法人に固定電話はもう必要ない? 固定電話を持つメリット・デメリットを解説します
企業が固定電話を持つことは、これまでビジネスの常識とされてきました。携帯電話やスマートフォンが普及した現在では、固定電話を廃止する企業も増えてきましたが、本当に固定回線は必要ないのでしょうか? 本記事では、法人が固定電話を置くメリット・デメリット、電話回線の種類について解説します。
法人が固定電話を置くメリット
会社を設立する際、登記事項に会社の電話番号は含まれません。そのため、法人登記を理由に固定電話を設置する必要はありません。また、連絡を取るだけならスマートフォンだけでも十分です。それでも固定電話を置く会社が多いのはなぜなのでしょうか。
それは、以下の4つのメリットがあるからです。
信頼性が上がる
固定電話があることによって、企業の信頼度が上がります。会社の連絡先が携帯電話のみの場合、顧客や取引先は「会社は存在するのだろうか」「困ったときに連絡が取れなくなったらどうしよう」と不安を抱く可能性があります。
固定電話の番号を明示することで、会社の存在を証明しやすくなり、オフィスに社員が常駐していることのアピールにもなります。それが顧客や取引先からの信用につながるでしょう。
また、金融機関への融資の申し込みやクレジットカードの作成など、社会的信用を必要とする場面でも、固定電話を取得していることによって信頼を得やすくなる場合もあります。
プライベートと仕事の切り分けができる
固定電話の取得は、プライベートと仕事の切り分けができるメリットがあります。固定電話を設置しないと、個人の携帯電話が会社の代表番号になります。そのため休日であっても仕事の電話がかかってくる可能性があり、プライベートと仕事の線引きが難しくなります。
セキュリティ上のリスク軽減
プライベートでの使用時に業務にかかわる情報を誤送信してしまうなど、個人の携帯電話を仕事で使用することにはセキュリティ上のリスクがあります。また、企業のホームページなどにも個人の携帯番号を記載することになり、迷惑電話やSMSに迷惑メールが届くなど、プライバシーも侵害される可能性もあります。
安価にFAXを利用できる
近年はペーパーレス化が進んでいますが、現在でもFAXを利用している会社は少なくありません。電子メールでFAXを受信するインターネットFAXは割高になるケースが多いため、固定電話を設置することによって安価にFAXを利用できる点もメリットの1つとして挙げられます。
法人が固定電話を置くデメリット
固定電話のデメリットとして、まず挙げられるのはコストでしょう。固定電話を引くにはある程度の費用が必要となります。コスト以外にも2つのデメリットが挙げられます。固定電話を設置すべきかどうかの参考にしてみてください。
リモートワークとの相性が悪い
2020年6月、音声テックベンチャーの株式会社シンカは、リモートワーク/テレワーク実施企業の総務担当者に対して、緊急事態宣言中の固定電話の対応調査を行いました。その結果、過半数は「固定電話対応のために、緊急事態宣言中も出社をしなければならなかった」と回答しています。
この結果から、固定電話を設置することによって、従業員は持ち回りで出社して対応するなど、固定電話対応のために出社をしなければならない状況なのがわかります。
電話応対業務に携わる人材確保が必要
会社に固定電話を設置すると、電話の取り次ぎ業務が発生します。電話がなったら手が空いている者や電話応対スタッフが取り、担当者に取り次ぐ、または用件を聞いてメモを取り、担当者に伝えるといった煩雑なやりとりが必要となります。そのため伝達ミスや作業の中断による生産性の低下といったデメリットが生じやすくなります。
固定電話を設置しなければ、直接担当者に連絡が入るため、電話による伝達ミスはなくなり、自身の仕事に集中しやすくなることで、生産性の向上が期待できるでしょう。
電話回線の種類
固定電話というと、NTTの加入電話を想像される方が多いのではないでしょうか。現在はさまざまな種類の電話サービスがあり、費用や特徴も異なります。
ここでは電話回線の種類について説明します。
アナログ回線(NTT加入電話)
アナログ回線とは、アナログ信号で通信する電話回線です。昔から家庭にある、一般的な電話回線のことを指し、銅線で電話機をつないで、音声を伝えるしくみです。停電時などにも利用できるのが特徴です。
利用にはNTT東日本、NTT西日本への申し込みが必要です。初期費用として、契約料880円、施設設置負担金39,600円、月々の料金として2,500~2,800円ほどかかります。施設設置負担金のかからないライトプランもありますが、その分、月々の料金が3,000円ほどに上がります※。
こんな人におすすめ
・オフィスにインターネット環境がない
・災害時に利用したい
・電話の利用頻度が低い
ISDN回線
ISDN(Integrated Services Digital Network)とは、デジタル信号でやりとりのできる回線です。1つの電話番号で2回線分利用できるため、固定電話を利用しながらFAXやインターネットを利用できます。
NTT東日本、NTT西日本の「INSネット64」は、初期費用としてアナログ回線と同じく契約料880円、施設設置負担金39,600円が必要となります。また月々の料金として、3,883円の回線使用料が必要です。施設設置負担金がかからないライトプランでは、月々の料金が4,158円と少々割高となります※。
こんな人におすすめ
・オフィスにインターネット環境がない
・災害時に利用したい
・電話の利用頻度が低い
IP回線
IP回線とは、固定電話の回線(アナログ電話回線)の代わりに、インターネットのブロードバンド回線(光ファイバーやADSL)を利用する電話のことを言います。
IP回線は、アナログ回線より安価なのが特徴です。高額の初期費用がかからず、月々の料金も数百円程度の基本料+わずかなオプション料が加算されるだけになります。国内の固定電話が相手であれば、全国一律の料金で利用でき、通話料も3分あたり7~8円と安価です。
同じ電話会社同士など特定のIP電話同士であれば、通話料金が無料になるなど、各社よりお得なサービスが提供されています。
ただし、取得できる電話番号は050から始まる番号に限定されています。また、110や119といった緊急ダイヤルやフリーダイヤルなど、一部の電話番号への通話ができない場合があるので注意が必要です。
こんな人におすすめ
・電話を利用する機会が多い
・050の番号で問題ない
・緊急ダイヤルやフリーダイヤルを使わない
光回線
光回線とは、光ファイバー回線を利用した電話サービスのことです。NTT東日本、NTT西日本の「ひかり電話」の他、多くのインターネット事業者が光回線電話を提供しています。
最大の特徴は、高速通信による音声通話の音質が良く、NTT加入電話に近い品質で利用できることです。電話番号もIP回線のように050の番号に限らず、03などの市外局番から始まる電話番号を取得できます。また、110や119などの救急通報も利用可能です。
ただし、インターネット回線が不通になると、電話も利用できなくなるため注意が必要です。また、通話料金はIP電話と同程度ですが、月額の基本料金は比較的高めに設定されています。
こんな人におすすめ
・電話を利用する機会が多い
・市外局番から始まる電話番号を使いたい
クラウドPBX
クラウドPBXとは、社内外との通話機能をクラウド上のサーバから提供する電話サービスです。電話回線は不要で、端末はスマートフォンやタブレットを使用します。
PBX(Private Branch Exchange)には、「構内電話交換機」という意味があります。電話局で使われている局内交換機に対応するもので、企業内に設置して外線電話と内線電話同士を交換する装置を指します。
クラウドPBXは、これらの機能をクラウド上で制御するため、市外局番で始まる番号で外部発信ができ、スマートフォンを内線化することも、自宅や外出先からオフィスの電話番号で発着信することも可能です。
料金は、初期工事費用として1~5万円前後が一般的ですが、最近は1万円程度の通信サービス会社が増えてきました。月額料金は内線1回線あたり1,500円~2,500円前後。利用する内線の数が増えるほど、1回線あたりの単価は安くなるのが一般的です。
ただし、クラウドPBXは提供するサービス会社によって料金体系が異なります。初期費用や月額料金が安い分、通話料が高めに設定されている場合もあります。プランの内容を慎重に確認するようにしましょう。
こんな人におすすめ
・リモートワークを実施している
・オフィスの移転が多い
電話回線を選ぶポイント
オフィスにインターネット環境がなく、電話の利用頻度が少ない、災害時も使えることを重視する場合、アナログ回線、ISDN回線の利用を検討すると良いでしょう。
オフィスにインターネット環境があり、電話をかける機会が多い場合は光回線の利用がおすすめです。リモートワークを実施している、もしくはオフィスの移転が多い場合などは電話回線不要でスマートフォンから使用できるクラウドPBXの利用を検討しましょう。
プライバシーを守り、ビジネスをサポートするサーブコープのバーチャルオフィス
いかがでしたか。法人が固定電話を設置する場合、さまざまな方法があります。連絡手段としてはスマートフォンがあれば十分ですが、信頼性の面から固定電話の存在は重要です。自社にあった導入方法を検討してみてください。
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サーブコープのバーチャルオフィスで利用できるサービス
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※2022年9月時点の情報です。
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