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居抜きオフィスとは? 借りるメリットや注意点を専門家がアドバイス

    企業がオフィスを移転するとき、移転計画にかかる労力や引っ越し費用など、時間や経費が大きな負担になる場合があります。こうした課題を解決するのが、居抜きオフィスの存在。近年人気が上昇していましたが、コロナ禍でオフィスでの働き方も変わり、改めて注目を集めています。本記事では、オフィス物件を専門に扱う株式会社アットオフィスの中西孝至さんに、居抜きオフィスのトレンドやメリット、借りる際の注意点を教えていただきます。

    居抜きオフィスとは?

    居抜きオフィスとは、前の借り主が使っていたオフィス家具やレイアウトを、そのまま残した状態で貸し出されるオフィスのこと。通常、オフィス物件は何もないまっさらな状態で貸し出されるため、いちから設備を整える必要がありますが、居抜きオフィスなら不要。デスクやチェアなどのオフィス家具や設備が整っているため、初期費用を抑えられたり、設備を揃える手間が省けたりといった点でメリットになります。

    そのため昨年あたりから増えていた居抜き物件ですが、今年はさらに注目度を増しています。そのきっかけとなったのが、新型コロナウイルスの流行です。特に都心の企業では、感染拡大防止のためにオフィスのあり方自体に変化が見え、居抜きオフィスのニーズが高まっているとか。株式会社アットオフィス営業担当の中西孝至さんに詳しい話を聞いていきましょう。

    なぜ、居抜きオフィスが人気なのか

    —— 居抜きオフィスが人気傾向にあるようですが、コロナ禍がどう影響しているのとお考えですか。

    今、多くの企業ではリモートワークを推進し、同時に出勤する人数をなるべく減らす取り組みがされています。そのため、以前のように広いオフィスを持つ必要がなくなり、特に都心の企業ではその傾向が顕著で、移転する企業の9割がオフィスを縮小したいと考えています。

    コロナ禍の見通しがつかないなかで、移転費用をなるべく抑えようと、居抜きオフィスを活用する傾向が強いのだと思います。

    —— コロナ前の居抜きオフィスの人気はどうでしたか。

    もともと、居抜きオフィスはベンチャー企業に人気でした。移転を繰り返すベンチャーは基本的に内装費に経費をかけません。そうした企業からの問い合わせはすでに増えていましたが、コロナの影響が顕著に表れ始めた今年の6月以降に一気に増加した印象です。オフィスでの働き方が大きく変わり、ベンチャーではない企業も移転を考えるようになったからだと思います。

    コロナ前は、居抜きオフィスに関する問い合わせは全体の10%ほどでしたが、今ではその倍はあります。居抜きオフィスの物件数的にも、9月頃から物凄い勢いで増加し続けているので、今後も人気が高まっていくと考えられますね。

    ちなみに居抜きオフィス同様、家具やOA機器が備わっているレンタルオフィスを活用される企業も小規模事業者の中には特に多いですね。

    居抜きオフィスを借りるメリット3つ

    —— 居抜きオフィスは、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

    まず、コスト面でのメリットが一番ですね。什器備品の規模によって内装費は大きく変わりますが、一般的に、新たなオフィスに入居するには1坪あたり20〜25万ほどかかると言われています。

    ですが、居抜きオフィスでは前の借り主の内装をそのまま引き継げるので、費用をかなり抑えることができます。ケースバイケースですが、いちからオフィスの内装を整備するのと比べ、大幅な経費削減になるのではないでしょうか。

    また、退去時にも居抜きオフィスであることは大いにメリットがあります。原状回復費用を節約できるからです。物件によっても違いますが、例えば100坪ほどのオフィスなら、原状回復費に1坪あたり10万〜15万かかりますが、居抜きオフィスならその費用も削減できます。

    ——コスト削減以外のメリットはありますか。

    コスト削減以外にもメリットはあります。その1つがスピードです。通常のオフィス物件に移転する際は、何もないまっさらな状態から内装工事を行わなければなりません。内装工事は、新しいオフィスのレイアウトを引くのに約1〜2カ月、施工完了までは4カ月ほどかかるのが普通です。しかし、居抜きオフィスならオフィスを契約したその日から利用することも可能で、仮に少し内装を変更したとしても、いちから内装工事をするより、ずっと時間の短縮になるでしょう。

    —— コスト削減や時間短縮のほかにも、メリットは考えられますか?

    内装工事をする場合、ほとんどの企業は専門業者を2、3社コンペします。そのあとも、内装工事の相談から、オフィスレイアウトのプランニング、施工まで専門業者と相談しながら進めていきます。そうした手間が省けるのは、かなり大きなメリットになるのではないでしょうか。

    居抜きオフィスを利用するメリット

    1. コスト削減
    2. 時間短縮
    3. 手間が省ける

    専門家がアドバイス! 居抜きオフィスの探し方や注意点

    ——居抜きオフィスは、どんな企業に向いていますか。

    居抜きオフィスは100坪以内の物件が多いので、小規模企業の方がマッチングしやすいというのはあります。

    例えば従業員数が50名規模になるとオフィスの使い方も多様です。そのため、「会議室の数が足りない」「個室をもっと増やしたい」などの課題が生じやすい。条件の合う物件に出会えるまでに時間がかかる可能性はあります。

    その点、従業員10名ほどの企業なら会議室も1つあれば十分なので、多くの居抜き物件とマッチしやすいと言えますね。

    —— いい条件の居抜きオフィスを探すコツはありますか。

    弊社のホームページに掲載が間に合わないくらいのスピードで物件数が増えています。掲載される前に契約が決まっていくケースも少なくありません。

    居抜き物件を専用サイトでチェックするのは効率的ですが、電話で直接相談する方が、最新の物件情報も含めて手に入るかもしれません。

    —— 借りる際はどんなことに注意しておくべきでしょうか。

    実は、居抜きオフィスの定義は物件のオーナーによって異なります。つまり、どこまで残すのを居抜きと呼ぶのかは、ケースによって違うため、移転後に「あれがない、話が違う」となることも。

    そうならないためにも、什器備品をどこまで引き継げるのかを、事前にしっかり確認し、取り決めておくことが重要です。また、引き継げる什器備品は、基本的に前の借り主が使い古した中古品です。実際に使おうと思ったら、壊れていたというケースも考えられます。移転費用を抑えるために居抜きオフィスを選んだにもかかわらず、コストが増えてしまっては意味がないので、しっかり対応してくれる仲介業者を通して、契約を結ぶことをおすすめします。

    さらに退去時についての取り決めも、事前にしておいた方がトラブル回避になると思います。

    居抜きオフィスを探す際の注意点

    1. 50名規模以上のオフィスはマッチングに時間がかかる可能性がある
    2. ホームページに掲載される前に契約が決まる物件もある
    3. 什器備品をどこまで引き継げるのか事前にしっかり確認する

    まとめ

    いかがでしたか。コロナ禍の影響でオフィスのあり方を見直す企業は増え、縮小を目的に移転するケースも増えているようです。居抜きオフィスを活用すれば、費用削減、時間短縮、効率化の3つの点で大きなメリットになりそうですね。ご興味を持たれた方は今すぐ専門家に相談してみてはいかがでしょうか?


    取材協力・株式会社アットオフィス
    営業一部1課次長 中西 孝至

    東京・神奈川を中心に、オフィスの仲介を軸に、オフィス移転に関するサービスをワンストップで提供。運営する賃貸事務所検索サイト『at OFFICE』は、関東を中心としたオフィス物件掲載サイトの中では最多規模の1万件以上。小規模物件から大型のビルまで対応し、オフィスを探す企業のあらゆるニーズに対応している。

    https://www.at-office.co.jp/

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