動画配信にもAIやバーチャルの波! Vtuber(バーチャルYouTuber)、バーチャルキャストなど、各社の取り組みとは?
2017年にソニー生命保険株式会社が行った中高生対象の調査で、男子中学生の「将来なりたい職業」3位にYouTuberが入るなど、近年なにかと話題になっているYouTuber。そんな中でも、「バーチャルYouTuber」や「Vtuber」と呼ばれる、バーチャルキャラクターの動画が人気なことをご存知ですか?
その人気の高さから、プロダクション事業やVRを使った動画サービスなど、関連事業を始める企業も登場しています。今回は、Vtuber(バーチャルYouTuber)やバーチャルキャストなど、バーチャルキャラクターによる動画配信ビジネスについて、各社の取り組みをご紹介します。
ライブエンターテインメント事業を立ち上げたグリー
グリーは2018年4月5日に、バーチャルYouTuberなどに特化してライブエンターテインメント事業を行う新会社「株式会社Wright Flyer Live Entertainment」の設立を発表しました。Wright Flyer Live Entertainmentでは、バーチャルYouTuberの発掘・育成・マネジメント、動画番組の企画から配信までをサポートする、プロダクション事業を行います。
今回のライブエンターテインメント事業は、ゲーム事業、メディア事業に続く成長事業として位置付けられており、今後1~2年で約100億円規模の投資を行い、日本国内のみならずグローバルでも展開すると発表しています。
ドワンゴのVR技術を使った新サービス「バーチャルキャスト」
ドワンゴは、2018年4月13日にVRを使った新サービス「バーチャルキャスト」を発表しました。
バーチャルキャストとは、ユーザー自身がバーチャルキャラクターになりきり、リアルタイムで動画配信・コミュニケーションができる、VRライブ・コミュニケーションサービスです。配信するためには、VRヘッドセット「HTC VIVE」、VIVE対応のWin10PC、OBSなどの配信ソフト、配信用アカウントが必要です(Windows10以外では、様々なバグが発生するといわれています)。
キャラクターの動きは、ユーザーが頭に装着したVRヘッドセット、両手のコントローラーの位置が反映され、キャラクターの表情はコントローラーのトラックパッドから変更できるそうです。操作できるアバターは7体で、ニコニコ生放送、YouTubeLive、ツイキャス、Twitch、OPENREC.tvにて放送可能です(2018年4月執筆時)。
いちからが提供するバーチャルYouTubeサービス「にじさんじ」
いちから株式会社が提供するアプリ「にじさんじ」では、iPhone Xに搭載された新カメラ「True Depthカメラ」に備わる、Animoji機能(顔認証などに最適化)を用いてバーチャルキャラクターになりきれるアプリです。ユーザーはアプリを起動し、内蔵のカメラで自分自身の頭や表情といった顔の動きを映すと、自身と同じ顔の動きをバーチャルキャラクターがリアルタイムに再現してくれます。
YouTube、Periscope、Mirrativなど、モバイル端末でのゲーム実況が可能なサードパーティアプリに対応しているため、アプリとアカウントを保有していればすぐにLive配信ができます。選べるバーチャルキャラクターモデルは現在5種類(2018年4月執筆時)ですが、さらに多種多様なオリジナルモデルが追加されるそうです。
観光大使にも起用されるバーチャルキャラクター
バーチャルキャラクターは、活躍の場を着実に広げています。2018年3月には日本政府観光局ニューヨーク事務所がAIを自称するバーチャルYouTuber「キズナアイ」を訪日促進アンバサダーとして起用したことで話題になりました。日本政府観光局の特設サイト「Come to JAPAN(www.us.jnto.go.jp/cometojapan)」では、キズナアイが動画で日本観光の魅力を紹介しています(日本語音声・英語字幕)。また、懸賞が当たる検定クイズに挑戦できます。
「キズナアイ」のチャンネル登録者数は177万人以上(2018年4月執筆時)で、YouTuberの人気ランキングでも上位に入ります。
他にも、2017年12月にチャンネル開設をした輝夜月(カグヤルナ)はわずか4ヶ月ほどで60万人の登録者を獲得しており、ボーカロイドの初音ミクが登場したときのように、バーチャルYouTuberは着実に支持を得ているようです。
YouTuberへの技術提供・マネジメント業で有名なUUUM株式会社は、2017年8月30日に東京証券取引所マザーズ市場の上場を果たしました。盛り上がりをみせるYouTuber事業の中でも、アニメの文化が根付いている日本のバーチャルYouTuberビジネスは、大きな可能性を秘めていると言えます。