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ワーケーションとは? メリット、デメリットや課題、導入にかかる費用まで具体的に解説

2020年のコロナ禍をきっかけにリモートワークが広く普及し、日本人の働き方に変化が起こっています。今、改めて注目されているのが、ワーケーションです。導入する企業も増え、様々な取り組みが実施されています。本記事では、ワーケーションとはなにか、向いている職種、企業にとってのメリット・デメリット、導入における課題、費用などについて解説します。

ワーケーションとは?

ワーケーションとは、Work(仕事)とVacation(休暇)を組み合わせた造語です。リモートワークなどを活用し、普段の職場や自宅とは異なる場所で仕事をしつつ、自分の時間も充実させることを意味します。

ワーケーションが日本で注目を集めたのは、2020年7月。新型コロナウイルスの影響で観光需要が低迷するなか、当時の菅官房長官が感染対策を行ったうえで「Go Toキャンペーン」の活用を呼びかけ、観光や働き方の新たな形として休暇を楽しみながらリモートワークで働く「ワーケーション」の普及に取り組む考えを示しました。

現在では「観光+仕事」というスタイルに限らず、地方創生や地方のサテライトオフィスの利用など、新たな取り組みが実施され、ワーケーションは幅広い意味を持った言葉となっています。

■ワーケーションの種類

ワーケーションには様々な定義がありますが、一例として観光庁では「休暇型」と「業務型」の2種類に分類しています。さらに「業務型」には、それぞれ3つのスタイルに分けられます。

①休暇型

ワーケーションと聞いて多くの人が連想する、リゾート地や観光地などで余暇を楽しみながらリモートワークを行う働き方です。「休暇型」は、企業が有給休暇の取得促進など、福利厚生を目的に行っている場合が多く、「福利厚生型」とも呼ばれています。

②業務型

仕事をメインとする形態で、その前後に休暇を楽しむ働き方です。企業や受け入れ地域のニーズに合わせて「地域課題解決型」「合宿型」「サテライトオフィス型」の3つの働き方が実施されています。

ワーケーションの実施形態
休暇型福利厚生型有給休暇を活用してリゾートや観光地などでリモートワークを行う。あくまで休暇を目的としているため、移動や宿泊などにかかる費用は基本的に個人負担。
業務型地域課題解決型地域関係者との交流を通じて地域課題の解決策を共に考える働き方。SDGsへの取り組みが企業に求められている昨今、特に注目され、今後、導入企業が増えることが期待されている。
合宿型リゾート地や観光地など、通常の業務環境とは異なるところで会議や研修などを行う。場所を変えて職場のメンバーと議論を交わすことで、チームビルディングや新しいアイデアの創出などに活用されている。
サテライトオフィス型シェアオフィスや会社が設置しているサテライトオフィスを利用してリモートワークをする働き方。新型コロナウイルスの影響で在宅ワークが増え、仕事に集中できる環境を求める従業員が利用する背景からサテライトオフィスやシェアオフィスの数も増えている。

参考:「新たな旅のスタイル」ワーケーション&プレジャー(国土交通省 観光庁)

他にも一般社団法人日本ワーケーション協会では、ワーケーションを7つのタイプに分類するなど、ワーケーションへの取り組みは広がり続けています。実施者の現状のワーク&ライフスタイルにあわせてこれら2つ以上を組み合わせることもあります。

■ワーケーションに向いている職種

ワーケーションに向いている職種は、リモートワークに適したエンジニア、デザイナー、マーケターなどのIT関連やクリエイティブ職、もしくは総務や経理などのオフィスワーカーと言われてきました。しかし、「地域課題解決型」や「合宿型」などの働き方が広まり、職種を問わない働き方になりつつあります。接客、運送、工場勤務などのリモートワークが困難な一部の職種以外は、ワーケーションは可能です。

ワーケーションのメリット・デメリット

ワーケーションは、働き方の選択肢の増加やストレス軽減、リフレッシュ効果、モチベーションの向上など、従業員にとってメリットが大きい働き方ですが、企業にとっても様々なメリットがあります。

■企業にとってのワーケーションのメリット

企業にとってのメリットは、イノベーションの創出や地方創生への寄与、CSR、SDGsの取り組みによる企業価値の向上などが代表的です。他にも次のような直接的なメリットが期待できます。

【メリット1】 新卒の応募者の増加

BIGLOBEによる「ニューノーマルの働き方に関する調査」で、全国の20代の学生300人に「あなたが働きたいと思う会社について」を質問すると「在宅勤務やリモートワークが可能な会社」(49%)が最も多く、「ワーケーションなど柔軟な働き方ができる会社」も5位(33.3%)となっていました。学生のワーケーションに対する関心が高まっているため、新卒の応募者が増えることが期待できます。

【メリット2】 社員の定着率の向上

株式会社クロス・マーケティングと山梨大学の田中敦教授・西久保浩二教授の研究グループがワーケーション実施者1,000人を対象に行った「ワーケーションに関する調査(2021年3月)」によると「今後ワーケーションを(再び)行いたいか」という質問に対して、半数以上がまた「行いたい」と回答。管理職以上の人では7割が実施意向を示しており、6割が会社への導入意向も示しています。ワーケーションは帰属意識を高め、離職者の減少や定着率の向上が期待できます。

【メリット3】 生産性とパフォーマンスの向上

野村不動産株式会社の新しいオフィスの在り方や価値に係る調査研究を行う「HUMAN FIRST 研究所」が実施した「『個人のパフォーマンス向上因子』に関する協働調査研究結果」により、パフォーマンスが高い層ほど仕事で利用する「場所」の種類が多く、「目的」ごとに場所を使い分ける傾向が強いことが報告されました。ワーケーションは働く場所の選択肢が増えるため、パフォーマンス向上や、環境を変えることでクリエイティブな発想が生まれやすくなるなどの効果が期待できます。

また、上記「ワーケーションに関する調査」でも「リフレッシュできて仕事の効率が上がった」「整理整頓されたホテルでの作業でとても集中できた」「使った費用以上にリフレッシュでき気分転換と仕事の両立がうまくいった」など、ワーケーション実施者による効率アップやリフレッシュ効果を実証する回答が多く見られています。

【メリット4】 有給取得率の向上

従業員にとってのワーケーションにおける最大のメリットは、旅行先に滞在しながら仕事ができること。長期休暇の前後にワーケーションを組み入れ旅行先により長く滞在できるようにしたり、有給休暇を使い滞在期間を延ばせる仕組みを整えたりすることで有給取得率が向上します。会社全体の有給取得率が上がれば、社外へもアピールできるため、人材確保や企業イメージの向上も期待できます。

【メリット5】 自律した人材の育成

従業員自らワーケーションを選択するということは、「働き方を自身で選択する」ということです。これからは企業に属していても、「個人」としての成長が非常に大切な時代になりつつあります。リモートワークの普及は、少しずつ時間労働から、成果主義に変わるきっかけになるかもしれません。そのような社会の流れのなか、まずはリモートワークやワーケーションなどで、働き方を自ら決めていくことで、オーナーシップを持った自律した人材の育成も期待されます。

■企業にとってのワーケーションのデメリット

一方で、ワーケーションは従業員がオフィス以外の場所で勤務することになるため、運用の難しさも指摘されています。企業にとってのワーケーションのデメリットも見てみましょう。

【デメリット1】 情報漏えいのリスクがある

サテライトオフィスやシェアオフィス、ホテルやカフェなど、フリーWi-Fiを使用する施設は、セキュリティが脆弱な場合があり、情報漏えいのリスクがあります。個人データや機密情報の流出を防ぐには、セキュリティ対策やインターネット環境が整ったワークスペースを選択することが重要です。

【デメリット2】 運用コストがかかる

ワーケーションを実施するためには、リモートワークができる環境を整えることが不可欠です。高速かつ安全なWi-Fi環境、オンライン会議ツールやチャットツール、社内システムにアクセスするためのITネットワーク環境などが必要です。そのため、運用コストがワーケーション導入の障壁とされています。

【デメリット3】 労務管理が難しい

ワーケーションでは、従業員の働く姿が見えにくくなります。会社以外の場所では出勤時と同じようにはタイムカードの打刻ができず、正確な勤怠時間を把握することも困難になります。ワーケーション導入の障壁として労務管理の難しさを挙げる企業も多くあります。

【デメリット4】 人事評価が困難になる

上司が部下の働く姿を直接見ることが困難になるため、人事評価が難しいという声も多く聞かれます。業務におけるプロセスを確認しにくいため、成果だけが評価の指標になりがちな傾向も見られます。適切な評価をされているのか部下が不安を感じる点も、デメリットのひとつとして指摘されています。

ワーケーション導入にあたっての課題(デメリット)への対策

企業にとってのワーケーションの課題は、適切な施策を打つことで解決できます。セキュリティ、勤怠管理、労災、評価制度、など、ワーケーション導入に必要な環境整備について解説します。

【対策1】 セキュリティ

ワーケーションにおける情報漏えいを防止し、個人データなどの機密情報を守るためには、セキュリティ対策が万全な場所で仕事を行う必要があります。自社で設置したサテライトオフィスの環境を整える、安全なインターネット環境やセキュリティ対策を施したレンタルオフィスやコワーキングスペースを利用するなど、従業員が働く場所を慎重に選ぶことがセキュリティ面の課題解決のポイントです。

【対策2】 勤怠管理

ワーケーションの課題として勤怠管理の難しさが挙げられますが、クラウド管理できる勤怠管理システムを活用することで解決できます。勤怠管理システムとは、従業員の勤怠状況や給与計算のための集計を自動で行えるシステムです。オフィス以外の場所からでもシステムにアクセスできるため、正確な出退勤時の打刻が可能です。ワーケーションであっても従業員の勤務状況がスムーズに把握でき、不正や打刻漏れなどのトラブルが起こりにくくなります。

【対策3】 労災

ワーケーション導入の際は、どのように従業員への労災補償の範囲を定め、周知するかも課題となります。労災補償の範囲は、業務中の病気やケガ(通勤時間を含む)に限られます。業務中の病気やケガと認められなければ労災認定はされないため、勤怠管理をしっかりと行うことが必要です。労災が適用される範囲についてケーススタディとして明示するなど、事前周知を徹底しましょう。

【対策4】 評価制度

評価制度の見直しも必要です。有効な施策は、評価基準を明確にし、MBO(目標管理制度)を導入する、あるいは徹底すること。曖昧な目標でなく、定量目標や定性目標など具体的な目標を設定することが重要なポイントです。業績の評価指標や達成基準を明確にすれば、プロセスと成果による従業員の評価が可能です。上司はオンラインで進捗管理を行い、目標に対する成果と行動で部下の評価ができます。

 

ただし、これらすべてが整わないとワーケーションを始められないわけではありません。重要なのは「できることから始めてみる」ことです。「業務型・少人数」で始めてみたり、ワークスペースの提供をはじめとした様々なサービスも出ているので、それらを活用してみたりするのも良いでしょう。そして徐々に企業にあった制度を適用していくことが大切です。

ワーケーション導入にかかる費用

ワーケーション導入にあたっては、「ワーケーションを行う従業員への補助」や「システムの導入などの環境整備」などの費用が必要となります。具体的には、次のような費用が想定されます。

◆ リゾート地や観光地など、従業員がワーケーションをしたい場所への交通費

◆ 滞在先での宿泊費、レンタカー費用などの雑費

◆ サテライトオフィスを設置する際のオフィス家具や複合機などの購入費

◆ リモートワークを行うためのインターネット環境やセキュリティ対策の設備投資

◆ コワーキングスペースやレンタルオフィスなどの利用費用

リゾート地・観光地への交通費や滞在費をすべて従業員の個人負担にしてしまうと、ワーケーションを導入しても実施する人が増えない可能性があります。また、サテライトオフィスなどの設備投資のコストがかかることも課題となります。

費用については補助金や助成金の活用で抑えることが可能です。

自治体のワーケーションの補助金・助成金

ワーケーションを積極的に受け入れている地域には、交通費や宿泊費などの補助を行っている自治体が多くあります。例えば、北海道の富良野市では、費用の一部を助成する「ワーケーション実証費用助成金」を実施。市外の企業などの従業員や個人事業主・フリーランスが同市内でワーケーションを行う際に、宿泊費とレンタカー利用料の一部を助成しています。このような自治体の補助金・助成金の活用も検討してみましょう。

働く場所を選ばないサーブコープのハイブリッドワークソリューション

サーブコープではワーケーション導入を検討する中小企業にぴったりのサービス「ハイブリッドワークソリューション」を提供。

サーブコープのハイブリッドワークソリューションはオフィス1部屋あたり、最大10名の社員が利用できるパッケージで、専用の電話システムの構築、秘書による電話応対の代行、郵便物の転送など、リモートワークを円滑にするサービスが充実しています。以下、概要を紹介します。

 

「ハイブリッドワークソリューション」で利用できるサービス

・契約拠点の個室オフィス

・国内27拠点にあるコワーキングスペースの利用(月60時間まで)

・契約拠点外の個室オフィスの利用(月3日間まで)

・国内27拠点の貸会議室の利用(月1時間)

・固定電話番号の発行・電話代行サービス

・郵便・宅配便の管理、秘書サービス

①国内27拠点のコワーキングスペースを利用可能

国内27拠点にあるお好きなコワーキングスペースを月60時間、契約都市外の個室オフィスを月3日間、貸会議室も月1時間まで無料で利用できるので、毎月オフラインで顔を合わせてミーティングをスケジュールすることができます。

②ITテクノロジー・セキュアWi-Fi

インターネットは200~500Mbpsの高速セキュアWi-Fiで、24時間365日厳格な管理の下、安定した最適な速度を実現。1人あたり月20GBまでのデータ通信量を無料で利用できます。

③会社専用の電話システムを構築

サーブコープの通信システムのなかに、お客様専用の電話システムを構築します。10個の固定電話番号(直通番号)が発行されるので、登録者は内線番号として利用し無料で通話が可能です。

さらにサーブコープの専用電話アプリ「Onefone」を使用すると、世界中のどこにいても、03や042といった会社の電話番号で発着信できるようになります。ワーケーション中でも会社にいる時と同じ感覚で電話応対が可能です。またサーブコープのグローバルネットワークを駆使した特別料金が適用されるため、通話料もお得に。場所を選ばず安心して働くことができます。

④電話代行サービス・秘書サービス

割り当てられた各番号への着信は、営業時間内であればサーブコープの受付担当者がお客様の会社名で応答し、自宅、携帯電話、コワーキングデスクなどに転送してくれるので、全員が本業に専念することができます。また、バイリンガルかつ高度に訓練された秘書が、お客様のリモートワークが円滑に進むよう、資料作成から翻訳作業までビジネスをサポートします。

⑤郵便物・宅配便の管理データ転送

お客様宛に届いた郵便物や宅配便の受け取りと管理、ご希望に応じてご自宅へ転送します。また、ご要望があれば郵便物の中身をスキャンし、データで即時お客様へメール送信することも可能です。

サーブコープのハイブリッドワークソリューションに興味のある方は、こちらをご覧ください。

監修・千葉憲子

ITシステムの営業と営業企画を経て、2018年よりガイアックスに転職。社長室長として社長室、社内外が交わる仕組みづくりなどの仕事を行う。また新規事業部でワーケーション関連の事業「Otell」を立ち上げ中。2021年7月より日本ワーケーション協会公認 ワーケーションコンシェルジュを務める。

 

参照:

  • 菅官房長官 「ワーケーション」普及で観光促進を(NHKニュース)
  • 「新たな旅のスタイル」ワーケーション&プレジャー(国土交通省 観光庁)(国土交通省 観光庁)
  • ワーケーションとは?(一般社団法人日本ワーケーション協会)
  • ニューノーマルの働き方に関する調査(BIGLOBE)
  • ワーケーションに関する調査(株式会社クロス・マーケティング、山梨大学)
  • 『個人のパフォーマンス向上因子』に関する協働調査研究結果(HUMAN FIRST 研究所)
  • 「ワーケーション実証費用助成金」について(富良野市)

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