コワーキングスペースとは?シェアオフィスとの違いやメリット・デメリットを解説
アフターコロナにおいても、企業では一定割合のリモートワークが定着しており、副業やマルチワークを選択する人も増えています。こうしたワークスタイルの多様化にともない、コワーキングスペースへの注目はますます高まっています。本記事では、コワーキングスペースの意味からシェアオフィスとの違い、利用メリット、設備や選び方までわかりやすく解説します。
コワーキングスペースとは
コワーキングスペースとは、専用オフィススペースではなく、他の企業やワーカーと共有するオープンなスペースのことです。「コワーキング(coworking)」には「共同で仕事をする」という意味があります。
コワーキングスペースでは、オフィス空間とデスクやチェア、Wi-Fi環境、プリンター・コピー機などの設備を共用でき、会議室や電話ブースといったプライバシーが保たれるスペースもあります。さまざまな業種の人たちが集まるため、異業種交流の場としても活用されています。
コワーキングスペースの歴史は、2006年にアメリカのシリコンバレーの起業家たちが共有した「Citizen Space(シチズン・スペース)」が発祥といわれ、2010年代には日本にも広がりました。コロナ禍では当初、行動制限により利用が減少したものの、テレワークの拡大で再び利用者が増えています。大都市政策研究機構の調査「日本のコワーキングスペースの拡大(2022年12月版)」によれば、2019年6月に799施設だった全国の施設数は2022年12月には2,129施設まで増加。コロナ禍以前と比較して2.66倍まで拡大しています。
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シェアオフィスとの違い
コワーキングスペースとシェアオフィスの違いを、下表にまとめました。
コワーキングスペース | シェアオフィス | |
個室契約 | △ | × |
共有スペース | ○ | ○ |
会議室 | △ | ○ |
法人登記 | △ | △ |
有人サービス | △ | △ |
シェアオフィスとは、オフィススペースをシェアするオフィス形態を指します。「シェア(share)」は共有の意味で、シェアオフィスは複数の人または企業がオフィスを共有・共用するワークスタイルの総称です。コワーキングスペースとレンタルオフィスはいずれもシェアオフィスの一種になります。
シェアオフィスは、従来のオフィス賃貸とは異なり、柔軟性と効率性を重視しているのが特徴です。利用者は必要な分だけのスペースを利用できるほか、共有設備によってコスト削減も期待できるでしょう。また、異なる業種や背景を持つ人々が集まることで、新しいアイデアや協業の機会が生まれやすい環境となっています。
レンタルオフィスとの違い
コワーキングスペースとレンタルオフィスの違いを、下表にまとめました。
コワーキングスペース | レンタルオフィス | |
個室契約 | △ | ○ |
共有スペース | ○ | ○ |
会議室 | △ | 有料オプション |
法人登記 | △ | ○ |
有人サービス | △ | ー |
レンタルオフィスとは、個人や企業が一定期間利用できる独立した事務所スペースのことです。「レンタル(rental)」は賃貸の意味で、レンタルオフィスは必要な期間だけオフィスを借りて使用する形態を指します。コワーキングスペースと並び、シェアオフィスの一種として分類されます。
レンタルオフィスは、従来の長期賃貸オフィスと比べ、比較的短期間での契約が可能で、初期費用も抑えられるのが特徴です。利用者は個室や区切られたスペースを専有でき、プライバシーが確保されます。また、基本的な事務機器や家具が備え付けられていることが多く、すぐに業務を開始できる環境が整っています。さらに、企業の成長に合わせて柔軟にスペースを拡張できる点も、レンタルオフィスの魅力の一つとなっています。
コワーキングスペースの使い方
コワーキングスペースの主な使い方として、以下のようなケースが考えられます。
- 仕事や勉強する場
- 打ち合わせや会議をお香なう場所
- イベントを開催する会場
- 異業種交流をはかるスペース
- Web配信を行うための場所
滞在時間の制限もなく、一時的な利用もできるコワーキングスペースは多くの用途で活用されています。また、上手な使い方については下記の記事で詳しく解説しています。
コワーキングスペースの設備
ここではコワーキングスペースが備える設備を紹介します。設備や機能には、ほとんどの施設に共通しているものと、事業者や施設によって異なるものがあります。
ワークスペース
PCを持ち込んで作業をしたり、書類を読んだりするメインのワークスペースは、大きく分けると二つのタイプがあります。一つは「フリーアドレス」、空いている席を自由に使うタイプです。もう一つは「固定席」、自分専用のワークスペースが持てるタイプです。固定席にはオープンスペースを仕切るタイプや完全個室などがあります。フリーアドレスまたは固定席のどちらか一方しかない施設と、両方を備えていて使い分けできる施設があります。
インフラ設備
ほとんどのコワーキングスペースでインターネット環境を利用できますが、施設によって異なるのは通信速度とセキュリティです。ビジネス用のセキュアな回線を複数引いている施設もあれば、家庭用回線の施設もあり、セキュリティの低いWi-Fiの場合はパソコンに侵入される「不正アクセス」やウイルスの感染といったリスクがあります。なかには利用者数に対して回線が不足しており、通信速度が十分でない場合もあるでしょう。また、プリンターやFAXなどの設備が利用できるかどうかも確認しておくことをおすすめします。
フリードリンク
多くのコワーキングスペースでフリードリンクのサービスがあります。カフェで長時間仕事をする場合、何度もドリンクを注文したり、店を転々としたりする必要がありますが、コワーキングスペースなら好きなだけ長時間滞在しながら、自由にドリンクを楽しむことができます。
会議室
会議室の有無は施設によります。また、専用会議室が設置されている施設もあれば、ワークスペースを仕切って会議用スペースに転用する施設もあります。会議室の数や広さ、稼働率、モニターなどの設備の有無も施設によってさまざまで、多くの人が集まれるセミナールームを備えている施設もあります。利用者が多い施設では、会議室を使用したいときに予約が埋まっていて使えないケースがあるので確認しましょう。
電話スペース
コワーキングスペースは、多くの人が利用するオープンスペースが基本です。そのため、電話をする際は話し声に気を付けるのがマナー。しかし営業活動などで重要な電話をする機会が多い場合、周囲に気兼ねなく話ができ、かつ会話の内容を聞かれる心配のない電話専用ブースが設置されている施設なら安心です。
コワーキングスペースのサービス
次にコワーキングスペースのサービスについて、紹介します。
法人登記
コワーキングスペースのなかには、「法人登記可能」な施設があります。会社設立時に登記する会社住所は公開されるため、自宅住所で登記するとプライバシーの不安が生じる一方、スタート時から事務所を借りれば多額の費用がかかります。法人登記可能な施設を利用すれば(「バーチャルオフィス」と呼ぶこともあります)、低コストかつプライバシーを守って会社登記ができます。また、丸の内や新宿など、ステータスの高いエリアで登記することも可能です。
私書箱
私書箱とは、郵便物や宅配便を受け取り、保管・転送してくれるサービスです。オプションで私書箱サービスを用意しているコワーキングスペースもあります。
電話秘書
オプションで電話秘書代行サービスを提供しているコワーキングスペースもあります。固定電話番号の発行と専属の受付担当のプロフェッショナルな電話応対サービスを利用でき、自社の信用度アップにつながるでしょう。
ビジネス交流会
ビジネス交流会を実施しているコワーキングスペースが多くあります。また、施設側が交流会を実施していない場合でも、コワーキングスペースの利用者が交流会やセミナーなどを企画・実施する場合もあります。そうした出会いから新しいビジネスに発展するケースも少なくありません。
コワーキングスペースのメリット
コワーキングスペースのメリットとして、以下があげられます。
- 集中しやすい
- 設備が整っている
- オフィス費用を削減できる
- 利用料を経費として計上できる
- ビジネスのつながりが作れる
- 拠点を選べる
集中しやすい
家族がいる自宅やカフェなどでは他の人の話し声や物音が気になります。作業に集中しにくいだけでなく、重要な仕事やオンライン会議には支障があるでしょう。ビジネスに特化したコワーキングスペースなら仕事に集中できる環境が整っています。また、他の人がいることで適度な緊張感があり、一人の自宅より集中できるという理由で活用する人も多いです。
設備が整っている
国土交通省の「令和3年度テレワーク人口実態調査」によると、リモートワークの実施場所として自宅を選択しなかった人の理由は、「仕事環境(執務部屋、机・椅子、インターネット環境等)が良くないから」が45%で最も多いという結果でした。コワーキングスペースは、デスクやチェア、インターネット環境、コピー機やプリンターなど、ビジネスに必要な設備が整っています。フリードリンクサービスや会議室など、自宅で仕事をするより快適な環境が得られることも魅力です。
オフィス費用を削減できる
自宅のインターネット環境を改善するほか、ビジネスに使えるコピー機やプリンターなどを用意するには、多くのコストがかかります。自分専用のオフィスを持つ場合は、家賃や保証金、オフィス家具、光熱費、高速で安全なWi-Fi環境、セキュリティ対策など、さらに多額の資金が必要です。コワーキングスペースは、これらの設備が利用料に含まれるため、低コストで仕事に適した環境を整えることができます。
利用料を経費として計上できる
仕事を行うためにコワーキングスペースを使用した場合、その利用料は経費として計上できます。また、コワーキングスペース内で貸しロッカーや会議室などを利用した際の料金や行くまでにかかった交通費なども経費に該当するでしょう。経費は所得から差し引くことができるため、正しい会計処理を心がけることが大切です。
ビジネスのつながりが作れる
コワーキングスペースでビジネスのつながりが広がる可能性があります。コワーキングスペイベントを開催していて、ビジネス交流の場として積極的に利用されています。自分の仕事をするだけでなく、人脈を広めることができるのが、コワーキングスペースならではのメリットです。
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拠点を選べる
コワーキングスペースの拠点選びは、ビジネスの効率性と成長に大きな影響を与えます。まず、アクセスの良さを重視しましょう。取引先との打ち合わせや従業員の通勤を考慮し、交通の便が良い場所を選ぶことが欠かせません。
また、周辺環境も大切な要素です。飲食店や商業施設が近くにあると、ランチミーティングや仕事後の交流に便利です。業種や目的に合わせた特徴を持つ拠点を選ぶことで、同業者とのネットワーキングやビジネスチャンスを広げられるでしょう。予算内で最適な環境を提供する拠点を見つけることが、ビジネスの成功にもつながるはずです。
コワーキングスペースのデメリット
コワーキングスペースにはさまざまなメリットがありますが、デメリットもあります。利用する際は、以下の点に留意して施設を選びましょう。
- 席を確保できない場合がある
- 周囲の音や話し声が聞こえる
- 情報漏洩対策の可能性がある
席を確保できない場合がある
コワーキングスペースは、好きな席を選んで利用するフリーアドレス制が基本です。決まった席がないため、利用者が多く利用したくても席が確保できないケースも珍しくありません。しかし、なかには固定席や個室を確保できる料金プランを提供している施設もあるので事前に確認するとよいでしょう。
周囲の音や話し声が聞こえる
コワーキングスペースは、ビジネス交流の場でもあるため、執務スペースに多少の話し声や音が聞こえることが一般的です。作業に集中したいときは、防音対策が必要な場合もあります。施設によっては個室を予約して利用できるので、仕事内容によってワークスペースを使い分けるのが効果的な利用方法です。
コワーキングスペースの選び方のコツは下記の記事からご覧いただけます。
情報漏洩の可能性がある
コワーキングスペースでは、PCモニターの画面が他の人に見えたり、電話やWeb会議の会話が周囲に聞こえたりすることによる情報漏洩のリスクがあります。重要な作業や商談の際は個室や電話ブースを利用するなどの対策が必須です。また、施設によっては安全性があまり高くない共有Wi-Fi回線を使用している場合もあるので、利用時にはよく確認しましょう。
コワーキングスペースの利用方法
コワーキングスペースは、さまざまな契約パターンがあります。毎日使いたい、気が向いたときだけ短時間で使いたい、チームで使いたいなど、ニーズに合わせて選びましょう。
月額制
継続してコワーキングスペースに通う人は、月額制の契約が向いています。月額制なら好きな時間に何度でも利用可能です。施設によっては月額プランとともに、固定のワークスペースの提供、駐車場の割引などさまざまなサービスが提供されています。
ドロップイン
一時利用から始めたい人に適している、利用した時間ごとに料金を払う形式です。重要な仕事のために集中したいとき、出張時に立ち寄って1時間だけ使いたいときなどに、時間単位の利用ができます。ドロップインは、ほとんどのコワーキングスペースで提供されているサービスですが、施設によっては予約が必要な場合があります。
コワーキングスペースを選ぶ際に注意すべきポイント6選
コワーキングスペースは、施設によって設備や機能が異なるため、選び方が重要です。ここでは6つのポイントに絞ってコワーキングスペースの選び方を解説します。
コワーキングスペースを選ぶポイントとして以下があります。
- インターネット環境
- セキュリティ
- ワークスペースの環境
- 会社登記サービスの有無
- サポートサービス
- 交流の場の有無
インターネット環境
リモートワークで利用するならインターネットの速度に問題ないかは確認すべきポイントです。容量の大きいデータの送受信、Web会議、機密書類の取り扱いなどが安心して行える環境を選びましょう。
サーブコープでは24時間365日社内で監視し、最適な回線速度を確保、安全で快適なインターネットWi-Fiを提供しています。
セキュリティ
人の出入りを管理する体制がないコワーキングスペースはセキュリティ面が不安です。サーブコープでは、有人の受付で、入退室をチェックしています。デスクには鍵付きのキャビネットも完備。万全のセキュリティ対策を整えています。
ワークスペースの環境
ワークスペースの広さや使いたい設備も選択において重要です。予約の必要性、ワークスペースの種類、広さなど、集中できる環境が整っているか確認しましょう。
サーブコープのワーキングスペースは予約不要、先着順のフリーアドレス制です。デスクのある席やソファ席、ブース席、電話専用ブースなどさまざまなスタイルのワークスペースをご用意しています。また、業界平均の3倍にあたる一人あたり12㎡の広々としたスペースを確保。プリンターやコピー機、スキャナーも完備し、すべての座席からプリント可能です。
会社登記サービスの有無
法人登記を考えているなら、登記に利用できる「貸し住所」サービスがあるか確認しておきましょう。サーブコープではオプショナルサービスとしてコワーキングスペースの住所で法人登記が可能です。国内30拠点世界各国150拠点以上のオフィスを展開しており、いずれもビジネス一等地にあります。
サポートサービス
求めるサポート内容によっても適したコワーキングスペースが変わります。電話応対をまかせたい、コピーや資料作成を依頼したい、インターネットやパソコントラブルのサポートを受けたいなどニーズにあわせて選びましょう。
サーブコープでは専用の固定電話番号の発行、専任レセプショニストによる電話応対のオプショナルサービスを提供。また、拠点に常駐するバイリンガル秘書や社内に常駐するITスタッフなど多岐にわたるサポートサービスをご用意しております。
交流の場の有無
コワーキングスペースでビジネスのつながりを広げたい、新たなコラボレーションビジネスを創出したいと考えるなら交流の場の有無を確認しましょう。
サーブコープには世界中から50,000社以上が参加する世界最大級のビジネスコミュニティ「サーブコープコミュニティ」があります。他の利用者との取引やフォーラム、交流会など、さまざまな機能や特典をご利用いただけます。
多くのコワーキングスペースでは見学や無料体験を提供しているので、まず試しに利用してみて安全性や自分のワークスタイルに適した施設かどうかを十分に確かめることがおすすめです。
(まとめ)コワーキングスペースを活用してビジネスを円滑に進めよう
今回は、コワーキングスペースを利用するメリットとデメリット、機能、選び方までを解説しました。リモートワークはもちろん、副業や起業にもコワーキングスペースが活用できます。
コワーキングスペースに興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
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