書店やスーパーで広がる無人店舗とは? 世界の事例や日本の状況
海外で小売業の無人化が進んでいるのはご存知ですか? 「Amazon Go」や中国の「Bingo Box」など、有名な事例を耳にしたことがある人もいることでしょう。
今回は、そんな世界各国の無人店舗と、そこで導入されているスマートフォンやQRコードを使った入店システム、支払い方法についてご紹介します。
小売りの無人化を支える、入店システムや支払い方法とは?
無人化で運営される小売り店舗では、入店時の認証システムと、退店時の決済システムでそれぞれ管理されます。それらを支えるのは、スマートフォンの専用アプリや、車の自動運転で活用されているセンサー技術など。これにより、小売りは人件費をかぎりなく削減することができます。
また、どの顧客が何を購入したか正確にデータ化することができるため、マーケティングに活用され、ビジネスチャンスの獲得にもつながると考えられます。
世界各国の無人店舗とは
無人店舗として有名な事例「Amazon Go」や「Bingo Box」、「タオカフェ」をご紹介します。
大規模オンライン通販ショップAmazonが運営する「Amazon Go」
2018年1月22日にアメリカのシアトルにオープンした「Amazon Go」。大規模オンライン通販ショップAmazonが運営する、レジなしの無人スーパーの1号店です。Amazonアカウントの作成と専用アプリのダウンロードすることで、入店と商品購入が可能になります。
店内にはアマゾンが買収したオーガニックスーパーWhole Foods Marketの商品販売コーナーや、Amazon Go店内のみで扱われる加工食品コーナーも設けられています。
決済時に使用されるのは、車の自動運転で活用されているコンピュータ・ビジョンとディープラーニング、センサー技術。これらを使うことで、駅の改札をでるときのようにスマホ1つで商品が購入できる仕組みとなっています。
中国最大のECサイト「タオバオ(淘宝)」が運営する「Tao Cafe(タオカフェ)」
中国最大のECサイト「タオバオ(淘宝)」を運営するアリババグループが提供するのが、無人ショップ「Tao Cafe(タオカフェ)」です。利用者は入店時にアプリ認証及び顔写真の撮影を行います。これにより、タオバオのアカウント情報と、入店記録が紐づけされます。
店内にはお土産品や雑貨などが並び、コーヒーなどを注文できる飲食スペースも設置されています。カフェスペースでの注文も顔写真との照合で記録。注文履歴は顔写真によって判別され、商品が手渡される仕組みになっています。
中国の複数の都市で営業されている「繽果盒子(Bingo Box)」
ガラス張りの外観が特徴的な、24時間オープンの無人コンビニ「繽果盒子(Bingo Box)」は、現在、中国の複数の都市で営業されています。
品揃えや店内の内装は通常のコンビニと変わりませんが、商品ごとにセルフレジで使用するNFC(近距離無線通信)チップが入った大きなシールが貼られています。利用者はシールをセルフレジにかざすことで決済が可能。顔認証や電話を使った遠隔サポートも利用できます。
在庫確認や補充時に人件費はかかるものの、企業の発表によれば40店舗を運営するのに必要なスタッフ数は4人だけとのこと。今後はフランチャイズオーナーの募集を予定しているそうです。
無人店舗で盗難のリスクは?
小売りの無人化を進めるうえでまず懸念される、盗難リスク。しかし、無人店舗では入店時の認証や商品に関する画像認証システム、退出時の決済管理センサー、無死角の360°カメラなどの使用により、一般的な店舗よりもセキュリティが頑丈と考えられています。
さらに、「Amazon Go」や「Tao Cafe」では、Amazonやアリババグループの決済システムと連携し、「個人の信用」を担保にすることで犯罪の抑止力になっていると言われています。無人店舗で画期的な点は「盗むことができない」防犯対策をするのはもちろん、「盗むと損をする」テクノロジーやインフラシステムを導入している点と言えます。
こういった無人店舗の事例を見ると、小売業の無人化は今後も世界規模で進んでいくと考えられます。日本では、セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ニューデイズなどのコンビニ各社が、2018年を目安に特定の地域で無人化を開始すると宣言しています。小売業の無人化が進めば進むほど、労働の種類も変わり、新たな仕事のニーズが誕生することでしょう。