起業家のマインドを伝える「経営理念」の作り方
世界的に有名な大企業のほとんどは、「基本理念」「企業理念」といったその会社独自の経営理念を掲げています。最近では中小企業でも積極的に経営理念が作られ、その理念を軸に経営を進めていく会社も多くあります。ビジネス系の雑誌や書籍、メディアでも取り上げられ耳にするようになり、刺激となる自社の経営理念を作りたいと思っている起業家も多いようです。ここでは、腑に落ちる経営理念の作り方とその心構えについて考えていきます。
目次
- 経営理念の概要
- 経営理念の要素
●Mission
●Value
●Direction
●Vision
- 経営理念の作り方
- まとめ
1.経営理念の概要
経営理念を毎日復唱したとしても、ただ聞こえがいいだけの理念であれば、机上の空論になってしまいます。
そもそも経営理念とは何でしょうか?一般的には「企業の個々の活動方針となる基本的な考え方」「創業者や経営者によって示される、企業内部に向けての行動指針」「企業の一員としての自尊心を高め、社会に対して企業イメージをアピールするねらい」として作られるものです。つまり企業の内側について、社会や世の中といった外側にも向けたアピールものであり、その企業に関わる人々の意識統一を目的として作られるものです。企業に関わる人々の意識の統一ができなければ、どんなによい言葉を並べても経営理念としての意味がありません。では企業の社員、そして顧客にも理解できるわかりやすい経営理念を作るには、どのような要素を揃えればよいのでしょうか。
2.経営理念の要素
経営理念は、将来的に会社の規模が拡大しスタッフが増えていったときのことを考え、一緒に働くスタッフに受け入れられる理念でなければなりません。まずは、理念を以下の4つの要素に分けて整理してみましょう。
●Mission
Missionとは「使命」のこと。「命を使う」と書くことから、それは自分の「命を懸けてでも、この仕事をやり遂げる」という決意を意味します。経営理念を作るにはMissionが何かをわかっていることが第一前提です。自分・自社が何者なのか、何を成し遂げたいのか、何のために存在するのか、誰のためのものか?を問い、「正しいと思えること」を追究し、それに対して「どのように貢献するのか」を文章化してみましょう。
●Value
Valueとは「価値」のことです。経営に対するトップの考え・思いが経営理念であり、その原点が経営者の価値観なのです。スタッフ全員で良くしたいと真剣に考えているのであれば、経営者は自分の価値観を高める努力が重要です。それが手本となります。使命を体現していくうえで信じて疑わない大切なこと、行動の基礎となるもの、約束事が何かを洗い出してみましょう。
●Direction
Directionは「行動指針・行動規範」を意味します。信念や価値観は、ブランドの向上およびビジョンの実現に向けて業務を遂行する際の方向性を示します。顧客に対して、どのような商品・サービスが提供できるのでしょうか?その点を踏まえて、社内だけではなく、対外的にもわかりやすい表現を心がけましょう。
●Vision
「事業を続けていくことで実現させたい姿」を表したものがVisionです。その企業では、将来どのような社会や世界、未来を創り出し貢献したいのか?スタッフや顧客、取引先との利害関係は? 10年以上のスパンで長期的に目指す姿を言語化すればよいのです。魅力あるビジョンは測定可能な成果も含まれていてわかりやすいものです。
3. 経営理念の作り方
これから事業を始める方、あるいは業務改革を試みたいという方へ、単なるポーズにならず、心に響く経営理念を考えましょう。理念とは、その企業の経営者が描く想いの実現、そして願う場所が出発点です。経営理念に欠かせない根底とは、自分を含め関わるすべての人々を幸せにする誓いであるということを忘れてはなりません。以下の内容が込められているかチェックしながら言葉を組み立ててください。
- 私自身について・・・使命(自分自身が生まれてきた目的、自分の命を使うもの)
- 何のため・・・経営の目的をはっきりさせる
- 何をしたい・・・目標
- 誰のために・・・どんな顧客?
- 商品サービスや行動についての判断基準
つまりこれら5つを、
- WHO(誰が)
- WHY(なぜ)
- WHAT(何を)
- WHOM(誰に)
- WHEN(いつ)
- HOW(どのように)
という5W1Hに沿って整理して、明確に情報を伝えましょう。
起業する人には、社会の一員としてどうありたいかという強い想いを抱いている人も少なくないはず。なぜ起業したい(起業した)のか、社会とどのように関わっていきたいのか、それらを言葉に落とし込むことも、あなたが自分の会社を発展させていく上で大切な仕事といえます。これから起業したいと考えている人も、現在会社を経営しているが「経営理念」にまで手がつかないという人も、一度自分の頭の中にある事業イメージとじっくり向き合って言葉にしてみるとよいでしょう。
※参照
経営理念の作り方1 – 経営理念 企業理念
https://www.keieirinen.com/article/13412678.html
経営理念とは何か? – ランチェスター戦略経営 ランチェスター法則
https://www.foster1.com/article/13320762.html