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在宅勤務のストレスを解消するには? 残業や労働時間など、就業規則見直しの検討も

働き方改革の推進を背景に、在宅勤務(テレワーク)を導入する企業が増えています。しかし、長引く在宅勤務にストレスを抱えている人は少なくありません。本記事では、在宅勤務やテレワークにともなうストレスの実態を紹介し、解消のために企業が取り組むべき課題を考えていきます。

6割が在宅勤務にストレス「感じた」。要因は雑談の減少!?

実際のところ、在宅勤務でどれだけの方々がストレスを感じているのでしょうか。株式会社リクルートキャリアが2020年9月に行った意識調査によると、テレワーク前にはなかった仕事上のストレスを感じたことがあると答えた人は、調査対象2,272名のうち、実に約6割におよんでいます(※1)。

同じ調査では、仕事中の雑談があるかないかがストレスの解消具合を左右している可能性にも言及。ストレスを「解消できていない」と答えた世代でダントツだったのは50~60代で、在宅勤務中の雑談が「全くない」と回答した割合が目立って高かったのも同じ世代であることから、ストレスと雑談に関連性があると推測しています。

企業は在宅勤務で発生するこうした課題を把握し、新しい働き方に合ったルールやガイドラインを作成する必要がありそうです。

 

在宅勤務で見直しが必要? 確認したい7つのポイント

雑談の必要性や社員の孤立といったメンタルケアについては後述しますが、働く環境が大きく変わったことはもちろん、ホウレンソウの手段もオフィス勤務とは異なるため、そうした変化自体にストレスを感じる人もいるでしょう。この項では、在宅勤務をはじめとするテレワークを導入した企業が、見直しを検討すべき就業規則について解説します。

テレワーク(在宅勤務等)勤務の規定

テレワークとは「在宅勤務」「サテライトオフィス勤務」「モバイル勤務」の3つが主な就労形態です。どの形態を導入したとしても、労働時間制度やそのほかの労働条件が同じ場合は就業規則の変更は不要ですが、変更が必要になる場合は、テレワーク勤務に係る定めを就業規則本体に盛り込むか、新たに「テレワーク勤務規定」を作成するか、いずれかの方法をとる必要があります。

労働時間

在宅勤務でも通常の労働時間制が適用できる場合は、規則の変更は不要です。例えば朝9時から18時が就業規則で規定されている労働時間の場合、在宅勤務であってもオフィスでの業務と同じように勤務する必要があります。始業および終業の時刻や昼食などの休憩時間についても、オフィスで勤務する時と同じ扱いです。

またフレックスタイム制や、事業場外みなし労働時間制や裁量労働時間制を新たに導入する場合は、その規定を就業規則やテレワーク勤務規定に定める必要があります。

就業時間の管理が煩雑にならないためには、勤怠管理にクラウドツールを活用すると便利です。社員がメールやチャットで報告することで、労働時間の確認を行うことができ、客観的記録としても残ります。

残業時間(時間外労働)

在宅勤務の場合でも残業時間の管理は、通常勤務と同じです。法定外労働時間に就業すれば残業代が発生します。ただ在宅勤務の場合は労働時間の管理が煩雑になり、気づいたらサービス残業になっていたというケースも考えられます。

残業が発生する場合は上司への報告し、承認を得たうえで行ったり、会社側も残業を許可制にしたりするなど、残業状況をお互いが把握できる体制づくりを行うといいでしょう。

外出の取り扱い

職種によっては、業務にともなう外出が発生することがあります。自宅から訪問先への移動は、会社からの指揮命令下にあるので「労働時間」となりますが、私用で中抜けしたり、社員本人の都合で就業場所を移動したりする場合は「休憩時間」または「時間単位の年次有給休暇」として扱われます。

なお、始業や終業時刻の変更が行われることがある場合には、その旨を就業規則に記載する必要があります。また、時間単位の年次有給休暇として処理する場合は、労使協定の締結が必要です。

給与・手当て

在宅勤務になったからといって給与が引き下げられることはありませんが、オフィス勤務で生じていた「交通費手当」の変更はあり得ます。また、大手企業のなかには通信費やデスク・椅子などにかかる費用を「在宅勤務手当」「リモートワーク手当」として支給しているケースもあります。

金額としては1日200~250円、1カ月5000円など。逆に、通勤する社員には実際に出社した日数分の交通費を支給し、在宅勤務を行った日は除外するのが適切でしょう。こうした手当てについて新たにルールが定められた場合は就業規則に内容を追加し、また社員に周知することが大切です。

就労場所

在宅勤務はテレワークの就労形態のひとつですが、働く場所は基本的に在宅のみを指し、就業規則には下記のような規定を定めるのが一般的です。

テレワーク勤務規定(在宅勤務の定義)
第◯条 在宅勤務とは、従業員の自宅、その他自宅に準じる場所(会社指定の場所に限る。)において情報通信機器を利用した業務をいう。

ただ、自宅に家族がいるため集中できない、出先から自宅に戻る時間がないので近くのカフェでモバイル勤務をすることもあるでしょう。移動範囲が広がると情報漏洩のリスクも高まり、就業状況の管理も難しくなります。自宅外での業務を認める場合は、条件や申請・承認手続きなどのルールを明確化し、就業規則に追加しておくと安心です。

情報セキュリティ

個人情報や機密情報の保護、ウイルス感染防止など、情報セキュリティは企業が検討すべき重要な課題です。特に在宅勤務やテレワークの場合、この情報セキュリティの確保がネックとなり、導入に踏み込めない企業も少なくありません。

在宅勤務で浮上しがちなセキュリティ問題には以下のようなケースがあります。

 

1)自宅外で他者にパソコン画面を覗かれる

2)自宅外でパソコンの紛失・盗難に遭う

3)マルウェア感染(パソコンへの外部侵入など)

4)公衆無線LANの利用にともなう通信情報の盗聴

5)メッセージやファイル共有など外部サービス利用時の情報漏洩

 

こうしたリスクを防ぐために、厚労省が挙げている就業規定に盛り込む内容の一部を紹介します。どんな項目を検討すべきなのか、参考にしてみてください。

  • テレワーク勤務の際に所定の手続きに従って持ち出した会社の情報及び作成した成果物を第三者が閲覧、コピー等しないように最大の注意を払う。
  • テレワーク勤務中は業務に専念する。
  • モバイル勤務者は、会社が指定する場所以外でパソコンを作動させたり、重要資料を見たりしてはならない。
  • モバイル勤務者は、公衆無線LANスポット等漏洩リスクの高いネットワークへの接続は禁止すること

在宅勤務で必要なセキュリティ対策とは

在宅勤務におけるセキュリティ対策にはさまざまな方法があります。警視庁のホームページで「テレワーク勤務のサイバーセキュリティ対策」が紹介されているので、一部引用します。

テレワークで使用するパソコンなど(タブレット、スマートフォン)

・ウイルス対策ソフトを必ず導入する

・OSやウイルス対策ソフト、アプリケーションを最新の状態にする

・テレワークで使用するパソコンは、自分以外に使用させない

・データを暗号化して保存する

・ファイル共有機能をオフにする

通信経路

・使用するパソコンから接続先までの通信経路が、VPNで暗号化されているか確認する

・信頼できるVPNサービスを利用する

パスワード

・他人に推測されにくい複雑なものにする

・テレワーク専用のパスワードを利用する

自宅のWi-Fiルータを使用する

・ファームウェアを最新のものにアップデートする

・SSID(アクセスポイント名=AP名)は、個人が特定される名前などを設定しない

 

そのほかにも、電車やカフェなどで業務を行う場合はのぞき見や盗撮に注意する、リモートワイプ(遠隔でのデータ消去、パソコンロック)ソフトを導入する、DaaSを導入し、仮想のデスクトップ環境でのみ業務を行うなど、打てる対策はさまざまあります。

在宅勤務の孤立とストレスを防ぐには

冒頭で取り上げた通り、雑談などのコミュニケーション不足や孤立が要因で、オフィス勤務にはなかったストレスを抱える人は少なくありません。業務パフォーマンスの低下につながるほか、メンタルヘルスに関わるリスクもあります。そのため、会社は対策を講じて従業員のストレスを未然に防ぐことが大切です。

 

・ツールの導入でコミュニケーションを担保する

チャットツールやオンライン会議ツールを導入し、気軽に他の従業員とやり取りできる環境を設け、コミュニケーションを担保しましょう。

メッセージルールは1対1だけでなく、グループを作って複数名でのやり取りでもOK。業務連絡を交わすグループはもちろん、日常的な挨拶や雑談専用のグループを作れば、自然とコミュニケーションが活発になります。また、朝会を設定するなどして、定期的に顔を合わせるWeb会議を予定しておけば、孤立感は生まれにくくなるでしょう。

社員のマネジメントにおいては、1on1の定期的な実施も効果的です。業務進捗だけでなく心理状態などを細かに把握することで、適切なフォローアップや管理が行えます。ただし在宅勤務に不慣れな状態では、マネージャーの管理負担が増大しがちです。そのため、マネージャーに対するフォローも忘れないようにしてください。

 

・ストレスチェック体制の整備

常時50名以上の従業員が働く会社では、ストレスチェックの実施が義務化されています。ただし、これに該当しない小規模事業者でも、従業員のメンタルケアは欠かせません。特にストレスを抱えがちな在宅勤務においては、ストレスチェックや必要に応じたメンタルケアが求められるでしょう。

ストレスチェックの体制にマンパワーが割けない場合は、ストレスチェックサービスの活用も検討しましょう。

 

・過剰な監視を避ける

遠隔で働く社員の就労状況の把握は大切ですが、過剰な監視による束縛はNGです。例えば以下のような対応を行うと、この監視がストレスや不満の原因になってしまいます。

 

・業務時間中、常にリモートカメラをオンにさせる

・1時間毎など細かすぎる業務報告、連絡等の強制(もしくは管理者側からの連絡)

・オンライン会議における背景画像利用の禁止(自宅内を強制的に映させる)

・勤務先である自宅への訪問 など

 

こうした過剰監視は「リモハラ(テレハラ)」と捉えられ、問題となることもありますので注意してください。

まとめ

在宅勤務を始めとするテレワークは働き方改革の観点からも、定着していくでしょう。社員のストレス解消は、優秀な人材の確保や生産性向上にもつながります。今回はメンタルケアの対策のほか、政府が公開している資料を参考に解説した就業規則の見直しや情報セキュリティ対策を紹介しました。働きやすい在宅勤務の体制づくりに役立ててみてください。

 

テレワーク継続にはバーチャルオフィスがおすすめ

オフィスを残したまま在宅勤務を導入したものの、将来的に完全リモートに移行したいと考えている企業も多いでしょう。その場合、バーチャルオフィスの住所を本店所在地としてあらかじめ登記しておくのもひとつの方法です。

賃貸物件の場合、オフィスを整理して退去するのも容易ではありません。同時進行で移転登記など行うのは、思いのほか大変なものです。本店をバーチャルオフィスにしておけば、物理的なオフィスの移転があっても移転登記する必要がなく、登記費用の負担や手続きの手間も減らすことができます。いざ、災害等が発生した際に事業を問題なく継続するためのBCP対策としても効果を発揮します。

そのほか、テレワークや在宅勤務には、電話や郵便物への対応を任せられるバーチャルオフィスの活用が便利。バーチャルオフィスがなぜテレワークにいいのか、詳しいサービスについてはこちらの記事をご覧ください。

 

参照:

個人の意識調査|株式会社リクルートキャリア

テレワークに関する社内ルール作り|テレワーク相談センター

テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン|厚生労働省

テレワークモデル就業規則〜作成の手引き〜|厚生労働省

テレワーク勤務のサイバーセキュリティ対策!|警視庁

 

 

 

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