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会社の経費を削減する9のアイデアとは? 節税との関係や法改正の注意点も解説

会社の利益をあげるため、日々、無駄な経費を洗い出し、削減に取り組む個人事業主や企業の経理・総務担当者は多いでしょう。

本記事では元国税局職員で現在はフリーライターの小林義崇さんに、経費削減の基本や具体的なアイデアを始め、経費削減と納税の関係性、関連する法改正の注意点をお聞きしました。

経費削減のメリットは? 基本的な考え方を解説

経費削減は会社の利益を増やすことにつながり、また、利益が多くなればさらなる発展のために銀行の融資を受けやすくなるなど、さまざまなメリットがあります。

経費削減を行うためには、以下2点が大切なポイントになります。

① 大きな成果につながる経費削減から取り組む

② 事業に支障をきたす経費を削減しない

大きな削減効果があるのは、人件費やオフィスの賃貸料といった、経費の中でも大きな割合を占める固定費です。

優先して抑えたいコストではありますが、人件費を削ったり、オフィスのグレードダウンを図ったりすると社員の不満につながりかねません。

金額が大きい経費は社員のモチベーションを下げ、離職率をあげるリスクもあるので注意が必要です。

 

大切なのは、大きな成果につながりやすく、かつ、事業に支障をきたしにくい経費があるかを洗い出すこと。

次の項では、削減に取り組みやすい経費削減の基本的なアイデアを9つあげてみました。

経営者が実践している9の経費削減方法とアイデア

「固定費」「突然の大きな出費」「本業に直結するコスト」の3つのグループに分けて解説します。

(グループA)

固定費の支払いを減らす

(グループB)

突然の大きな出費を減らす

(グループC)

本業に直結するコストを見直す

オフィス賃料

 

新品ではなく中古を検討変動費の削減
水道光熱費

 

クラウド型システムを活用アウトソーシングを活用
ペーパーレス化

 

オフィス移転費用の削減補助金でコストを補填

 

【グループA】固定費の支払いを減らす

固定費とは、売り上げの増減によらず発生する費用のこと。

固定費は売り上げに関わらず必ず出ていくお金のため、事業が不安定な時期は特に赤字を招く要因になります。

経費削減を行うときはまず、見直せない固定費がないか確認しましょう。

 

オフィス賃料

会社にとってオフィスの賃料は大きな負担です。賃貸オフィスを借りると、保証金や敷金などの初期費用はもちろんですが、毎月の賃料は固定費とし企業経営を圧迫します。

たとえば東京都心の大規模ビルの場合、仮に30坪程度としても年間で1,000万円を超える規模の賃料になります。

この賃料を節約するには、地価の安いエリアにオフィスを移設したり、シェアオフィスを利用したりすることが有効です。

会社の業務を行ううえで最適な場所にこだわりつつ、賃料のコストを下げられないか検討しましょう。

 

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水道光熱費

水道光熱費も少なくないコストです。まずは水道や電気などの使い方を見直し、無駄をなくす必要があります。

さらに、2016年4月1日以降は規制緩和により電力会社を選ぶことが可能になっています。電力会社ごとのプランを比較し、自社に適したものに切り替えることで、コスト削減が期待できます。

 

ペーパーレス化

業務をペーパーレスにすると、コピー用紙やコピー機、インク代にかけていた経費を削減できます。

また、保管する資料の量が大幅に減るので、そのためのスペースを確保したり、トランクルームや貸し倉庫をレンタルしたりする必要もなくなります。

ポイント!

2022年1月に電子帳簿保存法が大幅に改正されました。今後は、電子メールでやり取りをする請求書などは、原則としてデータのまま保管しなくてはいけません。

紙で保存をしていると税務上の経費として認められなくなるおそれがあるので、すべての企業がペーパーレス化を進める必要があります。

その他の固定費

固定資産税・広告宣伝費・保険料・減価償却費・修繕費など

【グループB】突然の大きな出費を減らす

以下は、定期的にかかる経費ではありませんが、大きな出費になりかねないものです。

突然の出費に困ることのないように、早めに検討し、対処しておく必要があります。

 

物品は最新機種ではなく中古を検討

社員が多い会社は特に、物品を買うときの判断は慎重に行う必要があります。たとえばパソコンを購入するとして、全社員に最新機種を用意すると膨大なコストになるからです。

もしも中古機種に必要な機能が備わっているのであれば、最新機種にこだわる必要はありません。また、契約ごとに最新のモデルを利用できる「リース契約」もおすすめです。

 

クラウド型のシステムを利用し費用を節約

会社の業務システムは大きくオンプレ型とクラウド型に分けられます。

オンプレ型は社員のパソコンにソフトウェアをインストールし、社員同士のパソコンをネットワークでつなぐ方法。

一方、クラウド型はインターネットを介して利用するシステムで、社内にサーバーを設置せずとも複数の社員が同じシステムにアクセスできます。

たとえば「Micorosost365」を導入すれば、一人の社員につき月額650円で、Webとモバイル版のOfficeアプリや1TBのクラウドストレージ、会社の独自ドメイン名で作成するメールアドレスやスケジュール機能が利用可能。

各パソコンにソフトをインストールする費用や手間が省けるうえ、クラウド上でつながっているため、場所を問わずアクセスできます。コストカットが見込めるのはもちろん、利便性も高まります。

 

オフィスの移転費を抑える

会社が成長し社員数が増えると、オフィス移転が必要になります。賃貸オフィスの場合、移転のために敷金や保証金、転居費などの費用がかかります。

途中契約になる場合は違約金も発生します。このような経費を削減するためには、企業規模に合わせて部屋の広さなどをアレンジでき、また1カ月単位の契約が可能なレンタルオフィスが便利です。

 

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【グループC】本業に直結するコストを見直す

最後は、本業に関わる経費削減です。ここを見直すことで、売り上げから得られる粗利を増やすことができます。

 

⑦売り上げと変動費を照らし合わせて無駄遣いを減らす

仕入れや送料、販売手数料のように、売り上げに応じてかかる費用を「変動費」といいます。

企業の利益をあげるには、前述した固定費のほかに変動費を削減する必要がありますが、変動費もサービスや商品の質を下げるリスクもあるので注意が必要です。

もし、売り上げに見合わない変動費を支払っている場合は、仕入れ費用や材料費、配送サービスなどを切り替えることを検討しましょう。

 

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アウトソーシングを活用する

外部に委託し、一部の業務をまかなう「アウトソーシング」も経費削減につながる有効な手段です。

大手企業の多くはお客様対応のコールセンター業務をアウトソーシング化し、社員の給与計算を始めとする経理業務を委託しているなど、さまざまなアウトソーシングを行っています。人件費削減だけではなく、人手不足を補う面でもメリットがあります。

 

補助金でコストの一部を補填する

会社の固定費の中には、補助金の対象になるものがあります。たとえば「持続化補助金」は、販路開拓や生産性向上のための費用について、一定割合が補助されます。

具体的には、ホームページの改修費や広告費などを払った場合、その2/3〜3/4が後日補助金として支給されます。

補助金を利用するには、あらかじめ申請をし、採択される必要があります。

また、補助金のタイプによって対象となる経費が変わる点にも注意が必要です。補助金のルールをしっかり確認し、計画的に利用するようにしましょう。

経費削減すると税金が増える? 元国税局職員からのアドバイス


会社の経費は、税金を計算するときに「損金」として利益から差し引かれます。

そのため、経費削減を行うと、納税する金額が増えるデメリットが出てきます。

たとえば、経費削減に取り組み、賃料を年間100万円、抑えられたとします。

その場合、従来より利益が100万円増えることになるので、100万円に税率(約3割)を掛けた金額の税負担に。

計上できる経費が減る分、税金が増える点は念頭に置いておきましょう。

 

もうひとつ注意したいのが、会社が実際に支払っても損金にならない費用があることです。このルールを「損金不算入」といいます。

そうした例のひとつが交際費です。資本金1億円以下の中小企業の場合、1年度あたり800万円を超える交際費を支払うと、超えた分は損金になりません。

この限度額を超えた分は、経費として計上できないため税負担は下がらないのです。

したがって、交際費は適切な金額にコントロールする必要があります。

社内の経費精算を早めに行い、1年度あたり800万円を超えないように気をつけましょう。

レンタルオフィスで削減できる経費はどれくらい?

小林さんが解説したとおり、経費削減を考える際に優先したいのが、売り上げに関わらず一定金額発生する固定費。

しかし、オフィス賃料や人件費を削減すると、社員のモチベーション低下や離職を招きかねないという指摘もありました。

また賃貸オフィスは2年契約が一般的なので、すぐに移転するのは難しく経費を削減したくても難しいのが現実です。

その点、賃貸オフィスではなくレンタルオフィスを選べば、さまざまな固定費の経費削減につながります。オフィス開設の予定がある方はぜひ参考にしてください。

レンタルオフィスで削減できる固定費とは?

・オフィス開設にかかる初期費用

・オフィス家具ITインフラ設備費用

水道光熱費

修繕費その他メンテナンス費

人件費(秘書サービスがある場合。受付、秘書、経理、庶務など)

オフィス開設にかかる初期費用

賃貸オフィスの場合、入居時に支払う敷金や礼金、保証金などの負担が非常に大きいです。

一般的に賃料6~12カ月分の賃料を保証金として支払う場合が多く、それだけで数百万円単位の支出になります。

その点、レンタルオフィスは入居時に保証金を求められることがあっても賃料1~3カ月分程度なので、ベースとなる賃料自体が低いことから初期コストをかなり抑えることができます。

オフィス家具やITインフラ設備費用

レンタルオフィスには、デスクやチェア、収納など、オフィスに必要な環境を完備しています。ITインフラも自社で導入する必要がなく、Wi-Fiやプリンターなどを入居後すぐに利用することが可能。

申し込みや工事の立ち会いといった手間もかかりません。

水道光熱費や通信費

レンタルオフィスの月額利用料には水道光熱費や通信費が含まれているため、どれだけ電気や水道、インターネットを使っても追加費用を請求されることはありません。

修繕費やメンテナンス費

たとえばパソコンが壊れた、オフィス家具が破損した、プリンターなどの設備が故障した場合の修繕費はもちろん、定期的なメンテナンス費も利用者は負担する必要がありません。

月額利用料に含まれているため別途請求されることはなく、トラブルシューティングをすべて任せられる点も、精神的な負担減につながります。

人件費(受付、秘書、経理、庶務など)

取引先などからの連絡や来客対応のため、窓口機能がある企業がほとんどです。

有人受付や電話代行・秘書サービスがあるレンタルオフィスを選べば、接客や電話応対はもちろん、雑務から経理、総務といったサービスまで依頼できるケースも。

専任スタッフを別途雇用したり、人材育成をしたりする必要もなく人件費削減につながるので一石二鳥です。

文・小林義崇(こばやしよしたか)

元東京国税局職員。都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所において、相続税の調査や所得税の確定申告対応、不服審査業務等に従事する。2017年7月、東京国税局を退職しライターとして開業。実用書や雑誌・WEBメディア記事を多数執筆。

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