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バーチャルオフィスで法人の銀行口座開設は可能?注意点や開設方法も紹介

印鑑手続き

起業するにあたって必要なものはいろいろありますが、そのひとつが「事業用の銀行口座」です。もし住所が「バーチャルオフィス」の場合、銀行口座の開設はできるのでしょうか。

本記事ではバーチャルオフィスで銀行口座の開設は可能かどうかをはじめ、開設が難しいとされる理由、開設する上でのポイントについて解説します。

バーチャルオフィスで銀行口座は開設できる

スマホ手続き

結論からいえば、バーチャルオフィスであっても法人銀行口座・個人事業主の銀行口座は開設可能です。従来はバーチャルオフィスが馴染みのないサービスであったことや、法整備が整っていないことを理由に開設できないケースも珍しくありませんでした。しかし、昨今では以下のような変化が現れつつあります。

2008年に施行された「犯罪収益移転防止法」により、バーチャルオフィス事業者には契約者本人の身分証明書の審査が義務づけられた
・バーチャルオフィスが利用しやすい価格帯になったことに伴い、利用者が増加した
・副業やリモートワークが一般化したことで、需要が高まっている

このように、コロナ禍での影響やリモートワークの普及によってバーチャルオフィスの利用件数は増加傾向にあります。しかし、その一方でいまだ一部の金融機関では慎重な姿勢を見せているところも少なくありません。そのため、口座開設前に開設を検討している金融機関へ一度問い合わせることをおすすめします。また、バーチャルオフィスでの銀行口座開設が可能な金融機関でも、開設時の審査が厳しいともいわれています。なぜ審査が厳しくなるのか、次の見出しでその理由について解説します。

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バーチャルオフィスでの銀行口座の開設が厳しくなる理由

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なぜ、バーチャルオフィスでの銀行口座の開設が厳しくなるのでしょうか。その大きな理由として、「犯罪収益移転防止法」が関係していることがあげられます。犯罪収益移転防止法とは、マネーロンダリングや犯罪にお金が使われるのを防ぐために定められた法律のことです。

かつての「本人確認法」では、バーチャルオフィスは対象となっていませんでしたが、詐欺などの犯罪が相次いだことから、2008年に施行された犯罪収益移転防止法によって新たに対象に加えられました。バーチャルオフィスでは手軽に住所や電話番号を取得できる一方、そうした性質から不正や犯罪に利用されやすいといった側面があります。そうした犯罪を防ぐため、各金融機関は審査を厳しくせざるを得ないというのが実のところでしょう。そのため、金融機関によってはそもそもバーチャルオフィスでの口座開設を受け付けていないところも見受けられます。

バーチャルオフィスで銀行口座を開設しようと思っている場合、こうした背景をおさえた上で、準備を進めていくことが大切です。特に事業内容や計画、また事業を始める上でバーチャルオフィスを選択した理由などは、口座開設の担当者に対して正確に伝えるようにしましょう。

バーチャルオフィスで法人口座を開設できる金融機関

接客

口座開設にあたって、必要な書類の準備や金融機関独自の審査はありますが、バーチャルオフィスでの口座開設を可としている先は複数存在します。バーチャルオフィスで法人口座を開設できる金融機関は以下の通りです。

金融機関口座開設の可能性バーチャルオフィス利用に対する見解
都市銀行(メガバンク)バーチャルオフィスを理由に口座開設を断ることはないという見解が多い
地方銀行都市銀行と同様
ネット銀行都市銀行や地方銀行と比較し、一般的に開設しやすいとされる
信用金庫実際に仕事をしている場所が確認できないと難しいという見解が多い

 

三菱UFJ銀行

「バーチャルオフィスか否かに関わらず、審査によって口座開設が可能かどうかを判断する。」とのこと。(※支店によって法人窓口がないところもあるため、事前に最寄りの店舗に確認することをおすすめします。)

  • 口座開設までの時間:1ヶ月程度
  • 法人口座開設(法人のお客さま)問い合わせ先

三井住友銀行

「バーチャルオフィスの登記に関わらず、提出書類を元に審査をした上で開設可否を検討する。」との回答あり。口座の開設は最寄りの支店で対応するため、まずは必要書類を持参して窓口にきてほしいとのこと。

  • 口座開設までの時間:1ヶ月程度
  • 法人口座開設(法人のお客さま)問い合わせ先

みずほ銀行

「法人口座開設ネット受付に関するお問い合わせ窓口」に確認したところ「バーチャルオフィスという理由で口座開設ができないということはないが『郵便物が受け取れることが条件』」とのこと。

  • 口座開設までの時間:1ヶ月程度
  • 法人口座開設(法人のお客さま)問い合わせ先

りそな銀行

バーチャルオフィスという理由で口座開設ができないということはないが、開設可能かどうかは提出書類から検討するとのことで、「事務所を実際に借りて営業している場合より、審査は難しくなる可能性はある」とのこと。

  • 口座開設までの時間:開設可能か検討する時間が1~2週間
  • 法人口座開設Web(法人・個人事業主のお客さま)問い合わせ先

福岡銀行

「バーチャルオフィスか否かに関わらず、所定の審査の結果で口座開設が可能かどうかを判断する。」との回答あり。Webで法人口座開設を受け付けているので、まずは一度問い合わせてほしいとのこと。

  • 審査期間の目安が1~2週間程度
  • りそな銀行 法人口座開設WEB申込

住信SBIネット銀行

「法人口座に関しては、住所がバーチャルオフィスサービスの『貸し住所』の場合でも口座開設が可能」との回答あり。ただし、審査の結果によっては開設が認められないこともあるとのこと。

  • 口座開設までの時間【法人オンライン口座開設申込の場合】
    審査受付(代表者さまの本人確認書類などのアップロード完了)~審査完了まで:最短翌営業日【法人郵送口座開設申込の場合】
    審査受付(書類受領)~審査完了まで:2~3週間程度
  • 法人口座開設(法人のお客さま)問い合わせ先

GMOあおぞらネット銀行

「住所がバーチャルオフィスでも口座開設は可能。バーチャルオフィスサービスの『貸し住所』の場合でも『貸し住所』にて法人登記ができれば、登記した住所(貸し住所)でも口座開設は可能である」との回答あり。ただし、法人口座開設後に登録住所(登記住所)宛に口座開設完了通知を転送不要の簡易書留郵便にて送ることから、『貸し住所』にて郵送物が受け取れない場合は口座開設ができないので注意が必要とのこと。

  • 口座開設までの時間:(ご本人様確認の方法によって異なるが、最短即日~2週間ほど)
  • 法人口座開設(法人のお客さま)問い合わせ先

楽天銀行

「住所がバーチャルオフィス(レンタルオフィス)でも開設は可能だが、追加で確認書類が必要となる」とのこと。確認書類については以下の通り。

(1)事業実態について確認できる書類
例)
・発注書、請求書(インボイス)や納品書
・業務委託契約書、工事請負契約書や売買契約書
※該当する書類の全ページのコピーをご提出ください。
※上記書類は主な事業内容に関するものに限ります。

法人の事業実施に許認可、登録または届出が必要な業種である場合には、上記(1)に加えて、下記(2)の書類もあわせて提出してくださいとのこと。

(2)法人の事業実施に許認可、登録または届出が必要な業種の場合
当該許認可を取得している、登録・届出等の手続きが完了していることを証明する書類
例)
・食品営業許可証、美容所検査確認済証
・酒類販売免許、旅館業許可証
・古物商許可証 等
※該当する書類の全ページのコピーをご提出ください。

  • 口座開設までの時間:当行へ口座開設申込書が到着後、2週間~3週間程度
  • 法人口座開設(法人のお客さま)問い合わせ先

なお、信用金庫についても何行か確認しましたが、地元で営業している実態がないバーチャルオフィスは難しそうといった印象でした。その理由として、信用金庫の性質上、どこも「地元密着を大切にし、地元で営業している企業をサポートする」という営業方針であることがあげられるでしょう。しかし中には「開設可能か検討はします」という信用金庫もありましたので、もし信用金庫での口座開設を希望する場合は、地元の信用金庫に確認するのがよいでしょう。

東京三協信用金庫

「レンタルオフィス等と同様に、バーチャルオフィスも口座開設の審査が必要になる」との回答あり。まずは一度問い合わせてほしいとのこと。

  • 口座開設までの時間:申込から口座開設までに1週間程度
  • 東京三協信用金庫公式ホームページ

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バーチャルオフィスで銀行口座を開設する際のポイント8選

口座手帳

ここでは、バーチャルオフィスで銀行口座を開設する際に意識したいポイントを8つ、紹介します。

  1. 犯罪などが行われた住所でないか確認する
  2. 事業内容を明確にする
  3. 低すぎる資本金は避ける
  4. 事業実績を積む
  5. 複数の金融機関に申し込む
  6. 法人用の固定電話を用意する
  7. 必要書類をもれなく準備する
  8. 公式サイトを用意する

それぞれ確認していきましょう。

①犯罪などが行われた住所でないか確認する

バーチャルオフィスの住所が、過去に犯罪等が行われた住所でないかどうか確認しましょう。住所に関する情報は法務局で登記簿を検索・取得することで確認が可能です。

②事業内容を明確にする

法人口座の開設時には、金融機関が会社の定款をチェックします。そのため、会社の事業内容および事業目的を明確にしておくようにしましょう。それらが不明瞭だと、金融機関から口座を不正利用するつもりなのではと勘違いされるリスクが高まるほか、銀行口座開設の審査に落ちる要因にもなりかねません。

定款に5〜10項目程度に整理した事業目的を記入しておくことはもちろん、事業計画書や会社概要などのパンフレット、ホームページ、商品サンプルなどの補足資料があればあわせて提示するのもおすすめです。また、事業内容等についてなにか質問をされた場合、正確に答えることを心がけましょう。

③低すぎる資本金は避ける

2006年(平成18年)に施行された会社法において資本金の下限が撤廃され、1円から会社を立ち上げられるようになりました。とはいえ、資本金は自己資金を意味することもあり、あまりに低い資本金額で会社を設立することはおすすめしません。その理由として、資本金が特に少ない会社はペーパーカンパニーではないかと考えられ、実態のない会社として疑われやすくなることがあげられます。また犯罪防止の観点以外でも、資本金が少なすぎると計画性のない起業と解釈されやすく、金融機関の信用を得にくくなります。

銀行口座の開設を目的としている場合、できれば最低300万円以上の資本金を目指すことをおすすめします。株式会社の設立時の資本金として300万円は標準ラインであるほか、信用を得るために必要な金額ともいえるでしょう。とはいえ、事業内容によって目安金額は異なることから、会社の事業内容に見合った資本金額をあらかじめ確認しておくことも大切です。

注意点として、資本金が1,000万円を超えてしまうと設立初年度から消費税の課税事業者となるほか法人住民税額が上がってしまう点があげられます。資本金を1,000万円未満に設定することで、設立1期目については免税事業者として事業をスタートできます。

④事業実績を積む

口座開設時、金融機関は事業実績があるかどうかという視点からも審査を行います。そのため、バーチャルオフィスを借りてすぐに口座開設手続きをするのではなく、一定の実績を積んでから申請することをおすすめします。目安としては半期から1期程度の実績を作ってから、開設手続きを行うとよいでしょう。

⑤複数の金融機関に申し込む

特段のこだわりがある場合を除き、複数の金融機関に申し込むようにしましょう。たとえメガバンクで審査に落ちてしまったとしても、ネット銀行や信用金庫で審査に通る可能性があります。

また、すでに個人事業主として口座を所有している場合、個人口座がある金融機関に相談してみるのもひとつの手です。バーチャルオフィスでの銀行口座開設を受け付けている場合、親身に話を聞いてくれる可能性が高いでしょう。

⑥法人用の固定電話を用意する

法人口座を開設する際は、固定電話を用意することをおすすめします。携帯電話を会社の代表電話番号として利用していると、事務所の実態が不明瞭だと判断されかねません。とはいえ、「口座開設のためだけに固定電話を用意するのも勿体ない」と思う方もいるのではないでしょうか。しかし、固定電話は携帯電話に比べて電波の傍受やハッキングのリスクがないため、重要な会話や情報を扱う際に適しているといったメリットがあります。そのため、これから本格的にビジネスを始めるのであれば、固定電話の導入についても前向きに検討した方がよいかもしれません。

⑦必要書類をもれなく準備する

口座の開設にあたって、金融機関ごとに所定の書類を提出しなければなりません。提出書類に不備があると審査が進まないことに加え、最悪の場合には信頼性に欠けると判断されて審査に落ちる恐れがあります。手続きに必要な書類を確実に用意することを心がけるほか、不備がない状態での提出を心がけましょう。

また、金融機関によって必要書類は異なるものの、基本的には法人を証明する「履歴事項全部証明書」や「印鑑証明書」といった公的書類が必要です。あらかじめ必要書類を確認した上で、取得に時間がかかりそうな書類があれば早めに行動することをおすすめします。
なお、万が一口座開設の審査に落ちてしまったとしても、基本的には再度申し込みをすることが認められています。一度ダメだったからといって諦めず、根気強く対応することが大切です。

⑧公式サイトを用意する

バーチャルオフィスで口座を開設する際は、公式サイトを用意しておくことが大切です。会社用の公式サイトを用意しておくことは、口座を開設しやすくなることにつながります。また、サイトには以下の項目を記載するようにしましょう。

・代表者の経歴
・資本金
・事業内容
・情報開示

公式サイトでしっかりと事業を行っていることがわかれば、審査でプラスに働く可能性が高くなります。

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バーチャルオフィスで銀行口座を開設する手順

印鑑

バーチャルオフィスで銀行口座を開設するまでの、主な流れは以下の通りです。

  1. 金融機関を選択
  2. 必要書類を準備
  3. 審査
  4. 法人口座の開設完了

ひとつずつ解説します。

金融機関を選択

まず、銀行口座の開設を申し込む金融機関を選ぶことから始めましょう。口座開設が可能な金融機関として、メガバンクやネット銀行、地方銀行、信用金庫(信用組合)等があげられます。各金融機関によって手続き方法が異なるほか、審査基準も異なります。口座開設したいと考えている金融機関の手続き方法や、必要書類について前もって確認しておくようにしましょう。なお、一般的にメガバンクなどと比較してネット銀行などは口座開設がしやすいといわれています。

必要書類を準備

バーチャルオフィスで銀行口座を開設する際、主に必要となる書類は下記の通りです。

  • 履歴全部事項証明書
  • 本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証など)
  • 会社印・代表者の実印
  • 法人の印鑑証明書
  • 会社定款
  • 官公庁から発行された免許・許認可
  • 法人番号の確認ができる書類
  • 実質的支配者の確認資料
  • 所轄税務署に提出した法人設立届出書の控え
  • 請求書・見積書・発注書など

ここで記載したものはあくまで一例であり、申請先の金融機関によって必要書類が異なる恐れがあります。そのため、前もって申請予定先の金融機関に必要書類について確認しておくことをおすすめします。

審査

必要書類を出した後、内容に不備がなければ一次審査へ進みます。審査の期間は金融機関によって異なりますが、一般的には1〜2週間程度であることがほとんどです。また、この時点で金融機関ごとに設けられた基準に適合しない場合、口座開設を断られる恐れがあります。

書類審査に通過すると、審査担当者との面談へと進みます。ここでは審査担当者から改めて口座開設の目的を聞かれることになるため、事業目的や事業内容などについて正確に答えることを意識しましょう。

法人口座の開設完了

審査担当者との面談の結果、通過と判断されるとその旨の連絡通知が届き、口座開設が認められたことになります。通帳やキャッシュカード等を受け取った上で、法人口座の利用を開始しましょう。

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銀行口座を開設しやすいバーチャルオフィスの特徴

ここでは銀行口座を開設しやすいバーチャルオフィスの特徴について、みていきましょう。

口座開設の実績が豊富

バーチャルオフィスを選ぶ際は、口座開設の実績が豊富かどうかをチェックすることが大切です。開設実績が豊富であれば、各金融機関の要件をよく理解していることはもちろん、必要書類の準備や手続きにあたって適切なアドバイスをもらえます。また、金融機関と良好な関係を築いていることにもなるので、スムーズな開設が期待できるでしょう。

一等地の住所を持つ

バーチャルオフィスを選ぶ際は、都心の一等地に住所を有しているかどうかを確認しましょう。実際にそこへ通勤するわけではありませんが、オフィスの所在地やビルの外観は相手からのイメージを大きく左右する要素のひとつです。また、一等地にあるバーチャルオフィスを利用することで金融機関から信頼を得やすくなるほか、企業の信用力を高める効果も期待できます。

サービスが充実している

郵便物の転送、会議室の利用、秘書業務など提供サービスが充実しているバーチャルオフィスを選ぶことも大切です。サービスが整っていれば、会社の設立時はもちろん、口座開設時にも適切なサポートを受けられる可能性が高まります。

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まとめ

今回の記事ではバーチャルオフィスで銀行口座の開設は可能かどうかについて、お伝えしました。結論として、バーチャルオフィスで口座の開設はできますが、いくつか注意が必要です。そのため、開設時は複数の金融機関に相談するほか、事前準備をきちんと行うことを心がけましょう。

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    監修:安達莉々
    中野セントラル司法書士事務所の代表司法書士。司法書士として、2014年から多くの起業家をサポートしてきました。特に20~30代の起業家、個人事業主、および外国人の起業家のクライアントが多く、その夢の第一歩をサポートするのが強みです。税理士や行政書士とも緊密に連携し、総合的なアドバイスを提供しております。

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