公式HP サーブコープブログ知識・ノウハウSDGsとは? ESG投資や企業の取り組みも紹介|いまさら聞けない時事問題 Vol.6

SDGsとは? ESG投資や企業の取り組みも紹介|いまさら聞けない時事問題 Vol.6

    日本では敬遠されがちな時事問題ですが、社会の動向はビジネスにも影響します。忙しいビジネスパーソンのために、いまさら聞けない時事問題を分かりやすく解説するシリーズ。Vol.6はビジネスに直結する世界的な取り組み、「SDGs(エスディージーズ)」を取り上げます。

    最近、「SDGs」という単語をニュースで目にする機会が増えました。

    これは「Sustainable Development Goals」の略称で、直訳すると「持続可能な開発目標」。平たく言えば「この先もずっと地球で暮らせるよう、よりよい世界にしていこう」という人類共通の目標のことで、2015年9月の国連総会で採択されました。

    多くのお笑いタレントを抱える吉本興業も国連と提携し、ここ数年は毎年のように「SDGs-1グランプリ」を開催するなどSDGsの啓蒙に貢献。トヨタ自動車といった大企業を中心に、社是としてSDGsに取り組む会社も増えていますが、どこから手をつければいいのかわからない企業が多いのも実態です。

    本記事ではSDGsの背景や目的をおさらいした後、どのようにSDGsに取り組むのが正解なのか、実例とともに解説します。

    そもそもSDGsとは? 背景をおさらい

    ・17の目標と169のターゲット

    SDGsは2015年9月、国連サミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されたことでスタートしました。国連に加盟する193ヶ国が、2030年までの15年の間に、持続可能でよりよい世界を目指すと定めた国際的な目標です。

    アジェンダは17の目標(ゴール)と169のターゲットで構成されており、「地球上の誰一人取り残さない」ことを明言。SDGsは発展途上国だけでなく、先進国も積極的に取り組まなければならない課題だと位置づけられているのです。

     

    ・MDGsと発展させたのがSDGs

    その前身は、2000年9月に国連ミレニアム・サミットで採択された「MDGs(ミレニアム開発目標)」。これは主に発展途上国の開発を先進国がサポートすることを取り決めた内容で、8つの目標と21のターゲットで構成されていました。

    例えば「極度の貧困に苦しむ人口を半減させる」というターゲットでは、実際に極度の貧困を3分の1まで減少させるなど、多くの成果を上げることに成功。それでも解決できない問題や新たな課題に取り組むべく、発展的に生まれたのがSDGsになります。

     

    ・政府だけでなく民間企業にも

    SDGsでは、先進国にも数々の目標が設けられたほか、民間企業にも「創造性とイノベーションを発揮することを求める」と要請したことが大きな特徴で、SDGsに取り組む企業が増えたのには、こうした背景もあるのです。

    世界はESG投資へ移行? ビジネスとSDGsの関係

    ビジネスパーソンであれば「ESG投資」という言葉も耳にしたことがあるかもしれません。これは、「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を取った造語。環境問題や社会問題に取り組みつつ、社内体制もクリーンな運営がなされている企業に投資する運用手法を指します。

    SDGsの推進に伴い、世界中の投資家が ESG投資に賛同するようになり、日本でも2017年には世界最大レベルの機関投資家と呼ばれるGPIF(年金積立管理運用独立行政法人)がESG投資を実施。今や世界は、SDGsに適さない企業が投資を受けにくい社会に変容しつつあります。

    確かに高度経済成長期は、経済的な豊かさを生み出しました。一方で、環境への配慮を無視した開発も多発。経済が成長する代わりに地球は汚染され、さまざまな公害も発生しました。その後片付けを担うのがSDGsであり、ESG投資は、その後押しをする大きな原動力となると期待されています。

    4社の事例を紹介! 中小企業が取り組むSDGsも

    2017年には、日本経済団体連合会が「企業行動憲章」を抜本的に改定。改定前には「企業行動憲章―社会の信頼と共感を得るために―」だったタイトルを「企業行動憲章―持続可能な社会の実現のために―」に変更し、SDGsの積極的な推進を参加企業に求めました。東京のビジネス街・丸の内を歩けば、SDGsバッジを胸にしたビジネスパーソンの姿もよく見かけます。

    誰もが知る大企業がSDGsに取り組んでいるので、中小企業の実例と一緒にいくつかご紹介します。

    1. トヨタ自動車株式会社

    民間調査会社、ブランド総合研究所が実施した「企業版SDGs調査2020」で第1位に輝いたのは、あのトヨタ自動車でした。

    豊田章男社長は2020年3月期決算説明会で、SDGsに本気で取り組むことが「私の使命」だと宣言しました。ウェブサイトに公表されている「トヨタのSDGs」でも、「事業を通じてSDGsの達成に貢献したい」と宣言しています。

    トヨタのスローガンのひとつに、「自然災害が増える今、非常時の暮らしまで支えるクルマを」というものがあります。実際にトヨタは2019年、台風で被災した千葉県に70台以上の電動車を派遣、被災者に給電を実施しました。トヨタは電動車を「非常時に“移動する電源”」とも位置づけており、電動車の普及が災害への適応力を高め、災害に強い町づくりにも貢献するとしています。

    また、深刻化する気候変動への対応として「CO2ゼロ」も目標にしており、新車から排出される走行時のCO2を2050年までに90%削減(2010年比)すると主張。ほかにも、モビリティの進化で移動弱者の不在なども目指すと掲げています。

     

    2. アート引越センター(アートコーポレーション株式会社)

    アート引越センターで知られるアートコーポレーション株式会社もSDGsへの取り組みを着々と実施。ひときわ目を引くテーマが「ゴミゼロ」です。

    「ゴミゼロの引越」を目指すアートコーポレーションは、引越で必要となる梱包資材を減らし、資源の節約になるようリユース資材を積極的に活用。紙資源を使わずに梱包できる「エコ楽ボックス」も開発し、現場で積極的に役立てています。

    7月からレジ袋有料化がスタートしましたが、アートグループ各社の全社員には、もともとエコバッグが配布されていたそうです。アートグループでは勤務中の買い物はもちろん、私生活でもエコバッグを利用するよう、企業全体で啓蒙。レジ袋の使用を極力避けることで、社員ひとりひとりが環境問題に自覚的になり、使い捨てプラスチックゴミの削減に貢献したい考えです。

     

    3. 株式会社TBM

    株式会社TBMは2011年に創業したベンチャー企業で、紙やプラスチックの代替となる素材、「LIMEX(ライメックス)」を開発しています。

    LIMEXの主原料は地球上に豊富に存在する石灰石で、日本でも100%自給自足ができる資源。樹脂と混ぜてシート状にすれば紙に、ペレット状にすることでプラスチックの代替製品を作ることができるといいます。

    紙の原料となる紙パルプや、プラスチックの原料になる石油のほか、製造過程では水もほぼ使用しないため、地球資源の使用量削減を実現。プラスチックごみ問題の解決や温暖化対策にも貢献できるといいます。

     

    4. 有限会社谷治新太郎商店

    東京都西多摩郡で卒塔婆(そとうば)を製造する有限会社谷治新太郎商店は、パート2名を含めた従業員14人の小規模事業者。卒塔婆とは、納骨や法要などの際に墓に立てる木製の板のことで、顧客の9割がお寺の住職。「中小零細企業であってもできることはある」と、使用済みの卒塔婆を回収し、さまざまな大きさのチップに粉砕することで燃料にしたり、建材や建具の材料にリサイクルしたりしています。

    また、社内の電力使用量を見える化し、目標使用量を超えないようにモニタリング。半年に一度、電力コンサルタントと使い方を見直して改善を図り、省電力化を重ねているほか、社内のペーパーレス化にも取り組んでいます。

    まとめ

    いかがでしたか。SDGsが掲げる17の目標はさまざまな分野にまたがっているので、どんな企業でも得意分野を活かしたアプローチができるはずです。しかし、大企業と比べ、中小企業にはまだまだSDGsが浸透していないのが実状。日本の全企業のうち99.7%を占める中小企業ができることから始めれば、SDGsに大きく貢献するのは明白です。

    例えば社員にとって働きやすい環境を整えるのも、SDGsのゴール8「働きがいも経済成長も」にあたります。

    政府もSDGsへの取り組みを後押しするため、さまざまな補助金制度を整備しています。厚生労働省は職業訓練を支援する「人材開発支援助成金」や、仕事と家庭の両立を支援する「両立支援等助成金」を、経済産業省は中小企業の生産性向上を支援する「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」などを給付。これらを有効活用しながら、自社にあったSDGsの取り組みを始めてみませんか。

     

    文・猿川 佑
    ジャーナリスト、雑誌編集者。政治・社会問題からライフスタイルやファッションまで、扱う分野は多岐にわたる。

    参照: J-Net21|中小企業とSDGs

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