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中小企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するには? 進め方、導入メリットと課題、DX推進指標を解説

近年、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。環境変化が激しい時代に求められるのは、企業の価値や競争力の向上です。そのため、中小企業においてもDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が不可欠です。本記事ではDX推進の必要性やメリット、DX推進に役立つ「DX推進指標」の内容、進め方のポイントを解説します。

 

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略称で、デジタル技術を駆使し、人々の生活をより良いものへ変革させていくことです。経済産業省ではDXを以下のように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

DXの目的はデジタル技術の活用により、製品・サービスやビジネスモデル、業務を変革し、企業の価値や競争力を向上することです。

 

DXが推進される背景

近年、進化するテクノロジーやコロナ禍の影響で、企業のDX推進は加速しています。DXが推進される背景として、以下の3点が挙げられます。

消費者ニーズの変化と新たなビジネスモデル

インターネットやスマートフォンの普及により、消費者を取り巻く環境は大きく変化しています。環境の変化に伴い、消費者のニーズも変化しており、企業には消費者ニーズの変化に対応した新たなビジネスモデルの創出が求められています。

代表例が「サブスクリプションビジネス」です。「所有から利用」へと変化した消費者ニーズを満たす新たなビジネスモデルとして世の中に定着しています。サブスクリプションは従来の売り切り販売ではなく、「利用期間・利用量・用途」に対し対価を支払う「課金型のビジネスモデル」です。動画配信サービスの「Netflix」がサブスクリプションに該当しますが、自宅に居ながらさまざまな動画を楽しむなど、人々のライフスタイルもデジタル技術によって変革しています。

リモートワークの拡大

2020年以降、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、人々の働き方や産業構造は大きく変化しました。リモートワークが広がり、非対面コミュニケーションを前提とした働き方が一般化しています。

顧客との商談や社内会議はWeb会議が主流になりました。代表的なWeb会議ツールとして「Zoom」や「Teams」が挙げられます。いまやWeb会議ツールが無ければ、営業活動や企業活動が成り立たないといっても過言ではなく、企業は必然的にDXを求められるようになっています。

このような背景から、中小企業でもWeb会議ツールを導入する動きが加速しています。

現行システムの見直し

何年も利用しているシステムが、近年の急速な社会の変化に対応できなくなるケースがでてきています。例えば、古くから基幹システムで利用される「COBOL」というプログラミング言語について、対応できる技術者が不足している問題があります。新しいプログラミング言語に置き換えるなど、時代の流れに即したシステムに一新する動きが拡大中です。

古くなった生産性の低いシステムを根本的に見直し、企業変革の取り組みとしてシステム刷新を進める企業が増えています。いま、業務やサービスのデジタル化に追従できない企業は、存続が危ぶまれる状況にあります。大企業だけでなく中小企業においてもDX推進の一環として現行システムの見直しや生産性の高いシステム導入の検討が進んでいるのです。

 

企業がDXを推進するメリット

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、企業にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。DX推進で得られるメリットは以下になります。

業務効率化による生産性の向上

DXの推進により作業時間の短縮や人員負担を軽減し、生産性の向上につながります。取り組み例として紙などアナログで行っていた業務をデジタルに置き換える、分散していた業務やデータの一元化、業務の自動化などが挙げられます。

今後、少子化を背景とする労働人口の減少が進み、中小企業における人材採用はますます厳しくなることが予測されます。中小企業にとって人員負担の軽減、業務全体の効率化は必要不可欠です。DX推進により業務プロセスの見直しを行い、生産性を高めることで、企業全体の業務効率化が促進できます。

BCP(事業継続計画)の充実

DXを推進することで、BCPの充実が可能です。BCPとはBusiness Continuity Planの略称で事業継続計画を意味します。災害やテロなどの不測の事態が発生し、事業継続が危機的な状況に置かれた場合でも、重要業務や重要データを維持し、事業を継続するための計画です。

近年、自然災害が多発しておりBCPの重要性が高まっています。事業拠点や基盤システムを複数に分散させることで、不測の事態にも業務継続が可能な環境を構築できます。例えば、Web会議ツールを導入することでリモートワークが可能になり、災害などの不測の事態でも事業を続けることが可能です。DXの推進は、環境変化に強い企業体質へ転換できることもメリットになります。

企業競争力の強化

DX推進により既存ビジネスのデジタル化や、自社製品・サービスを効率よく生み出し提供する仕組みを構築することで、企業競争力の強化につながります。既存ビジネスのデジタル化の例として、通販サイトによく見られるAIを利用した問い合わせ対応の自動化などが挙げられます。

デジタル化や効率化によって確保できた人員やリソースを、企業のコア事業や新規事業に集約することで、企業収益の増加が期待できます。

昨今のビジネス環境は変化が激しく、グローバルな競争を強いられています。企業が競争優位性を確立するには、テクノロジーを活用したビジネスモデルの変革が必須です。DX推進に注力することで、競合他社に勝る強みを強化し、顧客満足度と収益性の向上を実現します。

 

DX推進の指標とは

自社の課題を適切に把握し、必要なアクションを実行してDXの成果を上げることは容易ではありません。特にノウハウや人材が不足がちな中小企業にとって、DX推進方法を自力で考え実行するのは、難易度が高いでしょう。

そこで役立つのが2019年7月に経済産業省が公開した「DX推進指標」です。DX推進指標はDX推進にあたっての自社の課題を自己診断できるツールで、経営者や社内関係者で現状や課題を共有、業務の改革を行うことを目的としています。

経産省「DX推進指標」のクエスチョン例

DX推進指標は9つのキークエスチョンとサブクエスチョンで構成されます。以下に、クエスチョンの具体例を紹介します。

例えば、DX推進の枠組みに関する定性指標の分類に「ビジョン」「経営トップのコミットメント」「仕組み」「事業への落とし込み」の項目がありますが、「ビジョン」の成熟度を判断する質問内容は以下です。

――「データとデジタル技術を使って、変化に迅速に対応しつつ、顧客視点でどのような価値を創出するのか、社内外でビジョン を共有できているか」

回答の選択肢は「レベル0」から「レベル5」まで6つ。レベル0は「ビジョンが提示されていない」で、レベル5 は「ビジョンがグローバル競争を勝ち抜くことができるものとなっており、全社での取り組みが、グローバル競争で勝ち抜くとの認識の共有の下に、持続的に進められている」という内容。

これらの質問に6段階で回答していくことで、企業の「DX推進の成熟度」を測ることが可能です。定性指標は35項目あり、現在の日本企業が直面する課題や、それらを解決するために押さえるべき事項を中心に項目が選定されています。

 

DX推進の進め方のポイントを解説

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進には、全社一体となることや、守るべきポイントを押さえることが重要です。中小企業でDX導入を成功させるための、3つのポイントを紹介します。

DX推進の目的を明確にする

まず「なぜDXを推進するのか」目的を明確にします。DX推進により「新たなビジネス創出を行うのか」「業務効率化を行うのか」で、選択する手段や取り組み方は異なります。

目的が不明確なまま、製品やサービス、ビジネスモデルを変革しても大きな成果は得られません。DXの取り組みによって「5年後、10年後どのような結果を得たいのか」「どのような企業を目指すのか」を、具体的なイメージを持って考えることが大切です。自社の中長期的な経営戦略を踏まえて、DX推進の目的を明確化しましょう。

経営レベルで意識改革しDXを進める

DX推進には、「経営レベルの意識改革」と「経営トップの強いリーダーシップ」が重要です。DX成功企業の事例を読み解くと、経営トップ自らが旗振り役となり、DX推進をリードしています。

現場部門の主導でDX推進した場合、一部門の取り組みで終わってしまい、企業全体でDXが進まない可能性が高くなります。経営トップが全社員に向け「全社的にDX推進を行う」と、強いメッセージを発信することが大切です。

経営トップからの発信により、共通理解が進み、DXを推進する部門も周囲の協力を得やすくなります。「経営層の理解がある」「お墨付きがある」と意識を共有することで、従業員は失敗の不安を乗り越え、安心してDX推進に取り組むことができます。

中小企業の場合、経営トップが「DXの必要性を感じていない」「DXに対する理解が乏しい」ケースが散見されます。経営トップがDXの重要性を理解し、経営レベルでDX推進することが成功のポイントです。

DX推進体制の構築

適切なメンバー配置による体制構築と、予算の確保もDX推進のポイントになります。DXを推進するにはDX専任部署の立ち上げなど、体制を構築が必要です。DX専任部署には、デジタル技術やデータ活用に精通したメンバーを配置します。

DXが失敗に終わるよくある原因として、DX推進業務と既存業務の兼務が挙げられます。既存業務の忙しさからDXの取り組みに時間が割けず、DXが進まないケースです。DX専任部署・専任ポストを設けることが、成功の近道になります。

また、DX推進には予算確保も重要です。予算が無いと抜本的な改革が実現できず、目標未達に終わる可能性が高くなります。人材配置と併せ、十分な予算を確保しましょう。

DX推進で解決すべき課題とは

 

中小企業がDX推進に取り組む際に、解決すべき課題があります。直面するDXの課題として、以下が挙げられます。

  • デジタル人材の不足

経済産業省のレポートによると、「2025年にはIT人材不足が約43万人に拡大する」と予測されており、各企業はDX推進を担うIT人材不足の問題に直面します。中小企業でも同様に、DXを進める上で不可欠なIT人材の確保に頭を悩ませるでしょう。

DX推進には、自社のITリテラシー強化や人材育成が欠かせません。DXビジョンの策定やDX推進をリードできる人材を、社内に増やすことが必要です。積極的にIT人材育成に取り組み、DXを加速させましょう。

IT人材は確保が難しいため、社内人材の育成の他に新卒・中途の採用、人材派遣・アウトソーシングなどの獲得手段を、柔軟に組み合わせる必要があります。自社での育成と合わせ、社外人材を積極的に活用することがIT人材不足の解決策です。

  • レガシーシステムの維持管理

DX推進を阻む課題として、レガシーシステムの維持管理が挙げられます。レガシーシステムは、経済産業省では「技術面の老朽化、システムの肥大化・複雑化、ブラックボックス化等の問題があり、その結果として経営・事業戦略上の足かせ、高コスト構造の原因となっているシステム」と定義されています。

現在、国内企業のIT予算のうち、60~80%がレガシーシステムの維持・運用費用に充てられています。社内システムの度重なるカスタマイズで、各企業ともレガシーシステムの維持管理に大きなコストが掛かっているのです。

レガシーシステムの維持管理にIT予算が割かれてしまえば、新規事業創出に割り当てできず、市場変化に対応したビジネスモデルの構築が難しくなります。レガシーシステムを維持し続けることはDX推進の遅延を招くため、一刻も早いレガシーシステムからの脱却が必要です。

解決策としてクラウドサービスの活用が挙げられます。勤怠管理、経費精算、情報共有システムなど、便利で安価なクラウドサービスが続々と登場しています。早期立ち上げが可能で、維持管理の負担を軽減できるクラウドサービスはDX推進を加速する手段になり得ます。

  • DXビジョンの策定と合意形成

DX推進が停滞する要因に、DXビジョンの共有不足や社内関係者の合意不足が挙げられます。DX推進は経営トップが明確なビジョンを示し、関係者にビジョンを浸透させ、全社一丸となった取り組みが必要です。

企業内で「DXとは何か」「会社のビジネスにどう役立つのか」などビジョンを共有できていない場合、DX推進は停滞します。経営層、IT部門、事業部門が対話を通じ共通理解を深め、協働してビジネス変革に向けた取り組みを進めることが大切です。

中小企業の場合、大企業と比べ組織構造がシンプルで、経営層と従業員の距離感が近いためDXビジョンを浸透させやすい側面があります。経営トップが積極的にメッセージを発信し、対話を通じて関係者の意思統一を図ることで、DXを推進できます。

サーブコープは中小企業のDX推進をサポートします

 本記事では、企業のDX推進の進め方や導入メリットを詳しく解説してきましたが、シェアオフィスのサービスもDX推進により変化しつつあります。

リモートワークの拡大で定着しつつある「リモートワーク」と「オフィス出社」の混合であるハイブリッド型の働き方を、いちはやく形にしてきたのが都内に17拠点、国内に27拠点のレンタルオフィスを展開するサーブコープ。

オフィスサービスのひとつ「ハイブリッドワークソリューション」は、Web会議ツールやチャットアプリ、クラウド型の管理ソフトといった、リモートワークの加速に伴い導入されたITツールよりさらに柔軟な働き方をご提供します。

ハイブリッドワークソリューションとは?

サーブコープのハイブリッドワークソリューションは最大10名の社員が利用できるパッケージで、チームの半数がリモートで働いていても、まるで全員が同じオフィス内で働いているかのような快適なビジネスの運営を可能にします。

  • 国内27拠点のコワーキングスペースを利用可能

国内27拠点にあるお好きなコワーキングスペースを月60時間まで、個室会議室も月1時間まで利用できます。

  • ITテクノロジー・セキュアWi-Fi

インターネットは200~500Mbpsの高速セキュアWi-Fiで、厳しい管理化の下、24時間365日、最適な速度を実現。1人あたり月20GBのデータ通信量を提供します。

  • 会社専用の電話システムを構築

サーブコープの通信システムの中に、お客様専用の電話システムを構築します。10個の直通番号を発行し、チームメンバーは内線番号として利用可能。サーブコープオリジナルの通話アプリを使えば、スマートフォンですべての機能を利用できます。

  • 電話代行サービス・秘書サービス

サーブコープの受付担当者がお客様あての電話をお客様の会社名で応対します。内容に即してチームメンバーに転送するため、チームメンバーは本業に専念することができます。また、バイリンガルかつ高度に訓練された秘書が、お客様のリモートワークが円滑に進むよう、資料作成から翻訳作業までビジネスをサポートします。

  • 郵便物・宅配便の管理データ転送

お客様あてに届いた郵便物や宅配便の受け取りと管理、ご希望に応じてご自宅へ転送します。また、ご要望があれば中身をスキャンし、データで即時お客様へ転送することも可能です。

サーブコープのハイブリッドワークソリューションに興味のある方は、こちらをご覧ください。

 

文・内藤翼

IT業界歴20年のIT専門ライター。大手IT企業での「エンジニア×営業×マーケティング」のキャリアを活かし、IT・ビジネス系メディアの企画、マーケティング、執筆に携わる。専門分野は最先端IT/テクノロジー/メタバース。

 

参照:
※中小企業のDXに役立つ「手引き」と「AI導入ガイドブック」を取りまとめました
※デジタルトランスフォーメーションレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~
※DX推進指標(サマリー)
※DX推進指標
※DXレポート2中間取りまとめ(概要)

 

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