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【最新版】シニアの起業!必要な準備資金は?補助金制度や注意点を解説

※2017年08月04日に公開された記事を再編集したものです。

「人生100年時代」を迎えるなか、働き続けることを希望するシニア層が増えています。内閣府が2014年に公表したデータ(※1)によると、就業中の60歳を超える3割近くが「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答し、「65歳まで」「70歳まで」働きたいと答えた高齢者と合わせると実に6割以上にのぼっています。また、やりがいや収入を求め、「起業」を希望する60歳以上の割合も増加傾向に。今回は起業して働くシニアに注目し、必要な開業資金や公的な融資・補助金制度、事業計画作成の必要性などについて解説します。

シニア起業に人気の職種は「サービス業」や「医療・福祉」

まず、人気の業種を見ていきましょう。

日本政策金融公庫が2015年に実施した調査(※2)によると、55歳以上の起業で一番多かった業種は「サービス業(※3)」(20.0%)。次いで「医療・福祉」(16.8%)、「飲食店・宿泊業」(10.5%)、小売業(11.6%)、卸売業(10.8%)の順になっています。また、起業理由を見ると半数以上(45.7%)が「仕事の経験・知識や資格を生かしたかった」と回答。ほかには「収入を増やしたかった」(40.9%)、「社会の役に立つ仕事がしたかった」(38.0%)なども起業動機として多く寄せられた答えでした。

シニアの起業に関しては国や関連機関が定期的にアンケート調査を実施し、誰でもアクセスできるデータとして結果を公開しています。起業を準備する際はこうしたデータを積極的に活用し、実用的な計画に役立てましょう。

2017年、中小企業庁は起業を準備しているシニアが「起業できていない理由」を公表(※4)。最も多かった回答が「資金調達」で、次に「専門知識、経営に関する知識・ノウハウ不足」「販路開拓・マーケティング」「起業への不安」などでした。先立つものがなければ起業を実現することはできません。次は、開業の際に考慮すべき重要なポイントである「資金調達」について、みていきましょう。

いくら準備すればいい?起業資金と公的支援制度

日本政策金融公庫の調査(※5)によると、シニア起業家が起業資金として準備した金額で最も多かったのは「250万円未満」(41.9%)、次に「1000万円以上」(23.7%)、平均では605万円という結果に。貯蓄や退職金などを起業資金に投じる人もいますが、シニア起業を応援する公的な融資・補助金制度をぜひ、利用しましょう。その一部をご紹介します。

生涯現役起業支援助成金 [厚生労働省]

40歳以上の中高年齢者が対象で、150~200万円が助成額の上限。従業員を雇用する際に要した募集・採用や教育訓練の実施にかかる費用を一部助成。そのほか、一定期間が経過したあとに生産性が向上している場合は、さらなる向上にかかる助成金が支給されます。

助成率:3分の2(上限200万円)
※起業者が60歳以上の場合。40~59歳の場合は2分の1(上限150万円)

(※6)

シニア起業家支援資金 [日本政策金融公庫]

55歳以上で、 新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方が対象となる融資制度です。返済は必須。資金の用途によって返済期間が異なります(※3)。事業を始める前後に必要となる資金に融資される「国民生活事業」としての貸付と、設備資金や長期運転資金に融資される「中小企業事業」としての貸付に分かれています。

[A]国民生活事業としての貸付
融資の上限額:7200万円(運転資金は4800万円)
返済期間:設備資金は20年以内
運転資金は7年以内

[B]中小企業事業としての貸付
直接貸付:7億2千万円(うち運転資金2億5千万円)
代理貸付:1億2千万円
返済期間:設備資金は20年以内
運転設備は7年以内

(※7)

創業支援等事業者補助金 [経済産業省中小企業庁]

地域の創業を促進させるため、市区町村と連携した民間事業者などが行う創業支援の取り組みと、創業に関する普及啓発を行う取り組みに必要な経費の一部を助成するもの。事業計画書を提出する必要はありますが、起業資金としても使えて返済不要です。補助の金額範囲は以下の通りです(平成31年5月現在)。

募集時期:毎年5月頃
補助率:補助対象経費の3分の2以内
補助限度額:1,000万円(下限50万円)
※2019年度の公募は6月14日まで

(※8)

 

上記以外にも、全国の自治体が独自に実施している融資や補助金制度があるので、県や市の創業・起業関連の窓口に問い合わせてみましょう。

シニア層、起業後の状況は?「事業計画書」の作成が大事

どの世代であっても「起業」を成功させることは容易ではありません。日本政策金融公庫の調査では、シニア起業の厳しい実情も報告されています。

55歳以上の起業家に「売り上げ」について聞いたところ、4割弱の37.6%は「100万円未満」と回答。業種にもよりますが、経費を差し引くと「100万円未満」は決して十分ではありません。さらに、予想月商達成率については、同じく約4割にあたる34.7%が「75%未満」と答え、採算状況にいたっては43.9%が「赤字基調」と報告。シニア層の実情は甘くはなさそうです。

ほかにも注目したいデータがあります。同調査によれば、55歳以上の開業費用の平均額は「1,357万円」で、30~54歳の1,092万円と比較すると265万円も多いことがわかっています。それに関連し、起業時に費用削減の工夫をしたかという問いには、「中古の設備や備品を購入した」「自宅の一部を店舗、事務所などにした」といった回答が多かった一方、16.4%が「特にない」とも答えています。逆にいえば、開業費用をおさえる工夫がまだまだできるということ。他世代の行動も参考にしながら、できる限り費用削減の対策を打ちましょう。

起業を成功させるためには融資や補助金制度を活用する、開業費用を抑えることはマストだといえますが、こうした行動は起業を成功させるための部分的な要素でしかありません。起業には、後にも先にも「事業計画書」の作成が重要です。前述した融資や補助金制度のなかには、事業計画書の提出を求めるものもありますが、起業や創業の相談に乗ってくれる無料サービスもあるので、積極的に活用するといいでしょう。

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参照:
(※1)内閣府「平成26年度 高齢者の日常生活に関する意識調査」
(※2)日本政策金融公庫総合研究所「2015年度新規開業実態調査」
(※3)サービス業(他に分類されないその他の事業サービス業)とは、サンプル配布、ポスティング、イベントの企画・運営業など
(※4)中小企業白書 2017「第2部中小企業のライフサイクル」
(※5)日本政策金融公庫総合研究所「2012年度新規開業実態調査」
(※6)生涯現役起業支援助成金 [厚生労働省]
(※7)シニア起業家支援資金 [日本政策金融公庫]
(※8)創業支援等事業者補助金 [経済産業省中小企業庁]

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