リモートワークとは？テレワークとの違い、メリット・デメリットから最新の動向まで解説
「リモートワーク」とは、従業員がオフィス以外の場所で働くこと全般を表す言葉です。
政府が在宅勤務を推奨したこともあり、コロナ禍をきっかけに、リモートワークを導入する企業や働き方が一気に拡がりました。リモートワークを実施する企業側・従業員側、それぞれのメリットやデメリット、リモートワークに向いている職種、導入している企業の事例を紹介します。
リモートワークとは？
リモートワークとは、リモート（Remote：遠隔）とワーク（Work：働く）という言葉を合わせた造語で「遠隔で仕事をすること」という意味です。具体的には、「企業に勤務している人が、インターネットやメール、電話などを活用し、自宅やカフェ、コワーキングスペースなど勤務先のオフィスではない場所で仕事を行うこと」を指します。
リモートワークに法的な定義や基準はなく、同じような意味を持つ言葉は他にも多数あります。ひとつひとつの言葉によって異なるニュアンスを含んで使われる場合があるため、リモートワークと似た言葉について、その使い方を確認しておきましょう。
リモートワークとテレワークの違いとは？
リモートワークが「企業に勤務する人がオフィス以外の場所で仕事を行うことを表す言葉であるのに対して、テレワークは企業の従業員に限らず、自営業・フリーランスの人が自宅で仕事をすることも対象に含むと定義されている言葉です。
リモートワークが特に法的に定義されておらず、自然発生的に使われるようになった言葉であるのに対して、テレワークは総務省をはじめとする関係省庁でも使用される言葉という違いがあります。
もともと、国はICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方のことを「テレワーク」と定義し、その普及促進に努めてきました。
総務省は、テレワークによる働き方を大きく「雇用型」と「自営型」の2つに分類しています。さらに、雇用型は3つに分類でき、パソコンやメールなどの通信手段を活用しながら自宅で働く「在宅型」、外回りの営業など外出勤務中にパソコンや携帯電話で作業する「モバイル型」、レンタルオフィスなど本来の勤務先以外の場所で働く「施設利用型」があります。
参照：テレワークの動向と 生産性に関する調査研究 報告書 （平成22年3月）
リモートワークと在宅勤務の違いとは？
在宅勤務とは「企業に務める人が、自宅で情報通信技術を利用して会社の仕事をすること」です。「企業の従業員」という共通点がありますが、「在宅勤務」という言葉にあるように、仕事をする場所が自宅に限定されているところがリモートワークと異なる点です。
リモートワークとノマドワークの違いとは？
ノマド（nomad）とは英語で遊牧民を意味する言葉です。ノマドワークとは言葉の意味どおり、遊牧民のように特定の場所に縛られずに仕事をするスタイルを指します。企業の従業員を前提としたリモートワークとは異なり、ノマドワークは一般的にはフリーランスの働き方として使われることが多い言葉です。
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リモートワーク導入のメリット
リモートワーク導入を検討中の方、リモートワークが可能な職場で働きたい方の参考になるよう、リモートワークの企業側・従業員側双方から見たメリットを紹介します。
リモートワーク導入の企業のメリット
まずは、企業側から見た場合のメリットを確認しましょう。
1． オフィススペース関連のコストを削減できる
従業員の執務スペースを確保するためのオフィス賃料やオフィス家電、電話回線などの設備関連のコストを削減できます。
2． 通勤の負担を軽減できる
通勤交通費は多くの企業にとって全額負担で、社会保険料の算出にも含まれるため、大きなコスト削減につながります。
3． 優秀な人材を採用しやすい
リモートワークを実施することで、リモートワーク制度を希望する若年層や技術力の高い優秀層、これまで採用可能性の低かった遠隔地在住者などの採用につながります。
4． 事業継続性を確保しやすくなる
一箇所に業務を集約することは、地震などの自然災害、またテロ行為の被害などのリスクがあります。普段からリモートワークの制度を整えておくことで、非常時の事業継続性を高めるリスクヘッジにもつながります。
リモートワーク導入の従業員のメリット
リモートワークが導入されることで、従業員にも多数のメリットがあります。
1. ワークライフバランスが向上する
自社オフィス以外にシェアオフィスを活用したり、自宅でのリモートワークを導入したりすることで、客先からの移動や通勤時間を削減できます。平日にも自由な時間が増えることで、ワークライフバランスが向上します。
2. 生産性が向上する
同僚や上司からの急な声かけ、電話対応や来客対応の必要がなくなり、より集中して業務に取り組めることで「生産性が上がった」と感じる方も少なくありません。
3. 育児や介護がしやすくなる
離職につながりやすい育児や介護と仕事の両立がしやすくなります。リモートワークを導入することで、時短勤務ではなくフルタイム勤務が可能になるなど、より高い収入につながる効果もあります。
リモートワーク導入のデメリット・課題
企業・従業員ともにメリットが多数あるリモートワークですが、デメリットも少なくありません。なかには事前に対処できることも多く、導入に際しては以下のようなデメリットを解決する仕組みを整えることが求められます。
リモートワーク導入の企業のデメリット
企業側から見たデメリットの多くは、環境整備や仕組みを整えることで比較的解決しやすい種類のものです。
1． 情報セキュリティのリスクが増える
業務の拠点が増えるほど、情報セキュリティ漏えいのリスクは高くなります。情報管理の徹底と最新のセキュリティ環境へのアップデートが必要です。
2. PCなどリモートワーク用の備品が必要になる
外部持ち出し用のPCなど、リモートワークに必要な備品やビデオ通話システムの利用料など、対応する経費が必要です。
3. 押印が必要な書類が滞る
押印が必要な書類が多い業務・部署の場合、やりとりのための時間がかさみます。スピーディーな決済のために、電子押印システムの導入などの検討が必要です。
4． 労務管理が難しくなる
出退勤や労働時間をどのように管理するか、また人事評価をどのように行うか、基準や仕組みの変更が求められます。
リモートワーク導入の従業員のデメリット
企業側のデメリットと比較すると、従業員側のデメリットは目に見えにくく、明確な解消の方法が確立されていないものも含まれるため、導入後も注意深く観察する必要があります。
1．コミュニケーション不足になりやすい
日常的に顔を合わせ、ランチタイムなどで自然にコミュニケーションをとる機会があるオフィスと異なり、リモートワークでは従業員同士の接点を意識的に創出する必要があります。
2．自己管理能力が求められる
出社することでON/OFFが自然に切り替わるオフィスと異なり、自宅でのリモートワークは従業員自身での自己管理能力が求められます。一方で、労務管理ツールで強制的に監視する環境を構築した場合、従業員のロイヤリティが下がるリスクも生じます。
3．会社への帰属意識が低下する
「この会社の一員である」という帰属意識は、時間や場所の共有をきっかけに生まれることが多いため、完全なリモートワークの最も大きな弊害になると言えるでしょう。
リモートワークの普及率は？廃止が増えている？
コロナ禍の感染予防のため、一気に導入が進んだリモートワークですが、2023年5月に感染症法上の位置づけが変更され各種制限が解除されたことで、リモートワーク（テレワーク）の実施率は減少傾向にあります。
資料出所：令和５年度テレワーク人口実態調査－調査結果（概要）
コロナ禍で急遽導入に踏み切り、リモートワークのデメリットに対処しきれなかった影響で、揺り戻しが起こっていると予想されます。
とはいえコロナ禍以前の実施率と比較すると依然高い水準を保っており、リモートワークのメリットを活かせる業務・職種では、ある程度定着しているとみることができます。
リモートワークのデメリット・課題を解消するポイント
自社にリモートワークを導入する場合、そのデメリットや課題をどのように克服するか、しっかり検討することが必要です。それぞれのデメリットに対応したポイントを紹介します。
・評価制度の見直し
業務中の様子を上司が自然に見ることができるオフィスでの勤務ではなく、業務の成果しか見えないリモートワークの場合、成果以外の評価をつけることが難しいと感じる評価者は少なくありません。また、勤怠管理システムも刷新する必要があります。・セキュリティ対策を行う
業務の資料の持ち帰り、セキュリティレベルの低いインターネット回線やPCの利用など、セキュリティのリスクを軽減するため、新たにリモートワークに適した外部接続端末の支給やセキュリティソフトの導入を検討しましょう。・コミュニケーションツールを活用する
社員同士のコミュニケーションの機会を増やすため、Web会議システムやチャット。SNSなどのコミュニケーションツールを活用しましょう。ZoomやLINEなど、すでに多くの人が使用に慣れているツールから検討するとスムーズです。・業務をペーパーレス化する
コロナ禍をきっかけにハンコでの決済・承認を電子決済に変更した、会議の議事録を音声記録にしたなど、業務のペーパーレス化とデータ共有の仕組みは必須です。
リモートワークに適した職種とその理由
実験的にリモートワークを導入する場合、リモートワークと親和性の高い職種から導入することで、比較的スムーズな定着を目指せます。
プログラマー（エンジニア）
対面での打ち合わせの必要性が低く、成果物がハッキリと見えるプログラマーは多くの職種のなかでもリモートワーク実施率の高い職種です。求人広告でも「リモートワーク」をアピールする内容が多くみられます。
企画・マーケティング
多くの会議や対人コミュニケーションを行う企画・マーケティング職ですが、実はリモートワークの実施率の高い職種です。ある程度その会社での経験が長く、オンラインでのコミュニケーションで問題なく業務にあたれるメンバーが多いこともその理由のひとつです。
カスタマーサポート
電話応対・メールやチャット応対、どちらも在宅で遜色なく業務にあたれるインターネット環境を構築できるようになり、対応時間が決まっていて報告フォーマットも確立されていて、在宅ワークを探す子育て層に支持されています。
バックオフィス（経理・労務・人事）
経理や労務、給与などの定型業務を切り出し、明確に分業することでバックオフィスもスムーズにリモートに移行できます。
法人営業
直行・直帰も可能な法人営業は実はリモートワークに適した職種のひとつです。売上という明確な成果基準があり、クライアント先での活動が中心になる法人営業では、リモートワークのなかでもサテライトオフィスを検討するのがオススメです。
リモートワーク導入企業事例
導入したあとの定着・活用まで長期的な効果までイメージできるよう、リモートワークをコロナ禍以前から導入し、会社の制度にしっかり定着させた導入企業の実例を紹介します。
・リクルート
リクルートでは2008年から育児・介護などの事情がある社員を対象に、リモートワークを導入開始。2016年には事情に関わらず、上長判断でリモートワークを可能にするなど、その対象を拡げてきました。通勤手当として特急料金の支給も可能とし、リモートワークを活用して単身赴任を解消する社員も出るなど、働き方改革にもつながっています。
※参照元①「リモートワーク制度で単身赴任を解消。約10年ぶりに家族同居へ 」
・サイボウズ
「テレワーク」に関する情報をHPで積極的に公開しているサイボウズは、2010年から全社員を対象に月4回まで在宅勤務の試験導入を開始、2011年の東日本大震災時には震災5日後から在宅勤務の原則化を決定するなど、いち早くリモートワーク対応を進めた企業です。その知見をテレワークセミナーやスタートブックにまとめ、普及にも力を入れています。
※参照元②「サイボウズの「テレワーク」に関する情報を公開します 」
・クックパッド
クックパッドはコロナ禍、正社員だけでなく契約社員、パート・アルバイト、派遣社員、通常在席の業務委託スタッフなどすべての従業員を対象にした在宅勤務に踏み切り、在宅勤務環境向上を進めてきた企業です。その知見を活かし、現在は部署ごとに週2回のオフィス出勤日を設け、それ以外は生産性の高い形態を選べるFlexible working制度を導入しています。
※参照元③「新型コロナウイルスの拡大防止対策で、全従業員を対象に在宅勤務（Work from Home）を実施 」
リモートワークのワークスペースとして適しているシェアオフィス
リモートワークの導入に、シェアオフィスを検討する企業が増えていることをご存知ですか？ 在宅勤務で陥りがちなデメリットや課題を解決し、働きやすい場所を用意する方法としてシェアオフィスの機能が評価されています。
シェアオフィスには「コワーキングスペース」「レンタルオフィス」「バーチャルオフィス」など、いくつかの利用形態があります。
コワーキングスペース は個室や占有スペースの利用ではなく、フリーアドレス形式でデスクを共有することがメインとなります。事業者によっては固定デスクのオプションを選べる場合もありますが、空間に仕切りはありません。
レンタルオフィス は、自社専用の個室スペースが用意されています。利用人数によって広さを選ぶことも可能です。
一方、バーチャルオフィス は業務をするためのオフィス利用ではなく、対外的な会社の「所在地として、住所を借りるのがメインの使い方で、完全在宅ワークの代表住所地として利用できるサービスです。
業務に合わせてフレキシブルに勤務スペースを選ぶことができて、短期利用も可能なシェアオフィスはリモートワークを取り入れやすい仕組みになっています。
サーブコープの高品質なサービスを活用してリモートワークを効率的に
サーブコープが提供するシェアオフィスは、国内外いずれもビジネス一等地の先端機能を持つオフィスビルに拠点を構えています。働くスタッフのモチベーションを高め、お客様の信頼を得る内外装も好評です。
また、単なるスペース貸しにとどまらず、常駐の秘書サービスにビジネスのサポートを依頼することも可能、会議や商談に便利な会議室の利用も可能と、まるで自社オフィスのようなワークスペースを整えることができます。
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