人材の採用コストを下げ、高い定着率に! 注目の「リファラル採用」とは?
ハローワークの有効求人倍率によれば、2017年6月では1.51倍と、バブル期で最も高かった1990年7月の1.46倍を大きく上回る結果に。今後、良い人材の採用がますます難しくなることが予想される今、「リファラル採用」という新たな採用方法が注目を集めています。
社員の人脈を活用する「リファラル採用」とは?
リファラル採用とは、「自社の社員やOB・OGに、適任と思われる人材を紹介してもらう採用手法」です。アメリカでは、5年ほど前からGoogleやFacebookといった大手IT企業が効率的な採用手法として取り入れており、採用経路全体の約3割を占めるという統計もあるほど定着しています。
バブル崩壊以降、日本の景気は長年にわたり低迷が続き、1999年には有効求人倍率が0.48%と過去最低を記録します。企業は多くの応募者からより良い人材を選ぶ、買い手市場が続きました。ところが、今や未曾有の売り手市場。企業は、求人を出すだけでは、良い人材に出会うことができない状況となりました。
そこで、良い人材を採用するために、さまざまな工夫を行う企業が増えました。日本では2015年頃を境に、中途採用を中心にリファラル採用が広まりつつあります。
企業とマッチしやすい、「リファラル採用」のメリット
リファラル採用が取り入れられるようになった理由は、今までの採用方法と比べて、メリットが多いことが挙げられます。
リファラル採用のメリット
・採用コストが抑えられる
・会社の社風、魅力が伝わりやすい
・離職率が低い
まず、社員からの紹介なので、会社が求職者を探すプロセスを省くことができ、採用コストを抑えることができます。さらに、自分が感じる会社の社風や魅力を自らの友人・知人に素直に伝えるため、客観的でフラットな意見として、共感を得やすくなります。また、社員が適任と判断した人材は、会社とのマッチング率が高く、離職率も低いと言われています。
あの急成長企業も! 日本でリファラル採用を導入している企業とは?
日本でも、積極的にリファラル採用を行なう企業が増えてきました。リファラル採用を効果的に行うために、企業ごとに行われる工夫も特徴的です。
アマゾンジャパン株式会社
アメリカ本社ではLinkedlnやMonster Jobsを使ったダイレクト・リクリーティングがメインであることから、日本の費用がかかりすぎる採用を見直すためにも、リファラル採用にシフトを決定します。その結果、エンジニア職などではリファラル採用が5割以上と成功を収めています。
社員と友人・知人との関係を悪くしないために、連絡先を教えてもらい、やり取りは人事が行う、候補者の採用結果は社員には伝えないなどの工夫が行われているようです。
面白法人カヤック
何をするかより、誰とするかをキーワードに、一緒に働きたい仲間を重視した採用活動を行なっている、面白法人カヤック。求人サービスを使わずに、自社サイトや社員の紹介からの採用率は50%を超え、採用コストが25%も削減されているそうです。
リファラル採用をごく自然な方法、選択肢として根付かせるために、全社員を人事部に所属させる「ぜんいん人事部」という体制を取っています。
株式会社メルカリ
立ち上げ当初から、リファラル採用を率先して導入しています。なんと、社員全体の約6割が社員の紹介による採用で、自社サイトからの応募も含めると8割を超えるといいます。
リファラル採用のための会食費は会社が負担してくれるので、友人・知人を積極的に誘って会社の話をする機会が持ちやすくなっています。さらに、「メルカン」というオウンドメディアを立ち上げ、働く場所としてメルカリの魅力をブランディングし、入社前から社風に共感してもらうことで、リファラル採用のマッチ率を引き上げています。
株式会社ニジボックス
2011年の設立当初から社員が社員を紹介する文化があり、2015年に中途採用を強化する方針へ転換すると同時に、リファラル採用を制度としてスタートしました。社員の認知・協力を得るために、まずは社員紹介プラットフォーム「GLOVER Refer」を導入。
さらに、経営会議や全社総会などで周知したり、個別面談でプラットフォームを使ってもらうように草の根運動を行いました。その結果、2015年上半期のリファラル採用は、応募した17名のうち6名が入社するという実績を残しました。
リファラル採用は、定着するまでには時間が必要!
リファラル採用は、会社に魅力を感じている社員の協力なくして、成り立ちません。日本には紹介という文化がまだまだ一般的でないだけに、うまくいかない企業も多いといいます。まずは、社員が友人・知人を紹介しやすい制度を準備することが大切です。
リファラル採用は、優秀な人材を採用したい場合の課題である、企業の知名度や採用費用削減だけではなく、企業風土の共感や定着率の上昇といった利点があります。これからの時代は、待ちの採用ではなく、社員の人脈を活かすリファラル採用で、優秀な人材を採用していくことが重要と言えます。