リモートワークとは?テレワークとの違い、メリット・デメリットから最新の動向まで解説
「リモートワーク」とは、従業員がオフィス以外の場所で働くこと全般を表す言葉です。Web会議ツールやチャットツール、クラウド管理システムなどのICTが普及し、オフィス以外のさまざまな遠隔地から仕事ができる仕組みを構築できるようになりました。しかし、一気に普及した反動もあり、一部の企業ではオフィス回帰の流れも起っています。リモートワークを実施する企業側・従業員側、それぞれのメリットやデメリット、リモートワークに向いている職種、導入している企業の事例を紹介します。
リモートワークとは?
リモートワークとは、リモート(Remote:遠隔)とワーク(Work:働く)という言葉を合わせた造語で「遠隔で仕事をすること」という意味です。具体的には「企業に勤務している人が、インターネットやメール、電話などを活用し、自宅やカフェ、コワーキングスペースなど勤務先のオフィスではない場所で仕事を行うこと」を指します。
リモートワークに法的な定義や基準はなく、同じような意味を持つ言葉は他にも多数あります。ひとつひとつの言葉によって異なるニュアンスを含んで使われる場合があるため、リモートワークと似た言葉について、その使い方を確認しておきましょう。
リモートワークとテレワークの違い・使い分けは?
リモートワークとテレワークは両方とも「遠隔で仕事をすること」という同じ意味を表す言葉です。
リモートワークは特に法的に定義されておらず、自然発生的に使われるようになった言葉であるのに対して、テレワークは総務省をはじめとする関係省庁でも使用されており、厚生労働省ではテレワークについて以下のように定義しています。
テレワークとは「情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)を活用した時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」のこと。
出典:厚生労働省・総務省|テレワーク総合ポータルサイト
意味が同じため、特に使い分けを意識する必要はありませんが、関連する補助金申請のための書類作成時に記載するなど、省庁や自治体に提出する書類ではテレワークを用いることが多いでしょう。
リモートワークと在宅勤務の違いとは?
在宅勤務とは「企業に務める人が、自宅で情報通信技術を利用して会社の仕事をすること」です。「企業の従業員」という共通点がありますが、「在宅勤務」という言葉にあるように、仕事をする場所が自宅に限定されているところがリモートワークと異なる点です。
リモートワークを廃止する企業が増えている?
リモートワークは従業員にとって柔軟な働き方の選択肢となる一方で、企業文化や従業員同士のコミュニケーションが希薄になるという観点があります。早期からリモートワークを取り入れ、定着してきた企業がリモートワークを廃止する動きも出てきています。
例えば、アマゾン(米)では2025年1月から週2回認められていたリモートワークを廃止し、週5日オフィス勤務を行うことを発表しました。
日本国内では働き方改革の一環で導入が推進されているリモートワークですが、これからの国内導入済み企業の動向に注目です。
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リモートワークを実施する企業のメリット・デメリット
まずは、企業側から見た場合のメリット・デメリットを確認しましょう。
メリット1. オフィススペース関連のコストを削減できる
従業員の執務スペースを確保するためのオフィス賃料やオフィス家電、電話回線などの設備関連のコストを削減できます。
メリット2. 通勤の負担を軽減できる
通勤交通費は多くの企業にとって全額負担で、社会保険料の算出にも含まれるため、大きなコスト削減につながります。
メリット3. 優秀な人材を採用しやすい
リモートワークを実施することで、リモートワーク制度を希望する若年層や技術力の高い優秀層、これまで採用可能性の低かった遠隔地在住者などの採用につながります。
メリット4. 事業継続性を確保しやすくなる
一箇所に業務を集約することは、地震などの自然災害、またテロ行為の被害などのリスクがあります。普段からリモートワークの制度を整えておくことで、非常時の事業継続性を高めるリスクヘッジにもつながります。
デメリット1. 情報セキュリティのリスクが増える
業務の拠点が増えるほど、情報セキュリティ漏えいのリスクは高くなります。情報管理の徹底と最新のセキュリティ環境へのアップデートが必要です。
デメリット2.PCなどリモートワーク用の備品が必要になる
外部持ち出し用のPCなど、リモートワークに必要な備品やビデオ通話システムの利用料など、対応する経費が必要です。
デメリット3.押印が必要な書類が滞る
押印が必要な書類が多い業務・部署の場合、やりとりのための時間がかさみます。スピーディーな決済のために、電子押印システムの導入などの検討が必要です。
デメリット4.労務管理が難しくなる
出退勤や労働時間をどのように管理するか、また人事評価をどのように行うか、基準や仕組みの変更が求められます。
リモートワークを実施する従業員のメリット・デメリット
リモートワークが導入されることで、従業員にも多数のメリットがあります。一方、企業側のデメリットと比較すると従業員側のデメリットは目に見えにくく、明確な解消の方法が確立されていないものも含まれるため、導入後も注意深く観察する必要があります。
メリット1.ワークライフバランスが向上する
自社オフィス以外にシェアオフィスを活用したり、自宅でのリモートワークを導入したりすることで、客先からの移動や通勤時間を削減できます。平日にも自由な時間が増えることで、ワークライフバランスが向上します。
メリット2.生産性が向上する
出社して勤務していると急に会議に招集されたり他のスタッフから仕事を頼まれたりして、自分の作業を中断せざるを得ないこともあるでしょう。リモートワークならそのようなこともないため、より集中して業務に取り組めることで「生産性が上がった」と感じる方も少なくありません。
メリット3.育児や介護がしやすくなる
離職につながりやすい育児や介護と仕事の両立がしやすくなります。リモートワークを導入することで、時短勤務ではなくフルタイム勤務が可能になるなど、より高い収入につながる効果もあります。
デメリット1.コミュニケーション不足になりやすい
日常的に顔を合わせ、ランチタイムなどで自然にコミュニケーションをとる機会があるオフィスと異なり、リモートワークでは従業員同士の接点を意識的に創出する必要があります。
デメリット2.自己管理能力が求められる
出社することでON/OFFが自然に切り替わるオフィスと異なり、自宅でのリモートワークは従業員自身での自己管理能力が求められます。一方で、労務管理ツールで強制的に監視する環境を構築した場合、従業員のロイヤリティが下がるリスクも生じます。
デメリット3.会社への帰属意識が低下する
「この会社の一員である」という帰属意識は、時間や場所の共有をきっかけに生まれることが多いため、完全なリモートワークの最も大きな弊害になると言えるでしょう。
リモートワーク導入時に取り組む企業課題
自社にリモートワークを導入する場合、そのデメリットや課題をどのように克服するか、しっかり検討することが必要です。それぞれのデメリットに対応したポイントを紹介します。
セキュリティ対策を行う
業務資料の持ち帰り、セキュリティレベルの低いインターネット回線やPCの利用など、セキュリティのリスクを軽減するため、新たにリモートワークに適した外部接続端末の支給やセキュリティソフトの導入を検討しましょう。
評価制度の見直し
業務中の様子を上司が自然に見ることができるオフィスでの勤務ではなく、業務の成果しか見えないリモートワークの場合、成果以外の評価をつけることが難しいと感じる評価者は少なくありません。また、勤怠管理システムも刷新する必要があります。
コミュニケーションツールを活用する
社員同士のコミュニケーションの機会を増やすため、Web会議システムやチャット、SNSなどのコミュニケーションツールを活用しましょう。ZoomやLINEなど、すでに多くの人が使用に慣れているツールから検討するとスムーズです。
業務をペーパーレス化する
コロナ禍をきっかけにハンコでの決済・承認を電子決済に変更した、会議の議事録を音声記録にしたなど、業務のペーパーレス化とデータ共有の仕組みは必須です。
リモートワークで働く際に気を付けること
働く環境として、リモートワークであることが業務効率化の妨げにならないように気をつけるべきポイントがあります。課題が発生してからの対応ではなく、リモートワーク導入初期から意識するとよいでしょう。
月の目標を決める
状況や他の従業員の進捗によって漠然と分担されてきた業務をそのままリモートワークに移行すると、従業員によって業務量に偏りが出やすくなります。業務を分担し、各人に任せる業務量を可視化し、日・週・月単位で各人の能力に応じた目標を設定し、始めは短い期間で調整しましょう。
報告・連絡を小まめに
リモートワークでは従業員同士のコミュニケーションの機会が減少します。定刻・定例のオンラインミーティングなどを設定し、少人数のグループでの情報交換の機会を設定しましょう。
作業環境の構築をサポートする
リモートワークをどこで行うかは作業効率に大きな影響があります。高速でセキュリティが担保されたインターネット環境の有無、体に負担のかからない机や椅子、照明など、リモートワークをするにあたって十分な作業環境の構築には費用が必要な場合もあるでしょう。一定基準をクリアするため、補助制度が必要です。
リモートワークのワークスペースとして適しているシェアオフィス
リモートワークの導入に、シェアオフィスを検討する企業が増えていることをご存知ですか? 在宅勤務で陥りがちなデメリットや課題を解決し、働きやすい場所を用意する方法としてシェアオフィスの機能が評価されています。
シェアオフィスには「コワーキングスペース 」「レンタルオフィス 」「バーチャルオフィス 」など、いくつかの利用形態があります。
コワーキングスペース は個室や占有スペースの利用ではなく、フリーアドレス形式でデスクを共有することがメインとなります。事業者によっては固定デスクのオプションを選べる場合もありますが、空間に仕切りはありません。
レンタルオフィス は、自社専用の個室スペースが用意されています。利用人数によって広さを選ぶことも可能です。
一方、バーチャルオフィス は業務をするためのオフィス利用ではなく、対外的な会社の所在地として、住所を借りるのがメインの使い方で、完全在宅ワークの代表住所地として利用できるサービスです。
業務に合わせてフレキシブルに勤務スペースを選ぶことができて、短期利用も可能なシェアオフィスはリモートワークを取り入れやすい仕組みになっています。
(まとめ)リモートワークが効率的になるシェアオフィスを活用しましょう
サーブコープが提供するシェアオフィスは、国内外いずれもビジネス一等地の先端機能を持つオフィスビルに拠点を構えています。働くスタッフのモチベーションを高め、お客様の信頼を得る内外装も好評です。
また、単なるスペース貸しにとどまらず、常駐の秘書サービスにビジネスのサポートを依頼することも可能、会議や商談に便利な会議室の利用も可能と、まるで自社オフィスのようなワークスペースを整えることができます。