を高めるポイントになります。人の腸にすむ細菌には、いい影響を与える「善玉菌」と有害な「悪玉菌」があり、その“バランス”を腸内環境といいます。
腸内にいる細菌のバランスを整えてくれるヨーグルト、キムチ、ぬか漬け、納豆、チーズなどの発酵食品や、善玉菌の栄養となる食物繊維をとるとよいでしょう。野菜や海藻類、きのこ類、豆類、穀類などに多く含まれています。
また、脂肪やたんぱく質は大切な栄養素ですが、動物性のものをとりすぎると悪玉菌が増えるので要注意。肉を食べすぎた時は、魚や大豆製品に置き換えるとよいでしょう。
免疫細胞自体に働きかける食べ物
免疫細胞の原料となるたんぱく質、細胞膜の材料となるコレステロールも免疫力を高めるために欠かせません。とりすぎはNGですが、適量を摂取することが大切です。肉や卵だけでなく、魚や豆腐、納豆などの大豆製品といった良質なたんぱく質を、偏りなくとることを心がけましょう。
また、細胞の免疫機能を保持するビタミン、免疫細胞を保護するために必要なミネラルも積極的にとりたい栄養素。ビタミン豊富なほうれん草や春菊、亜鉛などのミネラルが豊富な牡蠣は、ちょうど今が旬なのでおすすめです
体を温める食べ物
体温が上がると免疫力が高まります。食事をするだけで体温は上がりますが、体を温めやすい食材を意識しましょう。
血行促進作用がある代表的な食材はしょうが、にんにく、ねぎ、にら、唐辛子。また、温かいスープや飲み物なども体温上昇を助けてくれます。体温が一番低い朝にとると、目覚めをうながしてくれるのでおすすめです。
外食の多いビジネスパーソンにおすすめ!覚えておくと便利な3つのコツ
忙しいビジネスパーソンは外食が多くなりがちです。そこで、覚えておくと便利な食事法をご紹介しましょう。
1.おかずの種類が多いメニューにしよう
おかずの種類を増やせば、多くの食材をとることができます。幅広い食材を使ったメニューなら、免疫細胞の原料となるたんぱく質も、腸内環境を整える食物繊維もとれるでしょう。例えばうどんや牛丼などのような「単品」より、「定食」のようなおかずの種類が多いメニューがおすすめです。
2.トッピングや追加メニューを活用しよう
単品の丼料理なども、不足する栄養を補ってくれるトッピングや汁物、小鉢を追加すれば大丈夫。例えば野菜カレーには卵やチーズをトッピングする、海鮮丼にはみそ汁と青菜のおひたしをプラスする。これで免疫力アップにつながる足し算ができます。
3.緑黄色野菜を意識しよう
野菜はカロテンの含有量で「緑黄色野菜」と「淡色野菜」に分類されます。どちらも健康のために欠かせませんが、免疫力アップのためにはβカロテン(ビタミンA)が豊富な「緑黄色野菜」がおすすめです。もし野菜料理を1品だけ追加するとしたら、キャベツのサラダよりほうれん草のごまあえを選ぶとよいでしょう。
(1)「単品」より「定食」!おかずの種類を増やす
(2)トッピングや小鉢の追加で栄養不足を補う「足し算」を
(3)βカロテンを意識!キャベツよりほうれん草のごまあえ
免疫力アップにつながる食品とメニューの選び方をご紹介しましたが、いかがでしたか。インフルエンザにかかってしまうと出勤を控えることになり、ビジネスパーソンにとっては打撃です。感染症を予防するためにも、今回ご紹介したポイントを意識しながら、毎日の食事を大切にしてください。
小泉明代氏
管理栄養士。健診センターでの保健指導や小学校での食育、給食管理などに従事した後、フリーランスに。現在は主にレシピ開発や食や栄養に関するコラム執筆などを行っている。また、アシスタント・カラーコーディネーターの資格も持ち、彩りと栄養バランスのよい料理・食事を提案している。