「働き方改革」は実現する? 経営者と一般社員300名にアンケート【ダイバーシティ編】
日本が直面している、生産労働人口の減少の切り札として、政府は多様な人材の活躍を推進する「働き方改革」を打ち出してきました。経済産業省は平成24年度から、「ダイバーシティ」の推進を経営成果に結びつけている企業を表彰するなど、働き方の多様性や多様な価値観をいかした取り組みを推奨しています。実際にCSR活動と位置付ける企業も着々と増え、ダイバーシティを受け入れる職場の風土が作られつつあります。
では、実際に働く現場ではどれだけ「ダイバーシティ」が受け入れられているのでしょうか。経営者と一般社員300名にアンケートを実施し、「ダイバーシティ」に対する賛成、反対それぞれの意見を聞きました。
企業の「ダイバーシティ」8割が賛成 年代別は?
企業のダイバーシティについてどう思うかという問いに、経営者は賛成(34.7%)、どちらかといえば賛成(54.0%)を合わせて88.7%。一方、社員は賛成(31.3%)、どちらかといえば賛成(48.7%)を合わせて80.0%と、両者ともに大多数が肯定的な意見であることがわかりました。
年代別で見ると、50代は87.3%の人がダイバーシティに肯定的な意見で、全年代で最も多い結果に。とはいえ、最も低い30代でも79.6%と、どの年代も賛成の意見が多く、「ダイバーシティ」を肯定的に捉えているようです。
反対意見も「多様性がうまく機能していない」
それでは、それぞれの賛成、反対の意見を見てみましょう。
~賛成派~
■現代社会にマッチしている考え方(男性/43歳)
■会社に貢献できる人材であれば、縛りはなくすべき(女性/41歳)
■時代の流れ、少子高齢化による労働力人口の不足からして、当然の流れ(男性/ 54歳)
■会社が求める能力を持つ人であれば雇用し、その能力を発揮してほしいと思う(女性/38歳)
■新たな事業展開に必要(男性/39歳)
~反対派~
■教育費がかかる(男性/45歳)
■うちの会社に多様性は必要ない(男性/53歳)
■うまく機能していない(男性/39歳)
■タイバーシティに賛成か反対かは、会社の考え方次第(男性/58歳)
■客に理解されない可能性が大きい(男性/49歳)
~賛成派~
■多様な人材を雇用したほうが会社の利益にもなり、他の社員も仕事への向上力が上がる(女性/29歳)
■人それぞれの考え方ややり方があるので、意見を出し合えば仕事の新たな道が開けるかもしれない(男性/22歳)
■多様な価値観がイノベーションを起こす(女性/28歳)
■生産性を上げるためには仕方ない(男性/55歳)
~反対派~
■あまり多彩な人材は要らない(男性/53歳)
■まとまらなそう(男性/41歳)
■同じような考えの人が集まったほうがいい(男性/39歳)
■ある程度の一線は守ってほしい(女性/30歳)
女性の活躍だけじゃない「ダイバーシティ」
企業のダイバーシティを実現するためには、人々の多様な働き方を認める制度を整える必要があり、そのためには経営層の協力が不可欠です。今回のアンケート結果からは、経営者のほうが社員よりも企業のダイバーシティを前向きに捉えていることがわかりました。
そもそも、日本におけるダイバーシティは、働き方改革の一環として主に女性活躍や女性管理職を増やすという文脈で語られることが大半ですが、もともとの意味合いは、性別だけでなく、年齢、国籍、障害、LGBT、考え方や価値観の違いから雇用形式などの働き方も含む広い概念です。
これからは、多様な人々が個々の能力を発揮し、企業のパフォーマンスにつなげる経営戦略が求められます。とはいえ、日本は先進国の中では上場企業の役員に占める⼥性⽐率が最下位といわれており、「女性の活躍」は日本企業が取り組むべきテーマのひとつに間違いありません。経営者、社員双方があらためて「ダイバーシティ」の意味や理念を見直す教育強化が必要とされているのではないでしょうか。