ランニングがビジネスに効果的な3つの理由!疲れにくい走り方をプロが解説
2007年に初開催された「東京マラソン」をきっかけに巻き起こったマラソンブーム。近年はランナー人口の増加こそ落ち着いていますが、アールビーズスポーツ財団の発表した「ランナー世論調査2018」によると、走歴5年を超えるランナーは男性59%・女性47%。約半数が長期的にランニングに取り組んでいることが分かります。日本におけるランニングは“ブーム”を経て、“文化”として定着するフェーズに入っているといえそうです。
ランニングがビジネスパーソンにいい3つの理由
ビジネスの面から見たとき、ランニングはどのようなメリットがあるのでしょうか。自身もマラソンやトライアスロン競技者であり、スポーツ分野専門ライターの三河賢文さんに解説してもらいます。
回復力アップ!健康的で信頼につながる体づくり
スポーツ経験者であっても、運動から離れれば体力や筋力、あるいは心肺機能などは衰えます。ランニングはそうした身体能力を強化し、体を健康的な状態へと導きます。年を重ねても、イキイキと仕事に取り組めるようになるでしょう。
個人的な経験から、ランニングによって回復力が高まったと感じています。例えば風邪をひいても、しっかり休養すれば翌日には回復。感染症などを除き、体調不良で長く休まなければいけないということはめったにありません。
ランニングはダイエットにも効果的です。私は学生時代に陸上競技部へ所属していましたが、引退後、7年ほどのブランクで見事に太りました。しかし、ランニングを始めると少しずつ体重に変化が出始め、20kg以上の減量に成功。
特に多忙なビジネスパーソンは運動する機会が減りがちなほか、食生活にも乱れが出やすいでしょう。何もしなければ、体形を維持することは困難です。体重が増えるとさまざまな健康リスクが伴うほか、自己管理がおろそかに見えるなど印象も良くありません。信頼関係の構築にも、ランニングはいい影響を与える可能性があります。
記憶力や情報処理能力が向上!仕事のパフォーマンス強化
ランニングに取り組むトップビジネスマンに話を聞くと、「走ると頭の中がスッキリ整理される」という人が多く、何か決断を下さなければいけないとき、あるいは悩みがあるときに走るケースが多いようです。
ランニングのような有酸素運動は、記憶力が良くなるといわれます。脳細胞の「BDNF」という成長物質が増えるほか、ワーキングメモリーが活性化。これにより物事を記憶するだけでなく、過去の記憶からの情報処理、例えば物事を判断する能力が高まるとされているのです。ビジネスは決断の連続であり、これは大きなメリットだといえます。ただし、その効果は長期的ではありません。ランニングを「継続」することで、常に高いパフォーマンスを維持できます。
人間関係の幅が広がる!仕事では得られない刺激的なつながり
ランニングを始めると、イベントや大会などを通じて“ランニング仲間”ができます。自ら積極的に輪に入り、コミュニケーションをとることは必要ですが、そこで出会う仲間は、年齢や性別、そして仕事も多様。これまで出会うことのなかった人とランニングを通じてつながることができるでしょう。
そうした新しい出会いはとても刺激的です。仕事に直結する話でなくとも、職場では得られない情報や知見を得られるはず。私も医師や税理士、経営者、あるいは芸能関係者など色んなランナーとつながってきました。中には仕事の依頼を受けたり、逆にお願いしたりと、ビジネスに発展した経験もあります。
都心で人気のランスポットは?飽きたら“街ラン”がおすすめ
都内でランニングを楽しむのであれば、やはり外せないのが「皇居」。ランナーの聖地とも呼ばれ、特に平日夜や土日祝日には大勢のランナーが訪れます。代々木公園や明治神宮外苑、駒沢オリンピック公園も人気のランスポット。自然の多い場所で走ると周囲を眺めるだけですがすがしい気分になるのでおすすめです。風で揺れる木々のざわめき、虫や鳥の鳴き声などに耳を傾けていると、長時間のランニングでも苦になりません。
また、できれば信号で止まらない周回コースが良いでしょう。そうすれば、走ることだけに集中できます。可能であれば、できるだけ人通りの少ない場所を選んでください。そうすれば人や自転車などとの接触、それに伴う転倒といったリスクも回避できます。
同じコースで飽きてくる場合は、目的地を決めた“街ラン”に切り替えてみては。私は温泉が好きなので、よくバックパックに荷物を入れて背負い、温泉まで走って行きます。そのほか、気になるお店にランチがてら走って行くなど、ゴールに楽しみを設けるのがおすすめです。
ウェアとシューズさえあれば、誰でも気軽に始められるランニング。もちろん、いきなり何kmも走る必要はありません。1kmでも2kmでも、まずは気持ちよく走り終えられる距離から始めてみてください。継続することで、少しずつ走れる距離が長くなっていくはずです。次第に仕事のパフォーマンス向上、あるいは健康的な体への変化などが実感できることでしょう。
三河賢文(みかわまさふみ)氏
“走る”フリーライター、WILD MOVE主宰/ランニングコーチ、ナレッジ・リンクス(株)代表。学生時代は陸上競技部に所属し、ブランクを経て2011年よりマラソンおよびトライアスロン競技を開始。100kmを超えるウルトラマラソンまで、数多くの大会を走破。主にスポーツ分野専門のライターとして、取材しながら全国各地を走り回っている。
参考URL:ランナー世論調査2018