副業の始め方をわかりやすく解説。副業の注意点やおすすめの仕事も紹介
近年、金融庁のワーキンググループによる「年金だけでは老後資金が2,000万円不足する」との報告や、政府主導による働き方改革の推進をきっかけに、副業に取り組む人が増えています。
2017年の総務省「副業・兼業の現状①」によると、「副業を希望している雇用者数」は2012年の323.7万人から、2017年時点で385.0万人に18%増加。副業を行っている「副業者数」は2012年の105.0万人から、2017年時点で128.8万人へと22%増加しています。
本記事では、副業を始めたいけど何から始めれば良いかわからない方向けに、副業の始め方から選び方、メリット・デメリットや注意点、おすすめの副業をわかりやすく解説します。
副業の始め方
まずは具体的な副業の始め方を4つのステップに分けて説明します。
ステップ1:目標設定
まず副業を始める前に、目的・目標を設定します。「なぜ副業を始めるのか」「どのような副業をするのか」「どのくらい収入を得たいのか」といった具体的な目標を立てましょう。
副業は仕事を掛け持つことになるため、事前に目的や目標を定めておかないと、途中で挫折する可能性が高くなります。
目標とは「月3万円稼いでお小遣いを増やす」「年1回海外旅行に行く費用を貯める」「住宅ローンの繰り上げ返済に充てる」など、どのような目標でも構いません。副業を始める上で、明確な目標を持つようにしましょう。
ステップ2:働く時間の確保
次に、副業を行うための時間を確保します。時間を十分に確保できない場合、成果が上がりにくく、中途半端に終わってしまいます。
具体的な方法として、「いつもより2時間早く起きる」「寝る前の2時間を副業に充てる」「土日のどちらかの午前中は副業する」など、ルールを決めて時間を確保します。自身の目標に合わせて、本業とプライベート時間とのバランスも考慮し、働く時間を捻出しましょう。
ステップ3:副業の種類を選ぶ
次に、副業の種類を選びます。副業には時間労働型と成果報酬型の2種類があります。
時間労働型とは「時間に応じて給料が決まる仕事」です。一般的なアルバイトや、お小遣い稼ぎサイトなどが時間労働型の仕事に該当します。時間労働型の特徴は、働いた時間分だけ確実にお金になることです。一方で、使える時間には限りがあるため成果報酬型より収入の上限は低い傾向があります。
もう1つの成果報酬型とは、成果に応じて報酬が支払われる仕事です。仕事の例として、Webサイト制作に伴うデザイン業務、ライティング業務、システム開発や、商品の転売、ハンドメイド制作・販売などがあります。自分の制作物や物品が売れた分だけ報酬が発生するため、大きく稼げる可能性があります。一方で、成果が上がらなければ報酬も少なくなります。
ステップ4:案件を探す
副業を選んだら、具体的に案件を探します。まず、副業を紹介しているWebサービスや、クラウドソーシングサイトに登録しましょう。その他、知人から仕事を紹介してもらう方法もあります。
最近では、特にクラウドソーシングサイトが人気です。クラウドソーシングサイトとは、仕事を依頼したいクライアントと、仕事を探すワーカーをつなげるWebプラットフォームです。Web開発の仕事や、デザイン、ライティング、翻訳、資料作成など、さまざまな仕事があります。案件を探す際は、自分が得意なこと、本業に関連する仕事を中心に探してみましょう。
副業のメリット・デメリット
副業の始め方、やり方の次に把握しておきたいのが、副業のメリットとデメリットです。
6つの副業のメリット
①収入を増やせる
1番のメリットは、なんといっても収入を増やせる点です。収入源を複数持つことで、本業への依存度を下げる効果もあります。働き方も自由で、自分の好きなだけ時間をかけて、お金を稼ぐことが可能です。
②生活が充実する
家計が潤うだけでなく、生活全体の満足度が高まる点もメリットです。副業を始めることで生活にメリハリが生まれ、新鮮な発見や驚きを得られます。本業でずっと同じ仕事が続き、マンネリを感じている場合、副業は大きな刺激になります。副業を通じて新しい目標や生きがいを見出す人も多く、日々の生活の充実につながるでしょう。
③本業以外の人と新しいつながりが生まれる
副業の仕事を通じて、新たな人との出会いがあります。変化のない生活を続けていると、人とのつながりは限定的で、知り合う人の数もほとんど増えません。副業を始めることで、本業とは関係のない世界で、新しい人間関係が生まれるでしょう。
④本業以外で成長機会や貴重な経験が得られる
副業は選ぶ仕事によって、本業では得られない経験を積み、スキルアップするチャンスがあります。副業で得たスキルや経験を、本業のキャリア形成に活かすこともできるでしょう。
⑤将来の転職や独立、起業に向けた準備ができる
転職や独立を見据えた予行練習、事前体験ができます。リスクを抑えて試行錯誤できる点は、副業ならではの魅力です。本業の安定した収入があるからこそ、副業で新しい分野にチャレンジできます。成果が芳しくなければ取り組み内容を見直し、好調であれば転職や独立に向けて邁進できます。
⑥好きなことでお金を稼げる
趣味や特技を活かし、自分が好きなことでお金を稼げる点もメリットです。最近ではYouTuberやハンドメイド制作など、趣味だったことが副業へシフトした例も多くあります。
4つの副業のデメリット
①心身の疲労が大きい
副業を始めることで、心身共に疲労が大きくなります。労働時間が長くなることが主な原因です。副業で働き過ぎてしまった結果、プライベートの時間は減り、体調を崩してしまうこともあります。健康状態を損なわないため、労働時間を調整し、睡眠管理や運動の習慣化を心掛けましょう。
②本業に悪影響が出るリスクがある
副業に気を取られ過ぎると、本業に悪影響を及ぼすリスクがあります。例えば副業をしていることが会社に知れ渡った場合、「業務に身が入ってない」と悪い噂が立つこともあるでしょう。副業を快く思わない社員もいます。同僚や上司と人間関係の悪化を招くことや、評価査定に響く可能性も否めません。副業を始める場合、周囲への配慮を忘れないようにしましょう。
③雇用保険の適用対象外の可能性がある
副業は、雇用保険の面でも注意が必要です。例えば副業でアルバイトを行い、勤務先でケガをした場合に、十分な補償額を得られないことがあります。なぜなら、労災保険が降りたとしても、副業の給与が適用範囲の基準となるからです。雇用保険の適用範囲を把握し、仕事を選ぶようにしましょう。
④情報商材で損をすることもある
副業を始めたことで、逆にお金を損する可能性もあります。副業を始める際に、やり方や稼ぎ方に悩む人は多いでしょう。そういった人を対象に、情報商材を高く売りつける業者が世の中に存在します。悪徳業者から、販売ノウハウなどの情報商材を高く買ってしまった人の事例は数え切れません。収入アップやスキルアップを目的に始めた副業で、多額のお金を失わないようにしましょう。
副業を始める際の注意点
副業を始める際、事前に押さえておきたい注意点は以下の通りです。
勤務先で副業が禁止されていないか確認する
副業を始める前に、就業規則で副業が許可されているか、必ず確認しましょう。副業を禁止している場合、みつかると規則に基づき処罰される可能性があります。
一方で法律上は、会社は副業を禁止することはできません。本業に支障をきたしたり、企業秘密を漏えいしたりしない限りは、プライベートの時間の自由は憲法で保障されているからです。
副業に関する就業規則がない場合、人事部や上司に相談した上で、副業を始めるようにしましょう。企業によっては「人事に相談してみたら副業の許可がもらえた」というケースもあります。副業の種類や内容によって許可が下りるケースもあるため、まずは相談してみましょう。
本業に支障が出ないようにする
副業によって、本業の生産性が下がらないよう注意しましょう。副業が許可されている企業でも、大抵のケースで会社へ報告義務があります。「本業に支障が出ている」と会社から判断された場合、副業禁止の通告を受ける可能性もあります。
自分自身が無理なく請け負える範囲を見定め、労働時間と業務量をしっかりコントロールすることが大切です。また、副業はあくまで就業時間外に行うことを必ず守りましょう。
同業他社であるかどうか
労働者は、労働契約の就業規則や付随義務により競業避止義務を負うものとされています。競業避止義務とは、会社のノウハウや情報などを利用し、会社の利益を害する恐れがある行為を制限する規定です。
副業を認めている企業でも、自社の利益を損なわない副業のみを認めるケースがほとんどです。同業他社での副業が自社の利益を損なう可能性があります。勤務先や副業先とトラブルを起こさないためにも、同業他社での副業は控えましょう。
副業の契約形態を確認する
副業を行う際に、契約形態は必ず確認しましょう。副業で契約を結ぶ場合、大きく分けて「社員・アルバイトとして雇用契約を結ぶ」と「個人事業主(フリーランス)として業務委託契約を結ぶ」の2つがあります。
雇用契約は、労働者が企業と契約するものです。一般的に、社員やアルバイトとして企業に雇われて働く場合は、雇用契約が適用されます。もう一方の業務委託契約は、独立した事業者間同士での契約となります。副業で個人事業主(フリーランス)として企業と取引する場合、業務委託契約を結ぶのが一般的です。
注意点として、業務委託契約で働く場合、労働基準法や労働契約法の保護を受けることができません。最低賃金や労働時間の決まりがなく、当事者間の取り決めにより業務内容や報酬などの条件が決定します。そのため契約前に、業務内容や報酬を慎重にチェックしましょう。
確定申告を忘れないようにする
副業で一定以上の収入を得た場合、確定申告が必要です。会社員として得た収入は会社が年末調整をしてくれるため、確定申告は必要ありません。しかし副業で年間所得が20万円を越えると、確定申告を自分で行う必要があります。毎年2月~3月に行われる確定申告を必ず忘れないようにしましょう。
信頼できるクライアントから仕事を請け負う
副業で仕事を探す場合、副業紹介サービスやクラウドソーシングサイトを介して探すことが一般的です。その際に、信頼できる相手を見極めることが大切です。昨今の副業にまつわるトラブルとして、契約内容と異なる仕事の依頼や、クライアントの報酬未払いがあります。条件の良い仕事と思い成果物を納品したら、「クライアントが音信不通になった」などの問題が起きています。
業務開始前に業務内容や支払い条件を明確化し、必要に応じて契約書を作成しましょう。また、クラウドワークスやランサーズなど大手クラウドソーシングサイトは、報酬未払いなどトラブルが起きた際、仲介に入ってくれます。トラブル時に自分の身を守れるよう、しっかり対策しましょう。
おすすめの副業の種類
副業には、さまざまな仕事の種類があります。ここではおすすめの副業を紹介します。いずれも本業と掛け持ちしながら無理なく始められる仕事です。
Web
デザイナー、エンジニア
Webデザイナーや、エンジニアが人気の仕事です。自宅にパソコンとインターネット環境さえあれば、身につけたスキルを活かして副業を始められます。クライアントとのやりとりもメールやチャットで行えるため、本業と掛け持ちしながら活躍している人が多数います。
Web
ライター
Webライターは、企業のホームページ内のコンテンツやブログ、商品販売に利用するLP(Landing Page:ランディングページ)などの記事を作成し、報酬を得る仕事です。クラウドワークスやランサーズといったクラウドソーシングサイトを利用すれば、Webライター未経験の人でも受注できる仕事が数多くあります。
発注元のクライアントとコミュニケーションを取り、決められたテーマや内容に沿って情報収集し、記事を作成するのが一般的な流れです。
アフィリエイト
アフィリエイトは、インターネットを介した広告プログラムで稼ぐ仕事です。例えばAmazonや楽天で扱われている商品を自身のWebサイトやSNSで紹介し、商品広告のリンクを貼ります。その広告を消費者がクリックして購入した際に、売上の一部が紹介者に還元される仕組みです。
大きな収入が得られる可能性がある一方で、稼げるまでに時間がかかります。また購入成果や広告クリックの成果がなければ、全く稼げないリスクもあります。
アンケートモニターやポイントサイト
アンケートモニターは、インターネット上でアンケートに回答する仕事です。企業が行う調査やアンケートに回答することで、謝礼として報酬がもらえます。ポイントサイトは、Webサイト内で設定された指定条件を満たすことで、ポイントがもらえる仕事です。ポイントサイトの指定条件とは広告をクリックする、商品を購入する、会員登録するなどがあります。ポイントの種類によっては換金できるため、お小遣い稼ぎが可能です。
ハンドメイド販売
ハンドメイド販売はアクセサリー、生活雑貨、家具、イラストなど、自分で作ったものを販売する仕事です。最近は、さまざまなジャンルのハンドメイド品が販売されています。アクセサリーや雑貨を作るのが好き、イラストデザインが得意など、制作が得意な人に向いています。
販売経路としてメルカリやココナラなどが有名です。サイトのデザインから決済システムまで全て整っており、簡単にハンドメイド品を出展できます。
内職
昔から存在する、代表的な副業が内職です。内職の特徴は単価が安く、1個当たりの単価は数円~10円、中には1円未満もあります。自宅で作業できるため、外出して働くのが難しい人に向いています。
仕事の例として玩具やバーコードなどのシール貼り、洋服・雑貨に値段やブランドのタグ付け、お菓子・刺繍キット・アクセサリー制作キットの袋詰めなどがあります。
アルバイト
本業と掛け持ちして、単発のアルバイトで稼ぐ方法があります。アルバイトの例として、軽作業や配達、チラシ配りやイベントスタッフなど、さまざまな仕事があります。未経験でも始めやすく、働く日数や時間を選べるシフト制のアルバイトも多いです。
休日や平日の空いた時間を有効活用でき、アルバイト先で新しい出会いやコミュニティを形成できる点がメリットです。
副業には働く環境や場所も重要
副業を始めるには、働く環境や場所を確保することも重要です。働く環境を整えることで生産性は高まり、副業の成果向上や収入アップにつながります。
副業におすすめの仕事環境がバーチャルオフィスとコワーキングスペースです。それぞれの特徴や、サーブコープのおすすめサービスを紹介します。
バーチャルオフィス
バーチャルオフィスとは、実際のオフィスを持たず、事業に必要な住所だけをレンタルできるサービスです。オフィスを借りるための初期費用や、ランニングコストが抑えられるため、副業や起業する方に人気です。
バーチャルオフィスのメリット
例えば、自身のWebサイトでハンドメイド品を販売する場合、公開するサイトに事業主の住所、氏名、電話番号の記載が必要です。不特定多数がみるインターネット上に、自宅の住所など個人情報を開示するのはプライバシーの点から課題があります。
バーチャルオフィスを利用すれば、バーチャルオフィスの住所を記載でき、会社登記も可能です。在宅で副業をするサラリーマンや主婦の方、匿名で仕事を請け負うフリーランスの方にピッタリのオフィス形態です。サーブコープのバーチャルオフィスの特徴
サーブコープのバーチャルオフィスは、ビジネス一等地の住所を利用できます。また、電話応対の代行や電話の転送サービス、バイリンガル秘書サービス、ITスペシャリストのサポートまで受けられます。一般的なバーチャルオフィスにはない、クオリティの高い充実したサービスが魅力です。
\多くの人に選ばれ続けられる、サーブコープのバーチャルオフィス!/
詳しくはこちら
コワーキングスペース
コワーキングスペースとは、共用のオフィス環境を複数人で共有して利用するサービスです。カフェや図書館のようなオープンスペースでありながら、インターネット環境やレセプション機能など、ビジネスに必要なインフラが備わっているのが特徴です。
コワーキングスペースのメリット
他の利用者とコミュニケーションを図れるのがメリットです。コワーキングスペースでは定期的にイベントや勉強会、セミナーなどを開催しています。自分の仕事とは違う業種の人や同業者の人、メンターになり得る人と知り合える機会も多いです。
エンジニアやWebデザイナー、Webライターなど、Webを使って仕事をする人が集う場として人気を集めています。さまざまな業種の方と交流し、事業アイデアのディスカッションや、仕事の悩み相談などが可能です。人と出会うチャンスを活かして、仕事の受注につなげている人も数多くいます。サーブコープのコワーキングスペースの特徴
サーブコープが提供するコワーキングスペースは、ワンランク上の独自サービスを提供します。利用プランはホットデスクと専用デスクの2つを用意。ホットデスクは、共有のワークスペースを自由に利用できるプランで、専用デスクは共有のワークスペースのほか、専用の固定席を利用できます。
カフェにはないインフラが整っており、重厚感のある落ち着いた空間と高層階からの景色で仕事が捗ります。 24時間365日いつでも利用でき、快適な仕事環境を提供します。
いかがでしたか。仕事に合ったオフィスサービスを利用することで、副業が成功する可能性も高まります。サーブコープのオフィスサービスに興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
文・内藤翼
IT業界歴20年のITビジネスライター。大手IT企業での「エンジニア×営業×マーケティング」のキャリアを活かし、副業でライターを始める。IT・ビジネス系メディアを中心に、企画、マーケティング、執筆に携わる。専門分野はIT・テクノロジー。
資料
※副業・兼業の現状① (厚生労働省労働基準局提出資料)