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資金調達や販路開拓。起業時にありがちな4つの課題と必要な準備や心構え

新会社法で資本金1円から株式会社が設立できるようになり、起業のハードルは下がりました。副業を認める企業が増え、本業がありながら起業する人も少なくありません。

当然ながら、成功は容易ではなく、起業にはさまざまな課題がつきものです。本記事では、日本政策金融公庫国民生活事業の「新規開業実態調査」をもとに、起業にありがちな課題とはなにか、あらかじめ必要な準備や心構えについて解説しています。

開業時に苦労したこと1位「資金繰り、資金調達」

起業する人の属性や開業費用を調査している、日本政策金融公庫「新規開業実態調査」の2021年度版(*1)によると、約7割が開業に「満足している」と回答したものの、これから起業する人の参考になりそうな課題も浮き彫りになっています。

開業時に苦労したことという質問に対し、回答が多かったのが「資金繰り、資金調達」(57.6%)、「顧客・販路の開拓」(44.8%)「財務・税務・法務に関する知識の不足」(38.4%)の3つ。順序は変わるものの、現在苦労していることについても「顧客・販路の開拓」(47.9%)、「資金繰り、資金調達」(34.6%)「財務・税務・法務に関する知識の不足」(33.0%)がTOP3にランクインしています。

同調査は1991年から毎年実施されており、ほぼすべての年で、前述の3つが開業における課題として挙げられています。

起業時の主な4つの課題と必要な準備や心構え

では、上位に挙げられた課題を具体的に見ていきましょう。

資金繰り、資金調達

同調査の開業費用に関する回答で最も多かったのは「500万円未満」。開業費用の平均値は941万円で調査開始以来、 2021年度が最も低かったと報告されています。それだけ、資金を抑えた起業が増えているということですが、そもそも起業するのに必要な額はどれくらいなのでしょうか。

中小企業診断士の中郡久雄氏によると、個人開業の場合は一般的に300万円の資金が最低でも必要で、設備導入やスタッフの雇用を前提にする場合は1,000~2,000万円が相場。さらに、開業後しばらくは自分への給与を確保するのが難しい可能性が高く、3カ月〜半年分の生活費を確保しておくことが望ましいようです。

つまり500万円未満で開業できたとしても、起業したそばから行き詰まってしまわないよう、事業資金をできるだけ調達しておいた方がいいでしょう。

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Q. 資金繰り・資金調達に必要な準備や心構えは?

A. 自己資金をできるだけ確保するのはもちろん、政府や地方自治体が提供している補助金や助成金、融資といった支援制度を積極的に活用するのがおすすめです。公的支援の場合は返済が不要のもの、低金利で融資が受けられるもの、審査のハードルが低いものなど起業を後押ししてくれる幅広い選択肢があります。

資金調達には事業の概要や目的、具体的な行動や見込まれる収益などを説明する「事業計画書」の作成が重要になります。事業計画書を作ることで事業のビジョンやミッションが明確になり、起こりうるリスクを把握することで軌道修正が図りやすくなるため、資金調達をしない場合でも資金繰りの見通しを立てるための事業計画の作成をおすすめします。

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【監修コメント】
上記のような補助金や融資を利用するほか、事業を株式会社化した場合には、エクイティファイナンス(株式発行による資金調達)によって資金調達を行うという方法も考えられます。エクイティファイナンスのメリットとしては、調達した資金についての返還がない点です。他方で、出資元からはその高いリターン(配当や成長によるキャピタルゲイン等)を求められることにはなります。近年では、中小企業に積極的に出資するベンチャーキャピタルや地域ファンドなども多くあるため、資金調達は従前に比べて多様化しております。

顧客・販路の開拓

起業時は企業としての実績がまだないため、ゼロから顧客や販路の開拓が必要です。少しさかのぼりますが2014年に実施された「新規開業実態調査」(*2)では、「開業時における顧客の確保」に着目した分析(*2-2)を行っています。それによると、開業前に顧客を確保できていた企業は、その後の経営が顧客を確保できていなかった企業より良好で、黒字の割合が高くなっていると分析しています。

顧客や販路開拓にはホームページやSNSでの宣伝はもちろん、新聞折り込みやチラシの配布やポスティング、メディアでの広告やイベントへの出店といった、宣伝広告にかかる経費のほか、人件費も必要になります。顧客や販路が開拓できるまでは売り上げも上がらないので、こうした宣伝広告費は経営を圧迫する要因になるでしょう。

Q. 顧客・販路開拓に必要な準備や心構えは?

同調査結果を見ると、顧客を獲得するために営業した相手として「元勤務先の取引先、その勤務者」を挙げた人が最も多く、「仕事で知り合った友人・知人」「開業前から面識があった人」と答えた人が高い割合で続いています。

そうした人脈やネットワークがどれだけあるかに加え、相手を説得できるほどのキャリアや経験値、また、開業するサービスや商品が顧客のニーズを満たすものであるかどうかが、販路開拓の成功を左右するようです。自身のキャリアを武器に、人脈を洗い出し、他社に負けないサービスや商品の付加価値を起業前からアピールし、営業努力をすることが、顧客・販路開拓に必要な準備や心構えです。

【監修コメント】
こうした従前からの人脈を活用して、ビジネスパートナーや取引先を得る際に陥りやすい失敗としては、それらのビジネスパートナーらと契約を締結がしていない、又は契約の締結ができている場合でもその内容が適切でないというものになります。契約は口約束でも成立しますが、相互の関係性が良好で問題が顕在化しない間は、契約書を作成していなくても問題はありません。しかし、相互の関係が悪化した場合に、契約がなければ、取引条件について言った、言わないの応酬になり、双方の歩み寄りが困難になります。このように取引関係で紛争が顕在化するのは、そのほとんどが契約がない又は適切な契約が締結されていないというものになります。そのため、従前から知っている親しい間柄であるからこそ、適切な内容の契約を書面で残しておくことが重要になるのです。

財務・税務・法務に関する知識の不足

開業時の課題として次に多いのが「財務・税務・法務に関する知識の不足」。起業するビジネスそのものに精通していても、企業を運営するための財務・税務・法務に関する知識や能力はほとんどの人が管轄外ではないでしょうか。

日々のキャッシュフローの管理、資金計画の作成や資金調達、法人税や所得税、消費税など税に関する業務など、お金にまつわる財務や税務の知識は事業の存続に必要不可欠であり、社員の雇用やサービス・商品の販売には、関連する法律の知識がリスク回避にとっても必要になります。専門性のある人材を雇用するのが理想ですが、コストを抑えたい起業時は経済的な余裕がないもの。そのため専門的な知識が不足し、それを課題に感じる企業が多いようです。

【監修コメント】
直接社員を雇用する場合には、労働基準法や労働契約法といった労働関係法の適用をうけることになります。例えば、労働条件の明示義務、労働者の労働時間管理(勤怠管理)の責任などの労務管理に関する責任を負うことになります。また、行う事業によって、関連する法律は異なりますが、例えば、酒類の販売であれば、酒類販売業免許の取得、医薬品等であれば、医薬品販売業の許可の取得、中古品の販売であれば、古物営業許可といったように、販売する商品やサービスによっては、法律上の許可等が必要になってくる可能性があります。これらの許可を得ずに商品やサービスの販売を行った場合には、罰則があります。そのため、事業を開始される前や直接社員を雇用されるような場合は専門家に相談をするのが望ましいといえます。

Q. 財務・税務・法務の知識不足に必要な準備や心構えは?

最善の方法は専門のスキルや経験を持った人材の雇用ですが、資金繰り・資金調達が最大の課題である起業時に人件費を捻出するのは難しいでしょう。株式会社EPコンサルティングサービスが実施したアンケート調査(*3)では、管理業務をアウトソーシングする企業の数字が報告されています。

管理業務(バックオフィス業務)を「アウトソーシングしている」と答えたのは、1,025人の企業経営者・経理財務責任者のうち約7割。高い割合でアウトソーシングのサービスを利用している企業が多いことがわかりました。

業務内容は「経理」が38.4 %で「会計」が37.3%、「税務」(32.7%)「財務」(29.7%)「総務」(19.1%)と続いています。また、アウトソーシングの目的や理由として上位に挙げられたのは「業務効率化」(63.0%)、「コスト削減」(53.6%)など。

コストを抑えたい開業時はバックオフィス業務が後回しになりがちですが、トラブルを未然に防ぐという意味でも早めにカバーすることをおすすめします。アウトソーシングを活用するほか、中小企業庁のホームページ(*4)では中小企業の経営をサポートするさまざまな制度や支援策の情報が掲載されているのでおすすめです。

従業員の確保

2021年度「新規開業実態調査」で、「資金繰り、資金調達」「顧客・販路の開拓」「財務・税務・法務に関する知識の不足」に次いで多かった開業時の課題が「従業員の確保」でした。従業員とは、前述した財務や税務などの人材かもしれませんし、顧客や販路開拓に注力できるマンパワーかもしれません。いずれにしろ、起業するために集まったメンバー以外の人材が、開業時においても必要だと感じる企業が少なくないようです。

Q. 従業員の確保に必要な準備や心構えは?

まだ実績がなく、売り上げが立たないなかで理想的な人材を確保するハードルは低くありません。給料が十分に支払えるかわからず、一度、採用したら解雇も簡単ではありません。また、安い給料で未経験者を雇用しても戦力にならないでしょう。

どんな人材を求めているかによりますが、電話応対や簡単な経理業務こそ電話代行や管理業務のアウトソーシングに依頼するのは有効です。また、求める人材をコストの高い直接雇用ではなく人材派遣会社から派遣してもらったり、スキルを持った人に直接仕事を依頼するマッチングサービスを活用したり、従業員を確保する方法は多岐に亘ります。まずは、人件費が起業時の経営を圧迫しない方法を検討しましょう。

起業時に役立つサーブコープの秘書サービス

国内に30拠点のコワーキングスペースやレンタルオフィスを展開するサーブコープは充実したワークスペースだけではなく、起業を応援するさまざまなサービスを提供しています。

なかでも「秘書サービス」は多くの企業様にご利用いただいており、売り上げアップにつながっていると好評です。例えば、電話や来客対応、資料作成といったバックオフィスのサポートはもちろん、サーブコープの秘書は全員がバイリンガルのため、海外からの電話の取り次ぎ、外国人の来客対応のほか、資料の翻訳や海外商談への同行もご依頼いただけます。

サーブコープ秘書の一般的な業務一覧と、他社にはないハイスキルなサービスを一覧でご紹介します。

一般的なサーブコープの秘書サービス

  • 受付対応
  • 荷物の受け取り
  • 経費精算、領収書などの整理
  • メール対応
  • 資料作成
  • 議事録作成
  • 見積書や請求書の作成・発行、入金確認

他社にはないハイスキルなサーブコープの秘書サービス

  • 会議中の通訳や文書の翻訳業務(英・中・韓など)
  • 海外への商談に通訳として同行
  • 自社イベントの企画・運営
  • レセプションパーティーでの受付業務
  • 商品発表会や展示会でのサポート業務

サーブコープの秘書サービスは、お客様が本業に集中できるよう10分単位からご利用いただけます。サーブコープの秘書サービスについての詳細はホームページよりご確認ください。

\サーブコープのサービス詳細/
ホームページ

■参照
*1日本政策金融公庫国民生活事業「2021年度新規開業実態調査」
*2日本政策金融公庫国民生活事業「2014年度新規開業実態調査(特別調査)」
*2-2 論文 顧客を確保・獲得している新規開業企業の特徴
*3 【7割近くの企業がアウトソーシングを活用】企業経営者/経理財務責任者1,025人に調査!アウトソーシングの結果に満足するための条件とは?
*4 中小企業庁

■監修コメント・藤田 貴敬(ふじたたかゆき)
弁護士法人 GVA(ジーヴァ)法律事務所

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