フリーレントとは?メリットや注意点、オフィス賃料の交渉方法を解説
オフィスを構える際、「少しでも家賃が安くなる方法が知りたい」と考えている人は多いのではないでしょうか。そんな人には、引っ越し時の初期費用を抑えられる「フリーレント」がおすすめです。この記事ではフリーレントの概要やメリット、利用時の注意点、オフィス賃料の交渉方法などについて解説します。
賃貸オフィスのフリーレント物件とは?
「フリーレント」とは、家賃が一定期間無料になる契約を指します。賃貸情報には「フリーレント1か月」「フリーレント3か月」などと表記されており、その期間は家賃が発生しないのが大きな特徴です。
フリーレントには貸し手と借り手、双方に大きなメリットがある契約形態です。貸し手は空室が埋まりやすくなり、賃貸契約のハードルが下がります。借り手は初期費用を抑えられるほか、余裕を持った引っ越しが可能です。
レントホリデー制度との違い
フリーレントに似た制度として、「レントホリデー制度」があります。レントホリデーとは、契約している一定期間中、家賃が免除される制度です。毎年1~2か月程度家賃が無料になるため、長期間入居するメリットが大きくなります。たとえば、5年契約で5か月のレントホリデー制度が設けられている場合、1年間のうち1か月家賃が無料となり、これが5年続くという仕組みです。
フリーレントに似ていますが異なるのは、家賃が無料になるタイミングです。フリーレントの場合は「契約開始直後」で、レントホリデーは「契約期間中」という違いがあります。
均し(ならし)賃料とは
均し賃料とは、フリーレントの間も家賃を支払っていると仮定して、賃料の総額を契約期間で算出する平均額のことです。フリーレントで家賃がかからなくても、管理費や共益費、光熱費などがかかるケースがあります。これらの費用をすべて合わせ、契約期間で割ると均し賃料が計算できます。
賃貸オフィスのフリーレント契約のメリット
フリーレント契約にはいくつかのメリットがあります。主なメリットは次の3点です。
初期費用を抑えられる
賃貸契約を結ぶ際、多くの場合まとまった費用の支払いが必要です。一般的には、敷金・礼金・仲介手数料・入居日からの日割り家賃・前払い家賃などがかかります。しかし、フリーレントによって家賃が数か月分無料になれば、初期費用を抑えて契約できます。何かと費用負担の大きいオフィス移転において大きなメリットです。
二重家賃を防げる
旧オフィスから新オフィスに移転する際には、引っ越しのために一定期間どちらにも出入りできる状態にします。その期間中はどちらのオフィスも契約しているため、二重で家賃を支払うことになります。
しかしフリーレント契約ができれば、新オフィスの家賃をしばらく支払う必要がありません。よって、フリーレント期間が終わるまでに旧オフィスとの契約を終了できるように調整すれば、二重家賃の発生を防止できるというメリットがあります。
余裕を持って引っ越しや手続きができる
フリーレントで契約すると、フリーレント期間中から新オフィスを利用できるため、旧オフィスと行き来したり、少しずつインテリアを整えたりできます。引っ越し業者との契約を急ぐ必要もなくなるので、引っ越し日の候補日が広がるでしょう。
また、ガス・電気などのライフラインの解約・契約、銀行口座・クレジットカードの登録情報変更などの面倒な手続きも、余裕を持ってできるのがメリットです。万が一手続きの漏れやトラブルがあっても、時間に余裕があるため落ち着いて対応できるでしょう。
賃貸オフィスのフリーレント契約の注意点
借り手にとって多くのメリットがあるフリーレント契約ですが、注意点もいくつかあります。家賃が無料になる一方、他の部分で損をしないよう気をつけましょう。
家賃以外の費用がかかる可能性が高い
フリーレントは家賃が無料になる仕組みですが、その他の費用には適用されないのが一般的です。よって、管理費や共益費、仲介手数料などは必要となる可能性が高い点にご注意ください。
ただし稀ではありますが、管理費や共益費などを含めた家賃が無料になる「完全フリーレント」物件が出回ることもあります。家賃に加えて礼金や仲介手数料なども無料になるため、初期費用の負担を減らしたい人は探してみるとよいでしょう。
フリーレント条件が厳しいこともある
フリーレントが適用されるための条件が厳しい物件もあるので注意しましょう。多くの場合、フリーレント期間を終えてすぐの退去を防ぐため、1年以上は入居契約を継続するなどの契約条件があります。
この条件を破ってしまった場合、解約違約金を支払うよう決められている物件が多く見られます。たとえやむを得ない理由でも、短期解約時には違約金を支払わなければいけません。こうした解約違約金がいつから発生するのか、契約前に確認しておきましょう。
家賃が高い可能性がある
フリーレント物件の中には、もともと周辺物件よりも家賃が高く設定されているケースがあります。フリーレント期間が設けられていてお得に見えても、長い目で見ると支払い総額が高くなる可能性があるので注意しましょう。
家賃については均し賃料を算出し、周辺の賃貸オフィスと比較するのがおすすめです。フリーレントがついているからと言って、飛びつかないようにしましょう。
フリーレント交渉しやすいオフィス物件の特徴
フリーレントがない物件でも、交渉次第でフリーレントをつけてもらえる可能性があります。ただ、どのような物件でも交渉できるというわけではなく、以下の物件が狙い目と言えます。
- 築年数が古い
- 交通の便が悪い
- 空室率が高いエリア
こうした物件は、借り手がつきにくく苦労している可能性があります。貸し手にとっては、短期間のフリーレントをつけるより、長く入居してもらえるほうがメリットは大きくなるはずです。貸し手にとってメリットになるような理由をつけて交渉してみましょう。
フリーレント契約の探し方・交渉方法
ここでは、フリーレント契約を交渉するための具体的な方法を見てみましょう。
また、オフィス契約後の手続きや流れについては、こちらの記事で詳しく解説しています。オフィス移転の際はぜひ参考にしてください。
交渉しやすい物件を見つける
フリーレントをつけてもらうには、交渉しやすい物件を選びましょう。前述のとおり、駅から遠い場所にあったり、築年数が古かったりと、空室になりやすい物件がおすすめです。反対に、築浅や駅近など人気条件がある物件は、フリーレントをつけなくても入居者が決まる可能性が高いため、交渉は難しいでしょう。
また、フリーレントの交渉は不動産会社を経由して、貸し手となるオーナーと行います。不動産会社で物件を紹介してもらう際、フリーレント交渉に応じてもらえそうなオーナーを教えてもらうのもおすすめです。
繁忙期を避けて交渉する
日本では4月に新年度が始まる企業が多く、組織や事業を変更するタイミングで移転することが多くなるため、1月~3月までは不動産業界は繁忙期になります。そんな繁忙期は、フリーレントの交渉を避けましょう。フリーレントをつけなくても契約が決まりやすいため、この時期に交渉をしてもなかなか応じてもらえないからです。
一般的には6~8月ごろが不動産業界の閑散期と言われており、オフィス探しをする企業が少ない傾向にあります。閑散期に少しでも入居率を上げたいオーナーなら、フリーレントに応じてくれる可能性があるでしょう。
契約する意思を伝える
物件を比較している段階では、フリーレント交渉は避けましょう。内見し、実際に気に入った物件に対して「1か月のフリーレントをつけてもらえたら入居する」などと、契約の意思を示しながら交渉するのがおすすめです。
また、いつから契約・入居するのかも併せて伝えましょう。貸し手が検討しやすいよう、希望の条件を提示して本気度を示すと、フリーレントをつけてもらえる可能性が高まります。
賃貸オフィスのフリーレント期間の目安
賃貸オフィスにおけるフリーレント期間は、一般的に3か月程度です。ただし、物件の坪数によっても異なり、部屋が広い場合は半年程度のフリーレントがついているところもあります。フリーレント期間の目安はこちらです。
- 50坪以下…1~3か月程度
- 50坪超…3~6か月程度
ただしフリーレントを交渉する場合、最初から長期間のフリーレントを提示すると相手にしてもらえないかもしれません。上記の目安を参考に、50坪以下なら1~2か月程度、50坪以上なら3〜4か月程度と、常識的な範囲で交渉するとよいでしょう。
フリーレント以外にコストを抑える方法
オフィスを構える際、経費の中でも特に大きい家賃は、少しでも削りたいところです。そこで、フリーレントを利用する方法以外に、オフィスのコストを抑える方法を解説します。
居抜きオフィスを利用する
居抜きオフィスとは、以前オフィスとして使われていた物件の内装や備品などが、そのままの状態で貸し出されている物件です。
通常の賃貸オフィスは何もない状態で貸し出されるため、デスクやロッカーなどの家具を揃える必要があります。自身ですべてレイアウトができる一方、家具や設備を揃える費用や手間がかかるのです。
しかし居抜きオフィスは、オフィス家具や設備が残ったままの状態になっており、オフィスを整えるための費用を抑えられるのがメリットです。フリーレントと同様、初期費用のコストダウンを図りたい場合におすすめの方法です。
レンタルオフィスを利用する
さらに費用を抑えたい場合は、レンタルオフィスもおすすめです。レンタルオフィスは一般的な賃貸オフィスとは違い、複数の利用者に提供されている専有スペースの一つを契約して利用します。
インターネット環境が整っているほか、デスクや椅子などのオフィス家具なども備え付けられており、オフィス立ち上げ・移転にかかる費用をぐっと抑えることが可能です。貸会議室やコピー機などは他の利用者と共有になりますが、すべてを自社で揃えた場合の費用感を考えるとコストパフォーマンスが良いと言えます。
フリーレント物件は短期間での退去に対して解約違約金を定めているケースもありますが、レンタルオフィスは短期契約が可能なところも少なくありません。サーブコープのレンタルオフィスサービスなら、契約期間は最短1か月で、オフィス家具・インターネット環境・オフィス管理費用を含めて、月々10万円からと安価に抑えられます。
初期費用を抑えてオフィスを構えたい場合、レンタルオフィスを検討してみてはいかがでしょうか。
(まとめ)コスト削減ならフリーレントやレンタルオフィスも視野に
オフィスの立ち上げや移転で頭を悩ませることの多い家賃。少しでも家賃を抑えられる賃貸オフィスを探すなら、フリーレントがついているかどうかをチェックしてみるのがポイントです。フリーレントがない物件でも、交渉次第ではフリーレントをつけてもらえる可能性があります。
また、賃貸オフィスだけでなく、さまざまなコストを抑えながら快適な執務空間を用意できるレンタルオフィスや居抜きオフィスの利用もおすすめです。具体的には、家具購入や内装工事などの手間・コストを大幅に削減できるでしょう。
サーブコープのレンタルオフィスは、初期費用を抑えながら自分だけのオフィスが持てるだけでなく、秘書によるビジネスサポートや24時間365日対応のITサポートで、快適に業務を進められます。レンタルオフィスに興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。